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ジーザス&ザ・メリーチェイン、プライマル・スクリーム、ティーンエイジ・ファンクラブ、マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン、ライド、オアシス、と自分が大好きなバンドが属していたクリエイション・レーベルを経営していたのがアラン・マッギーである。彼は80年代から90年代を通じて素晴らしいバンドを出し続けてギターサウンド好きのフトコロを痛め続けた会社の社長だった。オアシスの巨大な成功によって富と名声を手に入れたアランは、クリエイションを解散、規模を縮小してマルチメディア・レーベルのポップトーンズ(日本語版ホームページはこちら)を設立して新たな挑戦を続けている。日本で言えば渋谷陽一氏がロッキンオンを解散してミニコミ紙とウェッブサイトを始めたようなもんである(笑)。 そしてアランがロンドンのノッティングヒルゲートで定期的におこなっているDJイベントがRADIO4。「何でも枠組みに入れてしまえ症候群にはウンザリする。インディーナイトにヒップホップナイトにロックナイトに何とかナイトのせいで、聴いたことがあって、だから安心できる音をみんなが求めるようになった。そんなの、クソ食らえだ!!」「アタリ・ティーネイジ・ライオットとニック・ドレイクが一緒にかかったっていいじゃないか。ジョーン・ジェットにウータンクランをミックスして何が悪い。マッド・ハニーをかけるクラブはいっぱいあるけど、同時にキング・タビーをかけるクラブは他にない」(どちらのコメントも会場にあったフリーペーパー「relax 51.25 special poptones issue」より)という何でもアリという精神を打ち出している。今回東京でやるにあたって、当初予定されていたプライマル・スクリームのアンドリュー・イネスが来られなくなって残念だけども、西麻布にあるYellowのフロアは多くの人達で埋まっていた。 会場のYellowは六本木の駅から10分くらい歩く。周りはマンションなどの住宅や小洒落たレストランなどがあり、比較的落ち着いた雰囲気のところにある。はじめて来た人にはちょっと分かりずらいかも。 メインは地下2階のフロアでくらい300〜400人くらいまでは快適に踊ることが出来るだろうか。その隣がバーカウンターで椅子とテーブルがある。地下一階にラウンジスペースがあり、一部吹き抜けのフロアを見下ろせる。その仕切られた隣にも鏡と金属的な内装が特徴で明るい感じのバーカウンターとラウンジスペースがあり、こちらにもDJブースがある。ラウンジスペースにはこの日特別にi-macが置かれてインターネットが出来た。 自分とカメラマン西岡氏が着いたのは開演して1時間過ぎた18時頃。既にフロアは一杯になっていた。先に来ていた人の話によるとアラン・マッギーはリハのときから何でもかけていたらしいが、本当にジャンル関係なし、つなぎのテクニックやBPMも関係なしのDJぶり。 DJはアランとザ・スクリーム・チームのポール・ハート。マドンナの「MUSIC」やクラフトワークの「モデル」やハッピー・マンデーズ「ステップ・オン」などをアクセントに前半はハウスやヒップホップを多めにかけていた。マイ・ブラッディ・ヴァレンタインの「soon」のアンドリュー・ウェザーオールMIXが今日のお客さんが待っていたものだった。それからダフトパンクの「ワン・モア・タイム」のときには手拍子そして大合唱で盛り上がり、この曲の勢いは衰えず。 20時頃、The Montgolfier Brothersのライヴ。メンバーは3人で、大柄のギタリストがスーツにブルーのシャツ、子供っぽい顔つきのもう一人のサポート(?)ギタリストがチノパンにスエードの靴、時折ギターを弾くヴォーカリストがジーンズに白いシャツにジャケット、とお洒落なんだかふだん着なんだか微妙な感じもイギリスぽい。ギターはエフェクターを極力使わず、リズムとストリングス、シンセなどは業務用MD(?DATかも)であらかじめ録音されている音を出していた。ナチュラルなギターと憂いのある声で歌われるのはザ・スミスがスローになった感じの曲。そう思って聴くとヴォーカルがモリッシーそっくりに思えてくる。なんかイギリスの曇り空が似合うバンドだなと思ったらマンチェスター出身だった。しかし、今日のアッパーな選曲が中心のDJタイムからは浮いていたかな。 来ていた人達を直撃してみた。 「ロンドンのロック系クラブに行くと何でもかかるんだけど、そんな感じがして懐かしい。(The Montgolfier Brothersは)イアン・カーティスみたい。曇っている感じで家で聴きたい」ゆきえ 「(The Montgolfier Brothersは)というかヘイデンかな。家で聴き込める。(DJは)つながりがないけど、単純に音楽好きは楽しめる」みゆき 「彼らの趣味がダンス中心でクリエイションがあまりかからないけど、堅苦しくない。気楽な感じ。(自分のクラブイベントに取り入れたいことは)生中継やネットコーナーをやりたい。(アランに要望)キャプテンソウル連れてきて!」 「アランはギャグでジェニファー・ロペスをかけたのですか?マイブラの『soon』 がかかったのがうれしい」千絵&せいこ 「思ったよりヒップホップが多いのが嬉しい。エミネム〜ダフト・パンクはねえだ ろ。(The Montgolfier Brothersは)地味なものでなく派手なのを連れてきて欲し かった」たくま(TOKYO PICKUP!) 「アラン・マッギーのサイン貰ったんで嬉しい。クリエイションがかからないし、『ワン・モア・タイム』は迎合?楽しかったけど」ヒサオ 「イエローはクリーンな感じで思ったより楽しかった。(アランのDJについて)でも本気出してくれ、次回に期待」ジュン 「わかりませんでした。今日までアランがどの人なのか(笑)」カメラマン西岡 「飲んでばかりだった。CD買って下さい。イギリス万歳だな。そんで80年代に戻っていくのか」豊間根(岩盤) 「アラン・マッギーのつなぎはバラバラだけど、それがファンキーだった」マンモーニ高崎(岩盤) 「楽しい!バンドはいまいちだけど、チルアウトには良かったのでは。プロディジーの『smack my bitch up』がかかったけど、今でも良いと思った」ふくちゃん(ハッピーエンド通信) 「UK好きにはいいんじゃないかな」くらげ 「何でもありのポジィティブなノリは日本にないけどこういうのあったら最高だ ね。アラン・マッギーはヘッドホンしてなかった(笑)」テリー(POPIT!) ライヴが一時間ほどで終わり、再びDJタイム。ダブっぽいのからはじまり、クラフトワーク「ショールーム・ダミー」、ニューオーダー「ファイン・タイム」、ハッピー・マンデーズ「キンキーアフロ」など。しばらく立て続けにハピマンとかニューオーダーがかかったのでクリエイションと言うよりはファクトリーという感じ。聞いた話によるとアランはポップトーンズやクリエイションはかけない方針らしい。そして、最後の方は凄かった。マドンナ「イントゥ・ザ・グルーヴ」、プライマル・スクリーム「アクセラレーター」、AC/DC「フー・メイド・フー」、イギー・ポップ「ラスト・フォー・ライフ」、ニューヨーク・ドールズ「パーソナル・クライシス」、レッド・ツェッペリン「ホール・ロッタ・ラヴ」、ラモーンズ「シーナ・イズ・パンクロッカー」などかかり(この辺は全てメモ取ってないんでうろ覚え)、もう一回ダフパン「ワン・モア・タイム」、次がガンズ・アンド・ローゼスの「パラダイス・シティー」。この曲くらいの時間で自分は終電なので帰ったけど、最後まで居た人によるとアンコールの声が上がってビリー・アイドルがかかったという・・・。曲名を見ていけば、本当に何でもアリなイベントだと言うことが分かるだろう。クリエイション〜ポップトーンに至るアラン・マッギーのクリエイションでの仕事、ある種イギリス的なギターサウンドを生み出したルーツはヒップ・ホップやハードロックも受け入れる豊かな土壌に根差していたということがよくわかる。そして、このジャンルに囚われずに音楽を楽しむ姿勢が彼の原動力であるのだ。 コメントの協力どうもありがとうございました。 Reported by Nobuyuki.
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