Limp Bizkit at 幕張MESSE(13th January 2001)
 

宇頭巻  

宇頭巻  

宇頭巻  

 

Limp Bizkit  

Limp Bizkit  

Limp Bizkit  

Limp Bizkit  

Limp Bizkit  

Limp Bizkit  

Limp Bizkit  

Limp Bizkit  

Limp Bizkit  

Limp Bizkit  


LImp Bizkitも何よりもリスナーを信じている!

 幕張は遠い。新木場駅から電車で30分くらいかかる。以前に幕張にある会社に勤めていたので、自分としてはこんなもんだろと思うのだけど、同行したH氏は「まだ着かないの?」とうんざりした顔でつぶやく。ようやく駅に着くと改札口は人が溢れていて、会場までそれが途切れない。会場の幕張の無機質な建物群の周囲にも大勢の人がいて、洋楽不況が嘆かれる昨今、アイドル系でない洋楽のライヴでこんなに集まるなんていうのはそれだけで嬉しくなってしまう。女の子や外国人の比率も高い。

 だけども、お客さんは寒空の下を会場の周りをグルグル回されてようやく入れたわけで、ご苦労様でした。誘導の係員にいろんな意見あるけど、そういう係員のバイトをした経験から言うと雇う警備の会社は最小限のことしか言わないで、あとはそこに立っていろというのでイレギュラーなことには全く対応できない。どう対応するかのマニュアルを小さい冊子にして持たせればそれだけでも違うと思うけどね。警備の会社もちょっとしたことで改善できる点はある。

 会場はエレクトラグライドをやった会場の道路を挟んだ向かいにあって、巨大な展示場を二分して半分は物販・飲食エリア、半分はステージとフロアだった。フロアは既に埋まっている。飲食エリアに戻り友人たちと何か食おうとしたら焼きそばは売り切れ、ホッド・ドッグとビールで乾杯する。

 のんびりしているとステージからは轟音が聴こえてくる。前座の宇頭巻である。

「2年前に大阪で観たときと比べ、ヴォーカルが2人になり、演奏力も成長した」

 と元大阪在住の友人。MCでは関西弁でヴォーカル2人が掛け合いで喋っているので漫才のようだった。高音から中音域が反響してしまってヴォーカルが聴き辛かったけれども、ハードで疾走感のある音は会場の反応もなかなか良く、ダイヴするものもいた。程よく会場を暖めたところで30分の休憩とアナウンスされる。

 実際は40分くらいたって、会場が暗くなり3rdアルバム『chocolate st★rfish and the hotdog flavored water』の「Intro」が鳴り響き、メンバー登場する。そしてアルバムと同様に『HOT DOG』になだれ込む。ナイン・インチ・ネイルズを挑発した「You wanna fuck me like an animal」というサビで会場は一気に沸点に達した。

 ステージはアメリカにあったような巨大なガンダムのステージセットは無く、後ろにロゴの垂れ幕があるくらいのシンプルなものだけれども、その代わり手を変え品を変えお客さんを飽きさせないようにしていた。ほとんどのMCを同時通訳させ「この曲はみんなに捧げます。そしてオレにも」と「MY GENERATION」、「FAITH」では会場の最前列にいた女の子を10人くらいステージに上げて「この曲は全ての女の子に捧げます」と言い演奏を始めたり(Aブロックで観ていた人によると、その後女の子たちは客席戻ってこなかったらしい(笑))、確か「MY WAY」では「ライター持っている人はつけて」と何千本ものライターを点灯させ非常にきれいだったし(消防法は大丈夫だったのだろうか・・・)、赤い帽子の男をステージに上げて一緒に右へ左へとステージを所狭しと動き回ったり、自分がいたCブロックの後ろの方だとちょっと見にくかったけど、ブレイクダンサーを6人くらい呼んで彼らの達者なブレイクダンスを披露させたり、「THE ONE」では再び女の子をステージに上げ(今度は一人だけ。ちゃんとフロアに帰されました(笑))、フレッドが自分の彼女に話し掛けるように歌ったり。このように暴れ→休憩→暴れ→休憩のきちんとメリハリをつけ、休みの曲でも決してテンションを切れさせないようにする構成は、よくお客さんのことを考えているなあと感心させられるのだった。

 リンプ・ビスキッドに関して「ガキが聴く音楽だ」とか「産業ヘヴィ・ロックだ」などさまざまな批判があるけれども、今のリスナーには信じられないことかもしれないけど、かつてレッド・ツェッペリンだって長い間、ジェフ・ベック・グループや黒人音楽のパクリだと言われて評論家から嫌われ、ガキが聴く音楽と言われ続けてきたのである。だけども彼らだってそのような悪評にめげることなく活動続けてきたのでそのような地位を築くことが出来たわけで、それはリスナーを信じていたということなのだ。リンプ・ビスキッドも何よりもリスナーを信じている。今度のライヴではそのことが素直に伝わった。

 セットリストには載ってないけどメタリカの「MASTER OF PUPPETS」をカヴァーしていたし、どこかで「LIVIN' IT UP」をやっていたような気がするけどどうでしたっけ?皆さん。この日のハイライトは「NOOKIE」でブロック分けの通路を通ってCブロックまでフレッドが来たときで、Cブロックは大盛り上がり。そして、ラストは「TAKE A LOOK AROUND(theme from“m:i-2”) 」ステージの上が爆発して銀のテープが飛び散る。アンコールは無かった。

 ライヴが終わって友人に話を聞くと概ね好評で十分満喫できたとのことだった。終了後のお客さんの声。

「最高!後ろまで来てくれてお客さんのことをちゃんと考えている」

「後ろまで来てくれてCブロックでも楽しめた。B・BOYは要らなかったけど」

「バカバカしさが楽しかった」

「オルタナのエンターテイメントと言う感じだった。ここまでやればいいんじゃない」

 ところで、このようなライヴで出てくる話は観客のマナーが悪かったと言うことである。ブロック分けの柵や係員をかいくぐって前の方に行く、モッシュやダイヴで怪我をするという話が各掲示板でも出てきている。これは最近この手のライヴの後には幾度も繰り返されているライヴ慣れしていない人VS体いっぱいに楽しむ人(「暴れる人」と言ってもいいんだけど)である。ブロック分けの柵をかいくぐるというのは日本だけで、筆者が体験したアールズコート(横浜アリーナクラス)やウエンブリースタジアム(東京ドームクラス)のオールスタンディングの広い会場でも海外ではそもそも柵で囲むという発想は無いし、前の方にいても大勢の人が押し寄せて苦しくなるようなことは基本的には無い。後から会場に入ってもかなり前の方まで行ける。それは自分たちがどの辺で楽しむのかよくわきまえているのである。

 多分、海外でも長い時間をかけてオールスタンディングのライヴでの身の処し方が出来上がってきたのだと思う。もちろん基本的に欧米には自分の身は自分で守るという教育があるけれども。じゃ、去年のデンマークのロスキルド(ロスキレ)・フェスでのパールジャム事件はどうなんだという人は居るだろうけど、そのような風土の欧米で起きたからこそバンドが活動を停止するんじゃないかというくらい衝撃的だったのである。

 話を戻すと、ダイヴにしてもモッシュにしても一人では出来ないことでコンサートは皆で楽しむものだということを忘れないべきだし、ライヴ慣れしていない人でも前に行ったら何が起きるか想像力を働かせるべきである。おれがこのようなこと書いても何の効果もないかも知れないけども、倒れた人は周りが助けてあげる(先日のバック・ドロップ・ボムのライヴではヴォーカルの人が「今日はダイヴに慣れてない人も来ているから倒れている人が居たらケアしてあげてください」という誠実なMCがあった。ちなみに「NOOKIE」の時にフレッド目掛けて観客が押し寄せて女の子が倒れたときには助けてあげていた人が居た。筆者も2,3人起こしてあげた)、そして、そのようなことに巻き込まれたくない人は前には行かない、そうやって最低限の秩序で皆が楽しめるライヴになることを切に願う。

次の人たちに感謝します(順不同、敬称略):張替、Hiroyasu@Beat-lounge、マツ、かみむら、マーブルリヴァー

-----SET LIST----

Intro

HOT DOG
SHOW ME
BREAK STUFF
MY GENERATION
REARRANGED
FASTLANE
1999
FAITH
(MY WAY)
FULL NELSON
TRIBAL B-BOYS
ROLLIN'
(ONE)
-----
NOOKIE
MISSION


Reported by ノブユキ


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