羅針盤 at 渋谷クアトロ(2001年12月6日)
 

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『静』と『動』をつなぐもの...

 

 今日のライブは二部構成で行われた。簡単に分けてしまうと、第一部は『静』で、第二部は『動』。第一部は座っての演奏、第二部は立っての演奏、といった感じ。
 まず、第一部は「不在」からスタート。この曲の前半は、『静』を極めたような最低限の音数を使った演奏だ。誰もがそのスリリングな様子を見守るように、じっと音に耳を傾けている。しかし、音数が少ないこの曲に限らず、なぜか羅針盤の演奏は一音たりとも聞き逃したくないという衝動を私に起こさせる。どの曲でも、最後の一音が鳴り止むまで拍手が起こらなかったのは、きっと他の客達もそのように感じていたからではないだろうか。

 続く「せいか」「しずか」は、暗く長いトンネルから抜け出して、視界いっぱいに広がる美しい光景を見つけたときのようなカタルシスを与えてくれる美しい曲。とにかく、メロディーの美しさが際立っている。この後に演奏された曲もみんなそれは同じ。淡々としたステージングながらも、これでもか、とばかりに山本の歌心を見せつけられた第一部だった。

 そして、『動』の第二部では、ストーンズ的なギターリフでゴロリと転がっていくロックナンバーが後半ノイズギターでグシャグシャになって終わる「サークル」や、キャッチーなメロディーが印象的な「ララバイ」などが演奏される。しかし、第一部とは打ってかわって激しい演奏なのに、第一部と同様にどこか淡々とした印象を与えるのは、羅針盤の空気なのだろうか。最後は、音の粒子がキラキラ光って見えそうなほど美しいノイズギターが会場を包み込む「ゆめ」で幕を閉じた。

 二部構成で行われた今日のライブでは、二つの趣の異なるステージが披露された。しかし、実際のところ、最小限の音数で奏でられた一曲目の「不在」から、ノイズギターで彩られていた本編最後の曲「ゆめ」まで、徐々に演奏が肉付けされていく様子は、連続した一つの長い旅を体験しているようだった。途中、曲順を忘れたり、第一部が終わるまで後一曲というところで休憩を取ったりと、一見行き当たりばったりなステージにも見えたけれど、三時間も飽きさせずにオーディエンスを引き付けていられたのは、やはり、しっかりと構成が取れていたからではないだろうか。ちょっとぬけた感じが、実は頭のキレる奴の照れ隠しだったとでもいうような。羅針盤のステージ同様、淡々としていて素朴そうな山本は、実は結構な策略家なのかもしれない。

report by dak and photo by saya38.


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