JJ72 at 渋谷クアトロ(2001年3月7日)
 

 

 

JJ72

 

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JJ72

 

JJ72

 

*3月6日公演の写真です。

 

歌がドラマティックなメロディを伴い、
塊となってぶつかってくる...

 

 JJ72(こちらがオフィシャルHPでレコード会社による日本語版はこちらでチェック可能)はきれいなねえちゃんがいるバンドである。そのベーシスト、ヒラリーは眼が大きく鼻筋もすうっと通っていて美しい。やせすぎず、太すぎず、程よく肉が付いている体型もグッド。今日はずっとヒラリーちゃんだけを観ていようと決め、ヒラリーちゃん側に陣取る。

 始まる前にはレディオヘッドの「KID A」が流れている。それがスマッシング・パンプキンズに変わってメンバーが登場。レディオヘッドにスマパンか。多分このバンドはU2も好きだろうな。今の欧米のギターバントが日本のお客さんにもすんなり受け入れられるのはリスナーとしての同世代感があるからだろうな。「同じものを聴いて育った」というのは重要なことだと思う。マニアックなブルースをルーツにしていたストーンズは60年代当初は日本のリスナーになかなか受け入れられなかったと聞く。ビートルズにしても日本で本格的に人気が出てきたのは70年代に入ってからとよく言われているし。今はそういうタイムラグがなくなっている。

 さて、ヒラリーちゃんは黙々とベースを弾き、まるで(小谷育代さんがmagで書いているように)「クールな女王様って感じだ」。それでいて曲の合間に見せる笑顔がまたキュート。 ヒラリー ちゃんの横でギターをかき鳴らして叫んでいる奴がいるな。だいたい内向的で誇大妄 想がある文学青年ってイギリスとかアイルランドには一杯居過ぎだよ。我が心の師、 モリッシーが居れば十分じゃないか。

 途中ヒラリーちゃんとドラマーがステージを去り、文学青年がアコースティックギ ターを手にして歌い始める。喉の調子が悪く高い音が全然出ない。一曲目からあんな に喉を痛めるような歌い方をしていれば当然だよな。なんとかウィットでカバーし笑 いに持っていこうとするけど、苦しいのは変わらない。バンド編成に戻っても、喉の 調子は戻らず、スプレーしたり、うがいしたりして懸命に立て直そうとする。そのせ いかギタープレイが激しくなっていき轟音が刺さってくる。

 いかん。今日はヒラリーちゃんを観に来てたんだ。文学青年を観ている場合じゃな い。だけども気付かぬうちに、渾身の力を込めて歌いギターを弾く文学青年のマーク の一挙手一投足に注目してしまう。声の調子が悪くても、彼の歌がきれいでドラマ ティックなメロディを伴い、塊となってぶつかってきたり、じわじわと染み込んでき たりする。

 マークは喉のトラブルをジョークでかわし、調子が悪くても盛り上げどころと休む ところを作りライブ全体のメリハリを忘れない。ボロボロになった姿をさらけ出す印 象はなく、激しいのにどこか余裕すらあるのだ。アンコールでのギター破壊も高まる 衝動を抑えきれずというものでなく効果的な演出のひとつである。なぜなら、アン コールで用意されたギターはそれまで使っていたギターとは明らかに違うものだから だ。まるで刑事物のドラマでいつもと違うボロい車が出てくると、それは必ず爆破 シーンがあるというお決まりのようである。

 そんなマークを見て浮かんでくる言葉は「巧み」である。自分の歌に絶大な自信を 持ち、歌をどのように届けたら伝わるのかをよくわきまえている。そう考えると、今 のJJ72はマークの歌を際立たせるためのバンドだといえる。どの曲もマークがギター を爪弾き、そして歌い始め後からベースとドラムが追いかけるという構成になってい る。ドラマーがカウントとって始めた曲がなかったでしょ?リズム隊はマークを守り 立てる文字通りの伴奏にしか過ぎず、メンバーが対等に自分を主張し合って「いっ せーのーせ!」で同時にジャーンと音を出すバンドとは明らかに違う。今のバンドは マークの「自分の歌をみんなに聴いてもらいたい!」という情熱と巧みな戦略が勝っ ているけれども、今後他のメンバーが成長してきたらどのように変化するだろうか。 楽しみである。

 ああ、ヒラリーちゃんを観にきたのにマークにしてやられた。ライヴが終わった後 メンバーがステージに出てきてサイン会をおこなう。自分もしっかり全員のサインを もらった。このサイン会はライヴの演奏時間よりも長かったりしたけど(笑)。

---Set List---

1 october swimmer
2 long way south
3 surrender
4 algeria
5 desertion
6 willow
7 undercover angel
8 snow
9 oxygen

---Encore---

10 bumblebee

Reported by Nobuyuki.


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Koichi Hanafusa. They may not be reproduced in any form whatsoever.
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