Bell & Sebastian at ZEPP大阪(2001年11月12日)

 

Bell & Sebastian

 

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今、見ておくべきライヴ

 

 待ち焦がれていたベル&セバスチャンの初来日公演、それも今夜が初日。会場には外国人のグループも多く、世界中に熱狂的なファンを持つ彼等らしいバラエティ豊かなオーディエンスで満員御礼状態。高まる期待で熱気ムンムンの開演直前、メンバーの御家族御一行様と思われる団体が手を振りながら2階席に登場し、フレンドリーな空気が会場に漂う。メンバーの子供だろうか?小さな子供がニコニコと笑っていてかわいい。なんともベルセバらしい雰囲気に笑ってしまった。

 19時10分、待ちにまったメンバーが登場。12人(後方の私が確認できた人数なので、もっといたかも)の大所帯がラフに手を振る姿には「本物のインディペンデント精神」を貫くガンコさは感じない。最後に、スチュワート・マードックがニコニコ笑顔で出てくる。ミーハー発言するけど、目の前のスチュワート、かなりかわいい!! 短い前髪にチェックのシャツ(これは1曲目で脱いだけど)、無地のT-シャツと黒のパンツという何気ないファッションも彼らしい。(余談だけど、イギリスのバンドとアメリカのバンドのオシャレ度の違いは服のサイズだと思う。イギリスのバンドって大概ジャストサイズの服を着てるからスタイリッシュに見えるんだよね。)

 いきなし、そのルックスだけでココロを鷲掴みされたところに「La Pastie De La Bourgeoisie」が鳴り響く。CDと同じ完璧なアンサンブルを耳にしたこの瞬間、みんな自分に確かめたのではないだろうか「これは現実だよね?」と。渇望しながら、半ば諦めかけていたライブで、そのまんまのベルセバ音楽に包まれ、さらにイキイキとしたバンドの音で届いてきたのだから!

 これだけ多くの楽器をバランスよく鳴らすには、かなりの集中力と徹底したリハーサルが必要だと思うけど、ステージの彼等はなんとも楽しそうに演奏している。2曲目の夢見ポップ「There`s Too Much Love」では、なんとスチュワート・マードックが踊りまくっているではないか! スチュワート踊れたんだね…なんとなく勝手に踊れない人と思ってた(失礼)。そのうえ、ハンドマイクをぐるぐる回してキャッチするという技も披露。うまくキャッチ出来た時のニッと笑った顔が悪戯っ子ぽくて可笑しい。1曲目でのオーディエンスは、ちょっと戸惑い気味だったようにも感じたけど、2曲目のこの曲から放たれる徹底したハッピーポップに手拍子が起こり、身体を揺らしはじめる。

 そして、4曲目の「I Fought In A War」。スチュワートの澄み切った歌声が空気を一変させる。完璧に美しく、どこまでも優しい世界。これは後半の「Fox In The Snow」でも感じたけど、この美しい世界と自分の抱える現実が頭の中で交差したとき、自分の存在をすごく愛おしく感じた。意味もなく、自分の人生をいきるって素晴らしいことなんだよね、なんて思う。人は単純に幸せな瞬間を味わうと、すべてを愛したくなるらしい。やっぱり音楽は人を救うと思う。暖かいスチュワートの声が、体の隅々に染みわたる快感。泣き虫の私は涙が溢れて止まらなくなる。ふと見ると、隣の2人組の女の子も泣いていた。

 今回は初来日ということもあってか、昔の曲も多く演りファンのツボを押しまくる曲構成だったのだけど、すべての曲から感じるのは大きく包み込むやさしさだった。それはイザベルがメインボーカルでも、スティ−ヴィーでも同じ。(これまた余談だけど、イザベル太ってたなぁ。なんとなく『バッファロー66』のクリスティ−ナ・リッチみたいでチャーミングだったけど。)フロントに並ぶスチュワートとスティ−ヴィーの子供のようなジャレ合いも無邪気で楽しい。(スティ−ヴィーがボーカルを取る「The Wrong Girl」では、完璧なハモリとともにタンバリンを投げ合う微笑ましすぎる一場面もあった。)スチュワートもよくしゃべりオーディエンスとコミュニケーションを図っていたが、しかし、英語が理解できない私には、なに言ってるんだかわからない!! スティ−ヴィーが「日本語が話せなくてごめんね」と言ったことだけは理解できたんだけど…(今度こそ英語を勉強してやる!)

 ラストは「Legal Man」で怒濤POP攻撃。こんな曲を演奏されたら踊るしかないでしょう! 一気に会場はダンスホールと化し、笑顔で跳ね、大合唱する。色とりどりのカラフルなライトの下、ありったけの楽しみと幸せの音楽を大放出してくれる完璧なポップバンドの完璧なラスト。スチュワートは誰かが置いていた花束もちゃんと拾いあげ、笑顔で去っていった。

 しかし、感動的なエンディングは最後にまだ残っていた。メンバーが去った後、客電がついてもオーディエンスは立ち去らず、10分以上、拍手と歓声を鳴らし続けたのだ。その拍手は、アンコールを求めるより、「ありがとう」という感謝の拍手に私は聞こえた。結局、アンコールはなかったけど、みんな大満足だったと思う。だって、 帰り道で口々に「幸せだったよね〜」と笑顔で語合ってたもの。

 いい気分で家に帰ってテレビをつけたら、また飛行機が墜落したという。「その光景を見た!」と喜々として語るアホなヤジ馬が映っている。完全に壊れてしまったクソな世界。でも私は、まだまだ楽しく生きていける。今夜、私は本物の幸せを実感してきたのだから。

Reported by uramasa


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