What's Love? at 渋谷Take Off 7 (17th Jan '01)
スカの花道/演歌のスカ道

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SKAは好きなんだが、ちょっとSKA-COREは苦手。あれ僕の中では完全にスピード違反です。これって悪口じゃないんですよ。「年寄りには付いていけないだよ。お前も歳くったってことだよ。」と以前知人に言われたが、歳と音楽って関係ないとは思っている。ただ僕にはグッと来ないだけっていう、こっちの勝手な受け取り方なんですよね。COREなしの純粋なSKAは本当に好きなんですがねえ。
「歳は関係ない!」とか思っておきながら、今まで洋楽のみしか聴かなかった僕が、ここ数年は日本語がとてもきれいに聴こえる。それも「高田渡」とか「遠藤賢司」とかがじっくり聴けるんですからねえ、これは逆に「歳くって良かった」なんて思えることもあります。
さてそんな音楽に関する気持ちの変化がここ数年あったんですが、上の2つ両方を兼ね揃えてくれるバンドを発見。
What's Love
そもそもは知人からの前々からの推薦「最近入れ込んでるバンドがあってねえ、SKAでねぇ。」なんていう前情報はあったんですが、「流行りのSKA-COREなのかな」なんて思ってまして、その日も偶然その人へ渡し物があったので、「待ち合わせどこにします?」「What's Loveのライブがあるんよ、待ち合わせそこにしよう。」というふうに思いがけずに初のWhat's Love体験となったわけです。
1月17日、場所は渋谷のTake Off 7。 この場所行くのは初めてだったんですが、入った瞬間感じたのは「このライブハウスの小ささ、懐かしぃ!」って気持ち。 その日はなにやら東放学園のイベント(コンサート企画の実践実習みたいなのかな? 音響の実践勉強とかかな? いいなぁ、そんなのを“勉強”できるなんて。)ということもあって、オーディエンス(生徒?)も10代の若者が多く、その中から僕の待ち合わせの人(自称:45歳)は非常に見つけ易かった。もう演奏開始直前ということもあってその人からは「このバンドは絶対ええからねぇ、観といた方がええで。」程度の会話だけで後はステージ脇近くでゆっくり開始を待つことにした。
メンバー登場。 「え〜、人数多いバンドなんや〜。」ホーン隊3人含む総勢8人の構成。後で分かったことだがWhat's Loveとしてのメンバーは3人で、あとの5人はサポートメンバーとのこと。ボーカル兼ギターの方(matt'sさん)とホーンの男性1人は始めっから上半身裸で登場。裸でギターストラップを掛ける姿やトランペットを構える姿は結構“ロックンローラー”という感じで格好いい。さて演奏開始(っと話が行く前に、僕その寸前まで“SKA-CORE”がくるもんだと思い込んでたということを説明しておきます。)
あれ? 遅い(言ってみれば“遅い”んじゃなくて、丁度いいリズム。 “SKA-CORE”よりは遅いってこと)。遅いどころか気持ちいいよ! そのリズムに合わせて、トランペットの男性はイッパツ目の音から踊りだしていて、それにつられてこっちも体が動く。
そうこうしてると歌が入ってきた。はっきり聴こえてくるんですわ、その日本語のひとつひとつが。決してバックの演奏に消されることなく、だからといって歌だけがメインで演奏がカラオケ一本調子といったわけでもなく、言葉は丁寧に選ばれたような日本語。巷ではびこる聴きとれない日本語や意味の分からない英語混じりでもなく、お偉い大先生作家さんが書いたようなお偉い文学語(果てに、その日本語も日本語としては意味を持たなくなってしまう)でもなく、Matt'sさんの口から出てくるのは普段の話し言葉の日本語。音も大きく反響し客がガサガサしがちなライブの最中にこれだけはっきりと日本語が聴こえ、またスッキリ頭に入ってくるのも珍しい。いや、待てよ、こんな気持ちここ数年にもあったなぁ? 去年のFuji Rock、ソウルフラワーユニオンの中川さんを思い出した。そう考えているとMatt'sさんの声ってニューエストモデル時代の中川さんの声にも似てるのかな、なんても思えてきた。
そんなことを考えていながら2、3曲と聴いているとまったくのSKA-COREではないのは承知したが、そのうえSKAでも、かなりオーセンティックなSKAもあり、クラシックなREGGAEな曲もありと繰り広げられる。SKAに良くある「どの曲も同じに聴こえてしまう」ということはない。そんな気持ち良いリズムにじっくり聞かせる歌詞が乗るもんだから、踊っていたいが、歌詞もじっくり聴いていたいという贅沢な選択に悩まされていた。そんな迷いは解決簡単。 「今日はジックリ聴こう、で、今度またライブ行った時は踊ろう。で、今度行く前にはCDも買って一緒に口ずさみながら踊ろう。」完全にハマッテしまいましたよ。
そういえばこの日のライブでは飛び入りゲストがあった。演奏も開始して4〜5曲ぐらいたった頃か僕の横(ステージ脇/アンプの横にいたので)に綺麗な女性がコソコソと入ってきた。そしてアンプの裏側で荷物を降ろし、コートを脱ぎ、上着を脱ぎ出す。まるでどこかのダンサーのような派手な色のワンピースドレスだけの姿に。「いやぁ、こんな気合いの入ったファンがWhat's Loveにいてるんやぁ。」なんて思っていると、ステージ上のMatt'sさんから「今日のスペシャルゲストです」と紹介が入ると、なんと隣に立ってたその女性がステージに向かうじゃありませんか!
なんとTROJANS/TOP CATSのメグミさん!(去年のFUJI ROCKのTROJANSステージで覚えている人も多いのでわ。)なんでもMatt'sさんとメグミさんは昔からの知人らしく、紹介では「僕のお姉さん!」とか「この人なくしては今のWhat's Loveはない!」なんてことも言われてました。なんでも今回の帰国は「PC買いに帰ってきただけ。」とのこと。何の準備もなかったようですが、この時のメグミさんは格好良かったですよ。衣装やメイクは女のお色気たっぷりって感じなんですが、サックスの吹きっぷりは男気を感じるほど。
さて、そんな速攻で惚れ込んでしまったWhat's Loveだが、今回のこのレポートだけではまだ格好良さが伝えれていないと自分でも思う程。他になんと表現すればいいのか…。
「男(日本男児に限る)を濡らし、女(大和撫子に限る)を立たせる、平成のニッポン歌謡スカ」とでも言いましょうか(これじゃ、よけいに分からないって? ごめんなさい。)
この次の日に彼等のマキシシングルCD「かえり路」を買って当分聴き込んだ頃に、先日にはセカンドマキシシングル「泣ける程」が発売された。2枚とも素晴らしい音がつまっている。特に「泣ける程」に収録されている「(ディープレゲエ版)みちのく一人旅」は最高のスカ演歌と言えるだろう。 「すべての若きニッポン野郎ども<All the young Japanese Dudes>」に捧げてほしい。(次回の2/14スカ帝国ライブでこの曲を演奏するのを心から願います。)また機会があれば、これらのCDのレビューもこの場で伝えればと思います。
追伸: 前述にも話した、Fuji Rockのソウルフラワーユニオンを思い出したともあるが、あの“大自然”の中という環境もがあって中川さんの歌う日本語のパワーが倍増したということもあったのだろうと思う。今年、苗場の空の下で“What's Loveのニホンゴ”が響いてくれれば、このバンドを知らないであろう観衆達をも心を釘付けにすること間違いなしだと思うのだが…。
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Mag files
「スカ帝国」番外編は歌謡曲のにおいがする : (01/03/22 @ Shinjuku Loft) : review by nob, photo by hanasan
スカの花道/演歌のスカ道 : (01/01/17 @ Shibuya Take Off 7) : review by nishioka, photo by hanasan
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