Ben Harper & The Innocent Criminals
@ 新宿リキッドルーム (17th and 18th Jun. '01) - part2 -


Ben Harper & The Innocent Criminals

 

 

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 東京初日はこのあと、ジミ・ヘンドリックスの"Manic Dpression"へと続き、翌日の2曲目も"Forgiven"から続いたのが同じくジミ・ヘンドリックスの"Voodoo Child"。もちろんながら、ベン・ハーパーのベーシックな部分にブルースがあるのは疑いがないところなんだが、こうやってジミ・ヘンドリックスばりにギターをかき鳴らすあたりを聞けば、かつてのロックが抱えていた最もロック的な部分を彼が見事に形にしているのを感じることができる。とはいっても、逆に、そのジミ・ヘンドリックスや、毎回最後に演奏した"Faded"からつながる"Whole Lotta Love"のオリジナル、レッド・ツェッペリンが、あの独特でワイルドなロックを生み出した源となったのがブルース。そんな意味で言えば、ルーツから一回転して、また新しくブルースやロックが生まれ変わったような... そんな不思議な感覚もする。

 それに時に聞こえてくるスクラッチ(笑)も楽しかった。言うまでもなくヒップホップのエッセンスも充分に抱えているのがベンの音楽。ところが、彼らはそれをギターでやってしまうわけだ。お皿がこすれる音をワイゼンボーン(だっけ?)かで、実際に「弦を擦って」ベンが出すと思えば、ベースのフアンも同じようなことをやってみせる。さすがに本物のスクラッチのように、そこから人間の声なんてのが聞こえてきたりという展開はあり得ないんだが、あのサウンドは確かにヒップホップだと思うのだが、どんなもんだろう。というより、そんなジャンルやスタイルなんてどうでもいいってこと。彼はそれをもいとも簡単に証明しているんだと思う。

 といっても、あのライヴのさなかにそんなことを感じる余裕なんてなかった。確実に目の前にいる人間の指先でギターの弦がはじかれ、リズムが刻まれ、そして、その人の口から声が出て来るという、当たり前の音楽が何よりも心に響いたというか... しかも、そのひとつひとつの音に、(陳腐な言葉かもしれないが)魂を感じるのだ。時には荒々しく、時にはつぶやくように、ひとつひとつの言葉をかみしめるように歌うベンの声がどれほどの響きを持っていたか... それはあの現場にいた人しかわからないだろう。そのひとつひとつの音や声が心に突き刺さってくるような感覚は同じ空間を共有している人間にしか感じることのできない特権だ。

 それにバンドとのコンビネーションも完璧だといってもいいだろう。今回の来日公演を支えているのはオリジナルのイノセント・クリミナルズ。デビュー以来ずっと一緒なのがベースのフアン・ネルソンで、復帰したのがドラムスのオリヴァー・チャールズとパーカッションのリオン・モブリーと、確か、前回の来日には後者の二人は参加していなかったはずだ。スタッフに聞くと、なんでも彼らがベンに合流したのは来日直前で、ほんのわずかのリハーサルでツアー入りしたんだそうな。そのせいか、初日となった大阪では多少ぎごちない部分があったらしいが、17日も18日もそれを感じることは全くできなかった。

 そう言えば、ステージでほとんど話をすることがないのがベン。ところが、東京の初日ではオーディエンスの「ベ〜ン!」という呼びかけに、「Yes!」と応えてみたり、「なにかしゃべってよ」という英語の問いかけに応えてもいた。

「なんであまりしゃべらないかというと、なにか失礼な気がするんだ。理解のできない言葉をしゃべる人間が人前でぐちゃぐちゃしゃべっていたら、気分悪くならない? 特に、アメリカ人って、やたらうるさいじゃないか。いつも大声でわめき立てて... でも、なんにも実のあることなんてしゃべっていないんだよね」

 ちょうど"Sexical Healing'が終わったときだったか、(17日)そんなことを話していたものだ。そして、カーティス・メイフィールドに捧げて作ったという、"Woman In You"へと流れていったように思う。

 もちろん、フロアが大揺れするほど盛り上がったのは、まるでリヴィング・カラーがよみがえったようなタッチの"Ground On Down"や、アルバムには収録されてはいない"Remeber/Superstition"(当然、スティーヴィ・ワンダーの名曲です)といったワイルドなナンバーやファンキーな曲。(ちなみに、これを聴いて思い出したのはスティーヴィ・ワンダーではなく、スティーヴィ・レイ・ヴォーンだったけど)

 一方で、アンコールで行われたアコースティック・ギターによるベンの弾き語りの時には会場から誰もいなくなったようにオーディエンスが静まりかえる。彼を求める声や手拍子が会場に渦巻き、ストンピングで床が揺れていたというのに... ベンが静かにギターを抱えて歌い出すと、まるで水を打ったような静けさが訪れる。そして、1曲終わるたびに再び拍手と声がわき上がるのだ。これこそ抵抗するすべもなく聞くものを引き込んでしまうベン・ハーパーの音楽の魅力がなせる技だと言ってもいいだろう。

 両日とも、最後の最後に演奏されたのは前述のツェッペリン・ナンバー。このあたりですでに開演から2時間以上も過ぎているのに、オーディエンスは喜びを爆発させるかのように身体を踊らせている。ツェッペリンが来日した大昔、大阪の厚生年金会館だっけかで彼らのライヴを見たときはこれほど興奮はしなかったなぁ... なんて書けばまた親父の戯れ言か? でも、これほど興奮した"Whole Lotta Love"を体験したことがないのは言うまでもない。

 ライヴが終わって、忘れかけていた音楽がまた自分の元に戻ってきたような... そんな感覚に陥ったのは果たして自分一人だったんだろうか。かつて若かった親父達にもう一度こんな現場に戻ってきたもらいたいと思うし、これこそが10代の頃から30年以上もこだわり続けてきた音楽なんだと再確認できたのがこの二晩だったように思える。

 なお、ベン・ハーパー一行は19日に帰国し、10日間の休み後に、ヨーロッパに向かってツアーを続けるとのこと。そのあたりのスケジュールやセットリストに関してはBen Harperのオフィシャル・ホームページ、http://benharper.net/のsetlist archiveを参照してください。なんと、ライヴでチャットに登場することもあるんだそうな...
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