OlO at 青山CAY(2001年3月10日)
rovo
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olo

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olo

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ゆったりした時間の流れるフライトはいかが?

 

 まずは、ゲストの勝井祐二(ヴァイオリン:ROVO、渋さ知らズ)、ヒゴヒロシ(ベース:Ijar Connect)、芳垣安洋(ドラムス:ROVO、Vincent Atmicus)、益子樹(シンセサイザーなど:ROVO、DUB SQUAD)のセッション。客席から楽器を持ってゾロゾロと登場する。

 

 芳垣が吹くジョーズ・ハープで始まる。そこから徐々に音が加わる展開に起承転結があり、海にいるような音のうねりに身をゆだねていると、いろんな感情が交錯して酩酊を誘い覚醒を促す。それにしても時に優美に、時に攻撃的な勝井のエレクトリック・ヴァイオリンがさまざまなエフェクターを駆使して空間を作っていく。

 

 ヴァイオリンを構える姿も往年のギターヒーロー、例えば、全盛期のジミー・ペイジとかジェフ・ベックのような格好良さがある。益子もジョン・ケイルみたいな静かな存在感がある。おそらく、後半では勝井が弾いたフレーズをその場でサンプリングしてループを作っていたと思われる。それが生演奏と組み合わさって高揚感を演出させるのに効果的だった。

 

 ヒゴのベースも手数が多くて太い音だったし、芳垣のドラムもパワフルかつ正確。このグルーヴは凄まじい。踊る音楽にさらに、1972年あたりのキング・クリムゾンを思わせるプログレ的な要素もある。自分もいちばん前に座って彼らの世界に引き込まれながら観ていた。

 

 そして、オーロウ。いかにもアメリカの学生ぽい雰囲気があるカジュアルな服装で登場。そんな彼らが出す音はホンワカして、初期のピンク・フロイドみたいな感じ。

 

 飛行機の窓から撮った映像や機内スクリーンに出る「現在の高度何フィート」とか「現在この辺を飛んでます」(アラスカ上空だった)という表示がステージの背後のスクリーンにさまざまな映像が映し出されている中のひとつとして見ることが出来たので連想なのだけど、彼らの音楽は飛行機での旅を思い起こさせる。

 

 超音速で飛んでいるのに機内はゆったりと時間が流れ、熱くもなく寒くもなく一定に温度が保たれる感じ。映画や音楽で楽しんでいるのに、窓を見ると広大な森林地帯や果てがない海や夜の闇で孤独感を味わい、少々の不安感が消えることがない、という飛行機の旅である。

 

 長距離のフライトの機内で観る映画がしばしば眠りを誘い印象が断片的になるのだけど、彼らの音楽も断片化した印象を繰り返していって観客を心地よくさせる。どの時点で聴いても心地好い音響が鳴っているのだ。

 

 ところで、このバンドはチラシに「謎の5人組!」と書いてあったが写真を見ても分かるとおりステージには4人しかいない。5人目ってどこにいました?みなさん。それが「謎」なのかも。

 

セットリスト(原文のまま)

improv(A)
Death through habit
Multiudes
tennis on Swaymore
pine & powder
to me youre like the sun
ilpoplo
she saved the sum
New 1
100 ・mouse
jump man

協力:西岡


Reported by Nobuyuki.


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