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開演30分くらい前に、リキッドルームの長い長い階段を上って会場に入ると、まだまだフロアは半分も埋まっていない。去年のフジロックで驚愕のパフォーマンスを繰り広げた(そのレポートはこちらとこれをチェック)ので期待感が膨らんで早くも満員... というわけではなかった。会場を見回すと男女比6:4くらい、おそらくドイツ人なのだろう外国人も多く見かける。来ている人の格好はメタル系やゴス系も居るけれども、多くはTシャツを着たラフな感じ。会場にはヘヴィロック/インダストリアル系の音がずっと流れている。やがて9割方フロアも埋まりおよそ20分押しでメンバーが登場。以下「炎と水の夕べ」ラムシュタインのライヴの全貌である。 1.メンバー ヴォーカル:Till Lindemann。文字通り燃える男。1963年Leipzig生まれ。1988年ソウルオリンピックの水泳選手。以前First Arschというバンドにドラマーだった。さすがに水泳選手だけあって筋肉がすごい。首を振り、マイクを頭に打ちつけ、シャウトする激しいパフォーマンスが特徴。 リード・ギター:Richard Z. Kruspe。1967年Wittenburg生まれ。以前Orgasm Death Gimmickというバンドにいた。昔セールスマンをしていた。最初は衿と裾が光る服を着て登場。どことなくレオナルド・ディカプリオに似ている気も。 リズムギター:Paul Landers。1964年ベルリン生まれ。Feeling Bというバンドにいた。自分のパートを演奏しない時は腕を組んで客席を睨みつけている。怖そうな人かと思いきや、そうでもない。 キーボード:Christian "Flake" Lorenz。1966年ベルリン生まれ。Paulと同じくFelling Bというバンドにいた。工具職人をしていた噂も。メンバー唯一の筋肉なしのいじめられキャラ。プリセットされていたものをそのまま使っていると思われるチープなシンセ音が特徴。キーボードを弾く時の仕草も笑える。 ドラムス:Christoph Schneider。1966年ベルリン生まれ。以前にDie Firma、それから上の二人と同じくFelling Bにいた。前のバンドではシンガーだったらしい。飛びぬけて上手いということもないけれどもパワフルなプレイを見せてくれる。 ベース:Oliver Reidel。1971年Schwerin生まれでメンバー中最年少。こう考えるとみんな良い年したオッサンなんだな。以前にThe Inchtabokatablesというバンドにいた。漆喰職人をやっていたらしい。仁王像、山海塾、オ○ム・・・などこの人を見ているといろんな言葉が浮かぶ。スキンヘッドで2メートルもある大男。初めは変なマスクをかぶって登場する(写真参照)。やたらロボット的な動きをするのも意味不明。 まあ、見た目はドイツの電撃ネットワークと言うべきか。メンバーの髪は青白く染められ、登場時はシルバーの服で統一された。基本的には筋肉隆々のごつい大男の集団である。 2.サウンド では、音は?というとインダストリアル入ったヘビーメタルという感じである。CDで顕著なのは音が薄くて軽いことである。だけども、硬質なドイツ語の響きが荘厳さを感じさせるのは、スロベニアのロックバンド、ライバッハを思い出させる(言葉は違うけど)。あまりに迫力ないので、今度出るアルバムはせめてナイン・インチ・ネイルズくらいのヘヴィな音が聴けるように改善されていることを望む。 しかし各プレーヤは健闘し、ライヴではきちんとヘヴィで硬質な音を出しているので、あまり物足りなさを感じない。先述のクリスティアンのチープな音色のキーボードもライヴではいいアクセントになっている。曲と曲の途中に他のメンバーが出し物を仕込んでいるときでもドラムとキーボードが音を出してライヴの流れが途切れないようにしているのは好感が持てた。 3.事件の数々 ・燃えるマント事件 彼らのライヴは硬質で重いギターのリフの「Rammstein」で幕を開ける。メンバーが演奏する中、ヴォーカルのティルが最後に出てくる。彼が歌い出すといきなりマントから炎が(写真参照)。ティルも手慣れた感じでお構いなく歌っている。炎は歌の途中で無事消えた模様。 ・一人SM事件 「Bestrafe mich」の前にムチを手にしたティル。歌っている時に激しく自分に向かってムチを叩きつける。何なんだ?それって気持ちいいのか!? ・ブーツからファイヤー事件 「Weisses Fleisch」でドラムソロ、クリスティアンの変な踊りの間に、ステージ袖に行き何やら仕込んできたティル。歌っている途中、ブーツから炎が。炎的には普通の花火並であったが。 ・爆竹爆破事件 「Sehnsucht」のイントロにあわせて爆竹というか火薬がパン!パン!と鳴る。あと、どの曲だか忘れたが、ティルがマイクを自分の頭に打ち付け(もちろん「ゴン!ゴン!」という音が聴こえてくる)、マイクスタンドを振り回し、最後にスピーカーにスタンドが当たると、そこでも「パン!」と火薬が爆発。前の方で観ていた客の一人は「スピーカー横でクラッカーが鳴った時は、マジで鼓膜が破れそうになった。それだけは辞めて欲しい」と言っていました。 ・マイクスタンド炎上事件 「Asche zu Asche」(このタイトル、デヴィッド・ボウイの「ashes to ashes」と同じなわけだ)の演奏前にスタッフがリチャードとポールのマイクスタンドの前に何やら液体を塗っている。そして、演奏中に案の定、炎上する(写真参照)。ついでにドラムセットの前にも二つの炎が燃えさかる。このとき赤っぽい照明と合わせて祭壇のような美しさであった(写真参照)。 ・ゴムボート航海事件 「Heirate mich」演奏中にリズムギターのポールがゴムボートに乗り、フロアに乗り出す。フロアのお客さんたちは運動会の大玉送りよろしく、ゴムボートを進ませる。フジロックの時にはベースのオリヴィエが乗っていたらしい。乗る順番でも決まっているのだろうか? ・炎の弓事件 「Du riechst so gut」では燃える弓を手にしてティルが登場。それをぐるんぐるん振り回す。本国ドイツのライヴではそこから火のついた矢を客席に射るのだけど(これじゃ、まるで源平合戦か戦国時代だよ・・・)さすがに日本では出来なかったみたい。 ・燃えるキーボード事件 「Buck dich」のイントロ、キーボードがステージ前方に置かれリードギターのリチャードが弾く。ドラムンベースぽいリズムをバックにしながらサンプリングされている「フー」とか「ブックディッヒ」という声を出し、観客とのコール&レスポンスを行なう。そして、その音が出ているキーボードが炎上。リチャードがギターに戻りスタッフが布をかぶせて消火しながらステージ袖へ。 ・チ○ポ事件 この日のクライマックス!燃えるキーボードに引き続いて「Buck dich」の演奏中、ティルがクリスティアンの首についている鎖を引っ張ってステージ中央に連れて行く。もちろん、クリスティアンは予防注射を受ける前の子犬のような嫌がる演技。一旦はティルの手から逃れるも、ティルが一喝すると舞い戻る。よく調教された奴隷なわけだ。そして出た!ティルがチ○ポを取り出しクリスティアンのお尻に液体をぶちまける。それから客席にもぶちまけ、自分の顔にもかける、っていうか飲んでいる。浴びた人の話によると水でなく白く濁っていたようです。一説には牛乳を薄めているとも。写真は最初の3曲だけなのでお見せすることが出来ず残念。 ・ステージで乾杯事件 この日はツアーの最終日だったらしく、本編が終わるとティルが妙に上手い日本語で「ドウモアリガトウ」と挨拶し、メンバーとマネージャーらしき人がステージ中央に集まってワインで乾杯する。まあ、この辺の光景は微笑ましいのだけど、一人だけ乾杯に参加せず演奏させられているメンバーがいた。そう、キーボードのクリスティアン。一応グラスは持たせてもらったようだが。この人は最後までいじめられキャラなのか。 ・指から花火事件 アンコールでも彼らはやってくれます。ステージの袖で何やら仕込んだティルは、指から炎が出るグローブらしきものをはめ、手をグルグル回す。最後の最後まで「火」と「水」であった。 ライヴは客席の反応は良かったがダイヴはなかった。まあ、火にあぶられたりしたら危ないもんな。大阪では火炎放射器や電話の受話器が爆発する出し物があったらしいけど東京ではなかった。その代わりゴムボートが大阪ではなかったとのこと。それにしても、エンターテイメントとしては一級品である。このライヴを観た人たちがまたフジロックで観たいというのもうなづける。 何故か大阪のセットリストを入手出来たので載せておく。ちなみに( )の中の言葉は曲名の横に小さい文字で記されているもので、独和辞典でわかる単語もあるんで暇な人は調べてみてください。 Set List (Osaka 09.02.)
RAMMSTEIN (MANTEL)
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