勝手にしやがれ @ 渋谷DeSeO (14th Dec. '01)

勝手にしてやる! - part1 -
勝手にしやがれ 勝手にしやがれ 勝手にしやがれ 勝手にしやがれ 勝手にしやがれ 勝手にしやがれ 勝手にしやがれ
 

 SEはマイルス・デイヴィスだった。おそらく、あれはフランス映画の名作『死刑台のエレベーター』で使われたサウトラに入っているトラックではなかったかと思う。サスペンス映画の傑作で、監督は25歳のルイ・マル。いわゆるヌーヴェル・ヴァーグ(新しい波、英語で言えばニューウェーヴだ)を代表する作品。実を言えば、印象に残っているのは、ストーリーよりなにより、ジャンヌ・モローがアップで「ジュテーム...」と繰り返すシーンと、マイルスの音楽。なんでも映画のラッシュを見ながら、わずか数時間で録音したという、いわゆるクールなマイルスの魅力が凝縮された曲だ。その昔、(もうすでに20年ほど前に遡るが)初めてウォークマンを買ったとき、地下鉄の通路を歩きながら、これを聴いたときには、まるで自分がハードボイルドな映画の主人公にでもなったような気分になってしまった... 強力な磁力を持っている音楽で、これ一発でDeSeOの雰囲気が変わってしまったはさすがだね。

 そのクールな音楽にのってステージに登場したのは、スーツで決めたいなせなお兄さんたち。しかも、連中、登場してから演奏するまで動かない。にくい演出じゃないか。さらに、手にしている楽器はバリトンやペットにボーンといった管楽器にウッド・ベース。これを見ていると、やはりジャズっぽい。なんか違うなぁ... なにせ、この日は、「みちのくひとり旅」のレゲエ・ヴァージョンで失神しそうになるほど気に入ってしまったバンド、What's Love?が主催し、企画している『スカ帝国』のライヴで、2番目の登場したのがこの「勝手にしやがれ」という、とんでもない名前を付けたこのバンドだ。ワッツのマネージャー、川原君曰く「今日のバンドは、もう、みんな、全然違うタイプばっかりなんですけど、面白いから...」と言うことで、どんなバンドが飛び出してくるんだろうかと思っていたら、いきなりマイルス・デイヴィスでびっくり。どんなバンドなんだろう... と、この演出だけでもワクワク期待に胸をふくらませてしまった次第。

 で、そんな楽器を手にしたいなせなお兄さんたちが音を出し始めると、またまたびっくりだ。いきなり始まったのは、スカというよりももっとジャズ指向の音楽。なにやら小型スカパラ風のスカ・バンドかしらん... と思っていたら、これが甘かった。おしゃれなスカパラとは違って、もっと猥雑でもっと下町っぽくってもっとざらざらしていて... 奥が深い。いや、スカパラの奥が浅いとか、底が浅いとかいっているじゃなくて、この「勝手にしやがれ」は全く次元の違った音楽をやっているというのが正解だ。

 レコード会社の宣伝マン的には「アメリカではやったスイング・ロック」とか、テキトーなキャッチ・コピーをつけるんだろうけど、そんな陳腐な代物でもない。インスト・ナンバー数曲に続いてヴォーカル・ナンバーになると歌い出したドラマーを見て思ったのは、「こりゃぁ、石原裕次郎だぁ!」。まぁ、単純といえば、単純なんだけど、裕次郎の名作映画で「おいらはドラマー...」と歌い出すのがある。あれを思い出してしまったのだ。何せ、あのドラミングを見ていると、どうしてもこの映画が気になってしまう。

 それにフランキー堺かね。かつてこのスカ帝国でDJなんぞをやらせてもらったときに使ったアルバムで、「俺にアルバムを作らせるんだったら、札束で両ビンタするか、好き勝手にさせろ」と言って、当然ながら、「勝手にしやがれ」との勢いでフランキーが録音した名作に『この素晴らしい世界』というのだがある。ここに収録されている「スイング、スイング、スイング」なんてのを思い出したり... 彼の場合、シティ・スリッカーズでのコミカルなスパイク・ジョーンズ・スタイルが有名なんだけど、歌心溢れた、そして、ドラマーとしての才能を余すところなく伝えているこれこそが名作であり、「勝手にしやがれ」の世界に近い。(といっても、コミカルな部分はナシね)それに、フランキーが手本にしたというジーン・クルーパ。これは「勝手にしやがれ」のドラマー、ムトー君が自分でも口にしていたんですけど、そんな世界をかいま見ることができる。

 といっても、それでも彼らのことは語りきれない。なにせ、ライヴで演奏した曲にはマイルス・デイヴィスの名曲中の名曲『マイルストーン』なんてのもあったし、「こんな曲を演奏する若いヤツ、いない」と思ってたチャーリー・ミンガスの「ブーギー・ストップ・シャッフル」が飛び出してきた時なんて、目の玉が飛び出すほどに嬉しかった。かつてロンドンからわき起こったダンス・ジャズのムーヴメントを伝えることに必死になっていた時期に、たまたま生まれたミュージカル、『ビギナーズ』の巻頭で使われていた曲で、ジュリアン・テンプル監督がブライアン・デ・パルマよろしく、ワンショットで撮影したシーンでフィーチャーされていた。このヴァージョンはギル・エヴァンスのアレンジだったんだが、それをかなりラフにざらざらしたタッチで演奏していたのが「勝手にしやがれ」。これにはまいった。



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