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What's the style? 週刊誌ぴあが不定期に行っている洋邦クロスオーバー・イベント「STYLE」。今回はアイルランドの新星JJ72が出演するということで行ってみた。 このJJ72に対抗するのはfra-foaという日本のバンド。これに関しては名前くらいしか聞いたことない。前にこのバンドのライブに行った友達が、なにやらボーカルの女性がかわいい! っていうのを聞いたときに初めてfra-foaというバンド名を聞いた。 まぁ、せっかくなのでこの前座(?)のバンドも見てみようか、ということで開演10分前に会場の渋谷クアトロに入った。 まず驚いたのが客の少なさ! fra-foaの始まる前の時点でまだ6割位しか客が入っていない。それに客層などを見る限り、ここにいる客の半分以上がfra-foa目当てで来ているようだ。最近よく感じるんだけど、改めて日本って洋楽好きが少ないなぁって実感。前回3月にJJ72が単独公演を行ったときはこの会場が2日間もいっぱいにできたのに、あれからわずか数ヶ月でここまであの盛り上がりが冷めてしまうとは。その3月の初来日の時はいろいろな音楽雑誌がJJ72を盛り上げていたけど、今回の来日を取り上げている雑誌は全くなかった。有名洋楽雑誌がアーティストを取り上げるか取り上げないかでここまで違ってしまうのかと少しがっかりしてしまった。 fra-foa 開演時間を10分ほど遅れてまず出てきたのがfra-foaで、ボーカル、ギター、ベース、ドラムの4人編成のバンド。 噂に聞いていたボーカルの女性は見るからに細くて、これでロックのボーカルなんてできるのか? と思いきや、このボーカルが凄まじかった。今回の約50分のセットで、前半は結構淡々と歌っていたんだけど、中盤に差し掛かったあたりでこのボーカルがキレた。突然狂ったようにマイクを持って暴れだし、その後のMCなんかゼーゼー言って何を言ってるんだかわかりゃしない。 曲の紹介で客からかなりの歓声が聞こえた"青白い月"という曲。この曲を今回洋楽バンドとの対バンイベントということで、歌詞を英語にして歌ったんだけど、この曲がすばらしかった。Radioheadにも通じるところのある名バラードで、サビの部分で自分を失ったようなボーカルに思わず息を呑んでしまう。 このfra-foaというバンド、ベースの人の風貌や一曲目に演奏された曲からすると普通のビジュアル系バンドかな? って思ったけど、最後にはカリスマ性すら感じてしまったボーカルと他のメンバーの演奏に対する直向さからはロックに対する凄まじいくらいの情熱を感じることができた。 fra-foaがステージを去り、セットチェンジ中に流れていたのがNirvanaの『INCESTICIDE』。久しぶりにこのアルバムを聴いた。初めて生で直面した偉大なアーティストの死。やっぱりKurt Cobainの声って神懸り的なものを感じるなぁとか考えていると、会場が暗転してJJ72が登場した。 JJ72 今回、茨城県ひたちなか市であったRock In Japanの為に5ヶ月ぶりに来日したアイルランドの若手バンドJJ72。彼らはアイルランドを始め、イギリスでは2500人規模のライブ会場を売り切れにしてしまうほどの盛り上がり。しかしこの渋谷クラブクアトロのステージ前は5列ほどの人しかいない。 この二日前、JJ72はThe Jon Spencer Blues Explosionと共に唯一の洋楽アーティストとしてRock In Japanに参加していた。このイベントの掲示板で、トリのアーティストの場所取りで最前列に陣取っていた女の子がジョンスペのライブ中に化粧直しを始めていたという書き込みを読んだ。日本でかなりの人気を誇るジョンスペでさえこの状況だった事を考えると、未だに一般的にはあまり知られていないJJ72のライブはどんな事になっていたかを想像するとやりきれなくなってくる。 そして今回のJJ72のライブはとにかく演奏がざつで前半4曲は特にひどかった。3月に同じクアトロで見たときは持ち味の演奏のダイナミックさとボーカルの力強さに鳥肌が立つくらい感動したのに、この前半の4曲からはそんなJJ72の持ち味が全く伝わってこない。途中ボーカルのMarkが口にした"I love Japan a lot."という言葉も皮肉にしか聞こえない。ここでなんとなくわかった気がした。やっぱりJJ72も週末のRock In Japanでえらい目にあったんだろうなぁ。その時のことがこの日の演奏にも影響してたんでしょう。 この日のお客さんの数は本当に少なかったけど、それでも熱狂的なステージ前のファンの声援に答えるかのように、ようやく5曲目の"Snow"あたりからJJ72の演奏は本来の調子を取り戻していった。終盤に演奏された"Oxygen"と"Undercover Angel"では逆な意味でキレたかなって思わせるくらい、トリオとは思えないほどの音の重圧さとパフォーマンスでステージに全く未練がないかのようにあっさりとステージを後にしていった。 やっぱりなんかやりきれない。初来日時は散々盛り上げておいて、その後はなんのフォローもすることなくRock In Japanという全くラインアップ的に関係のないイベントに呼んでしまう日本の雑誌ってどうなんだろう。日本にフェスティバルができ、日本の洋楽シーンも前代未聞の盛り上がりを見せている。でも今回のJJ72のライブを見る限り、まだまだなのかなぁと思った。 -- JJ72 setlist --
01. OCTOBER SWIMMER
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