pealout @ 心斎橋クアトロ (15th Nov. '01)

劇薬? それとも良薬?



 

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 きみの心の中に動き続ける密やかな良心。それが、映し出すのは恥ずかしい自分の姿かも。でも、きみのビートは、確かにずっと歩き続けていて、そう、そんなグルや教祖さえも必要とはしちゃいないんだ。
ーBEAT FOR YOUR RIGHTー

 そう叫び続けた彼ら。何かに追われながらも自分の信念を信じ、歩み続ける...私はそんなピールアウトの生み出す楽曲達が愛しくてたまらない。ただ強いだけでなく、乱暴なだけでもなく、優しいばかりでもない。そこに隠された狂気や刹那が伝わってきて...日々の日常では見過ごしてしまうような、自分の心に住む「何か」をむき出しにさせる。11/15、心斎橋クアトロ。今日はピールアウトのワンマンライブ。凶器になり、時に薬となるピールアウトの楽曲が聴きたい。それは、もう無意識かもしれない。

 朝焼けのような優しさから始まる「瞬間のカーニバル」で、幕は開けた。儚くも強い世界が次々と顔を見せ、徐々に加速しながらライブは進んでいく。10月に行われた激ロックシンポジウムで見た時よりも、遙かに大きくなっている気がした。いや、より己に近づいただけなのかもしれない。「ロックが好きだ」そんな単純で見失ってしまいがちな気持ち、本能をむき出しにしただけなのかもしれない。彼らの気持ちに答えるかのように観客もひたすら踊り続け、頭を振り、歓声をあげる。それを見て「もっと踊れ!」と彼らが挑発する。そこは本能と本能のぶつかり合い、それしかなかった。

 ボーカル近藤の指には、一つ一つのライブを心底楽しむ証とも言えるであろうテーピングのようなものが巻かれていた。きっと指は痛いだろう。しかし彼は、楽曲の軸であるベースの弦を弾きつづけ、鍵盤に指を叩きつける。岡崎も負けじと、ステージを縦横無尽に走りまわり、ハイの効いたギターを炸裂させる。手数の多い高橋のドラムは、力強くパワーが漲っている。熱気と狂気が入り交じった、凄いパワーが会場中を包み込む。ちょっと人の少ない会場を始まる前は寂しく感じたが、皆が自由に好きなように踊っているため、ライブが始まってしまえば、そんなことを微塵も感じさせなかった。

 中盤に差し掛かったところで披露された「EVERYTHING」は涙が出そうなくらいに優しく、切なく美しい。こんなに静かで優しい「薬」のような曲もあるんだと、気付かされた瞬間だった。その後、触れると火傷しそうなほど熱く尖った「爆裂世界」や「BEAT FOR YOUR RIGHT」など、彼らが疾走し続けるにつれ、どんどん目つきが変わっていくのを感じる。きっと、会場に入る前より鋭くなっているだろう。心の中に狂気が芽生える。音に身体を預け、踊り狂う...最高に気持ちいい瞬間だ。自分がどうにかなってしまいそう。しかし、そんな時間も長くは続かない。ハッと我に返る歌が聞こえてきたからだ。

 太陽が昇る瞬間にすべてが変わるスピード感じたら。ソウルライダー、新しい街がそこに見えてくる!

 なんて強く、前向きな歌なんだろう。ちょっとかすれた近藤の声が心地いい...このままでいたい。白を基調にした照明が、より広がった世界観を演出していて、澄み渡った綺麗な空間だ。新曲「ソウルライダー」は、彼らにしては珍しくバラードではないのに、スローな曲。次の「透明な景色」へのいいバトンとなっている。今までの狂気に満ちた目が、優しさを取り戻す。身体から毒気が抜け、真っ白な脱力感を覚える。

 アンコールでは、「BE(live)」「IT'S THE END OF THE WORLD AS WE KNOW IT (AND I FEEL FINE)世界の終わる日」の2曲を披露。勢いだけではなく、優しさを存分に見せつけ、人々の心の劇薬とも良薬ともなるピールアウト...なのになぜだ? なぜみんなピールアウトの音に耳を傾けない? 純粋で、ちょっとひねくれた正統派ロックバンドのパワー溢れる熱いライブを体験してもらいたい。そう強く願いながらも、多数の人が知らない宝物を持っているような気がして、内心喜んでいる。そんな自分がいるのも事実だ。


なお、写真は東京公演のものを使用しています。
report by shoko and photos by saya38
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The latest album

PEALOUT

『NEW AGE ADVENTURE
CALLED "NO HEART,NO TEARS"』
( 国内盤 )
previous works

『HERE NOT SOMEWHERE』 ( 国内盤 )
『RESPECTABLE ROOSTERS〜a tribute to the roosters』 ( 国内盤 )
『YOU』 ( 国内盤 )
『原始進化』 ( 国内盤 )
『TOUCH AND GO』 ( 国内盤 )
『ソウルライダー』 ( 国内盤 )
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