Alec Empire at Osaka Bayside Jenny(3rd Feb '02)

 

 

 

Alec Empire

 

 

 

 

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大阪でデストローイ!!

 

 節分デストローイ!! 鬼は外デストロイ! 福は内レヴォリューショーン! 今日で最後だから悔いのないようにアクショーン!

 意気込んで会場に入ってみると、おいおい寂しいぞ。お客さんスクナイ....ショボーン。これでは革命王子兼デジタルハードコア番長、アレック皇帝がダイブしたら床にヒキガエルになってしまう...そんなアレック見たくない。

19:00になるとフロアに座っていた人がおもむろに立ち上がりはじめる。人が増えてる。ぎゅうぎゅうじゃないけど程よい感じ。よかったぁー。

 客電が落とされ、怪しさ満載の"Path of destruction"のイントロがドロドロ鳴り響く中、スモークの中からアレック登場。ああっ、この登場の仕方、いつになく王子っぽい! あまりのカッコよさにクラクラ。鼻血が出そうデストロイ。「Path of destructioooooon!!!!」の雄叫びで幕開け。オーディエンスはいきなり針が振り切れ、テンションの高さがハンパじゃない。タワレコでの反応と全く違うので驚かされる。皆一斉に拳振り上げジャンプ!と、いきなり後ろから胸を掴んでグニグニされた。信じられない!! 痴漢するなんて!!! せっかくいい気分でいたのに...萎える....どうしてこういう事するかなぁ?

 気を取り直して、というかテンション下がっていてはこのモッシュピットで踏み止まることはできない。既にまわりの若人は皆、目がぐるぐるなのです。
 東京ではギターの轟音が大きすぎたのか、アレックの声が殆ど聞こえなかったが今日はとってもクリアに聞こえる。サウンドはよりコントロールされて、初日の様に膨張した感じではない。凄くタイトで、ひとつひとつの楽器の音が冴え渡っている感じ。特にドラムとギター。"Tears it out"でもアレックの納豆ヴォイスがハッキリクッキリ。この疾走感にダイヴァー続出。マイクスタンドを蹴っ飛ばし(これがまたマジ惚れにカッコイイ)アレック今日も絶好調!欽ちゃんジャンプも高い!さっきのイベントとは別人。モニター(?)の上にのって、激音の中たたずむ姿は孤高の戦士のよう。私達の方へとアレックが手を伸ばす。皆も手を伸ばし少しでもアレックに近付こうとモミクチャになる。私も精一杯手を伸ばす。するとアレックは私の手を握って(感激)客席にゆっくりと倒れかかってくるではないか。後ろから物凄い勢いで人が押し寄せて体は不安定な状態。そんな中で私の腕力ではアレックの上半身を支えられハズもなく、まわりで同じようにアレックに触っているガイ達もヒ弱ちゃんが多かったのか、アレックの身体(見かけによらず重かった)はアレヨアレヨと言う間に床に引き倒されてしまった。何人かの女の子と一緒に私もアレックの下敷きに。

 ここからが地獄であった。目の前でアレックのマイクがバラバラになる。何とかアレックを触ろうとはやる人々が倒れている私達の上に降ってくる。アレックの呻き声が聞こえる。私の上にはアレックが倒れているので身体の自由がきかない。しかし彼はさすがに慣れたもので上手く身体を横向きにしてくれる。下にいた私達はわずかな隙間からズルズルと這い出すことが出来る。ああ、アレックの男気に感激。しかしアレックが立ち上がっても、彼めがけて突進してくる人達が多すぎて立てない。私達につまずいた人がまた上から倒れ込んでくる。逃げ足の速い私は、こういう騒ぎの時に下に潰されることは今までなかったのだけど...イヤーン、アタシ、今日ここでDIEですか? 天国へレヴォリューショーン?! 想像してみて下さい。モッシュピットで仰向けに転び、身体の自由の効かない恐怖。上から次々と人が降ってくる。ヤバいと思いながらもどうすることも出来ず、もはやこれまで、と思った瞬間、誰かが強く腕をひっぱりあげてくれる。なんと細〜い女の子。アリガトウ! とお礼を言う。そして、私も他の子を引っ張りあげる。そんな子を乗り越えて突進するまわりが見えてないデストロイヤー男子達。アナタ達すごく恐かったです。今度からは足下よくみてね。それとひ弱ガイ@大阪よ。次回はもっと足腰鍛えて望めデストロイ!

 アレックはそのままフロアを駆け巡り、オーディエンスはアレックに群がりハメルーンの笛吹き状態。ボロボロの私はぼーっと突っ立ったまま駆け巡るアレック様御一行を眺める。もーアレック、どんどんフロアの後ろの方までいっちゃうよ。もうその先はバーカウンターだよ〜。皆がアレックを取り囲み、アレック触れあい広場です。このフィジカルコミュニケーションこそ、アレックのライブの要であり、彼にとっても私達にとっても重要な行為なのだ。単純に憧れのアーティストに近付きたいという気持ちもあるが、やはり彼がボロボロにされるのを覚悟で飛び込んでまで私達の目線に合わせ、メッセージを伝えようとする誠意が嬉しい。ホントに凄いヤツ、アレックはそのままフロアをぐるっと一周かけまわった。

 ここから私は思考状態はゼロ。もう動物のように音に言葉に反応するだけ。"Addicted to you"ではオーディエンスがアレックを指差す。私も指差すがもう腕をあげるのが辛い...なんだか目蓋もジンジン。触ると..ああ、流血ですか? アタシ。汗に混じって血が。ああ、デストローイ。(泣)曲中、アレックは客席に近付き一人一人の顔を覗き込む。「次は"Intelligence &sacrifice"」と曲紹介。大好きな曲なんだけど東京ではアレックの声がよく聞こえなくて、ちょっと物足りなかったので心ゆくまで叫ぶ。「アイソレーショーーーオオオオオン!!」もう流血なんてどうでもいいの。その時、女の子のダイヴァーがキャーキャー言いながら頭の上を超えてったのだがなかなか前に送られていかない。すると信じられないことに、私の目の前の暴れんボーイが彼女をグーで殴って落としたのだ! 目を疑う。いくら自分の邪魔だからって..。

 アレックが一人ずつメンバー紹介。今日はちゃんと聞こえた。どうやらギターの彼はJeffryというらしい。その後ケイオス状態で聞く"And never to be found"はアレックの囁きヴォイスと、大型トラックがクラクションを鳴らしながら猛スピードで突っ込んでくるような切迫したサウンドにただただ圧倒される。CDでは帰ってこれない何処かへ落ちていくような気持ちにさせられるが、目の前でアレックのパワーを見せつけられて聞くと身体の内側に溜め込んでいた何かが掻き乱されて、いてもたってもいられなくなる。外へと放出したくなるのだ。感じ方がまるで逆なのが不思議。アレックはステージに跪き、目を閉じて囁き続ける。...おもむろに立ち上がり、キッ!と上空を睨むと両手を広げてタイタニック...いや、違う、進化形の祈りポーズだ!両手は真直ぐ伸ばされたまま、頭上で一つに合わさるポーズは神々しいほどであった。そのまま静かに退場。ああ、もう素晴らしすぎ...。

 激烈アンコールに答えて、まずはドラムのGABE SERBIANが一人で登場。激しいドラムソロを披露。凄い! そういえば彼のバンド、Locustの来日公演も見に行ったけど素晴らしかった。メンバーが続々登場、最後にアレック。沸き上がるデストロイヤー達。今回のsetlistも東京と同じよう。というわけで最後はやはり"New World Order"ですね。 私達に向かってマイクを突き付けNew world order!と叫ばせるアレック。そして、マイクコードをぐるぐると首に巻き付け宙を仰ぐ。静止。その時、皆が思った。

『来る...。』

しかしマイクそのままだとヤバくないか?マジで引っ張られて絞め殺されますよ、アレックさん。何度も床に倒されても果敢にダイブにチャレンジするアレック。パンクだ。おもむろに首のマイクコードを外し、そのまま目を閉じるアレック....。結局、飛んだのだが案の定また床でズルズル状態。(泣)しかし、何度ズルズルにされてもダイブする獣な王子が私は好きです。また、性懲りもなく下敷きになりながらもにじり寄る獣な自分も可愛いと思います。

 ただ、これだけアレックが身体を張って誠心誠意ライブを行ってるのだから、もう少し彼の意図するところを考えてもよいのでは?と思わされることが今日は度々あった。例えばアレックが、いつも曲にこめている政治的なメッセージ。難しく考えるのが苦手なら、こう考えればいい。政治といっても内閣や国会だけが政治じゃない。家族、恋人、友達、同じ志の仲間他...自分の大切な人と共存するための政治だってある。それが私達の身の回りの最も近しい政治であり、政治の大根源ではないだろうか。何もダイブしてきた人が邪魔だからってグーでぶっ叩く必要はどこにもないでしょ。私は見たよ。そのグーのせいで彼女は急転直下してしまい、一瞬アレックが歌いながらも咄嗟に彼女に向かって手を出したところを。(その男っぷりに感涙)間に合わなかったけど。それに比べて、グー男。恥ずかしくないのか?せっかくライブを楽しんでいるのに、痴漢されたらどう思う?それが自分の彼女だったら?妹だったら?権力や理不尽な世の中と戦おうと歌ってる人のライブに来てるんだから、少しくらいそういうこと考えても罰はあたらないと思うんだけどな。帰り道、ボロボロになりながら、手についたアレックの香水の臭いを嗅ぎながら、そう思うのであった。

 これからアメリカ公演に向かうアレック。アメリカでも素晴らしいライブを見せてくれることだろう。そして彼の曲は今のアメリカのオーディエンスにどんな風に受け止められるのだろうか。

report by mimi and photo by ikesan


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