渋さ知らズ @ 渋谷WOMB(11th January 2001)
めちゃめちゃの...わやくちゃでんな!
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ハッキリ言うて、おもろない。
この日も、渋谷の雑踏を歩きながら、他人の身体がちょっとでも触れただけで、「いてこましたろか、ボケ!」と悪態をつきたくなるような気分。下手したら、最近流行の凶悪17歳少年ノリで、誰かを血まみれにしたろかと.. 思いたいわけやないけど、そうなってもおかしないぐらいの気分なわけですわ。特に、日頃、肉体的な喧嘩なんぞに全然関わっていない人間やから、程度を知らんし... ああゆう残酷な事件というのが、ごくふつうの当たり前の人間だからこそできるんやというのを大いに納得しながら、円山町のホテル街に入っていったわけや。(まぁ、俺が当たり前の普通の人間かどうかは、評価の別れるところやけど。多分、認めてもらえんやろうな...)
まぁ、その時も、また、おもろない。どんどこっちゅうぐらいにアベックがホテルに入っていくのを横目に、WOMBっちゅう、この小屋の場所がようわからん。帰ったろか... とまでは思わんでも、いよいよおもろないモードがおっきなってきたわけや。それでも、まぁ、気分を取り直して、場所をみつけて中に入って... あれっ? 8時開演と思うてたのに、もう始まっとる。で、また、同じ台詞が出てくるわけや。
「ハッキリ言うて、おもろない」
完全にネガティヴなモードで来ているもんやから、ほめ言葉なんか出てくるわけがない。なんやこれ、焼き直しやないけ。みんなで大騒ぎしてるけど、このノリって、そうやなぁ、70年代に見た黒テントや赤テントやな。と、まぁ、そんな悪態が出てくるわけや。
まぁそれでも、せっかく来たんやから、ビールでも飲んで... と、一杯飲みながら、のんびりと構えるわけですわ。ぎょうさん人がおるなぁ... ステージがラッシュ・アワー並みやで。ようもこんなに集めたもんや。しかも、踊ってる人もおる。両側に女の子二人。うぃ〜、色っぺぇ! 早う脱がんかなぁと、ストリップ小屋ノリの雰囲気を期待してしまうわけや。いや、ほんま、期待に胸を膨らませたんやけど、それはなかったなぁ。残念。それでも、ピンク・レディかパフィかっちゅうノリで踊っているのがおもろい。(ちなみに、わたい、パフィーって名前だけしか知りませんのやけど...)
そんでもって、暗黒舞踏ごっこでもしていそうな人が二人、同じように、ぐにょぐにょしながらなんかしとる。なるほどな、いろんあものがごっちゃになっとるわけや。それにバックの絵というか、飾りというか、そういうのを見てると紙芝居の中にでもおるみたい。ひょっとして、けったいなたこ入道みたいな人が出てきて、ジェイムス・ブラウンみたいなノリ出してたけど、あの人のモデルって黄金バットやろうか... なんか、そんなことを思い出してしまいましたわ。
音に関してもいろんなものが聞こえてくるわな。まぁ、ジャズ屋系の人もおるようやから、サン・ラですか、気になるのは? それに、なんや、アノ「ハイデハイデホー」の親父も気になるな。このエンタテインメント性を考えたら、このラインやろうな。そういえば、スリルってバンド、どうなってんろ? あれも、似たようなところにおったような気もする。それにじゃがたらか。(ちなみに、天国でアケミはきっと似たようなことをしてるような気がするねんけど)なんか、こんな名前を出してきたら、支離滅裂になりそうやけど、そのどれもが、けっこう正しいような気もするし...
しやけど、おそらく、この人ら、こんな名前出されても気にもせんやろうな。「しやから、どないしはりましてん」みたいな反応が出てくるのが目に見えるもんな。それより、もっと、ネタをだしたらんかい? とかなんとか、言われそうや。
ああ、まだ、おもろないぞ。いつ帰ろうか? と、まぁ、あくまでネガティヴ気分なもんやから、そんなチャンスを狙っててんけど、あきまへんがな。なにせ、次から次へとけったいなもんが、ぎょうさん出てくるんですわ。傑作やったんは、反町なんとかさんって歌、歌う人の「黒い花びら」やな。あっちゃゃ〜、水原弘でっか? かないませんなぁ、ほんなもん、出されてしもうたら。帰るに帰れんやないですか?
それだけやおまへんでぇ、なにやらふんどしはいたお兄ちゃんが出てきたり、派手派手の関西風園芸風の着物を着たおっちゃんが出てきたり... そうや、これは、あれやな。通天閣の下にある、新世界劇場やったかな。そこでやっているドサ周り芝居の感覚やな。それにチンドン屋が絡んできて... アカン、ネガティヴな気分が薄れてきてしもうた。知らん間にビールも4杯も飲んでしもうたし... これで2000円も使わされた。かなわんなぁ。
と、思ってたら、今度は、空飛ぶ水泳選手でっか? なんじゃらほい? 別にサーカスまでせんでもええでしょと思うてたら、そこまでのことはしませんでしたけど、あんまりアホらして、おもろいです。ハッハッハ。なんか、楽しいなってきた。あ〜あ、アカン、これ、絶対にはまってしもうた。気がついたら、もう10時半。あとから知ったんやけど、本当は8時開演やのに、7時半から演奏を始めたんやと。すでに3時間もこんなことをしてるわけですわ、この人達。いやぁ、おもろい。めちゃくちゃおもろい。
けど、ちょっと待てよ、こんなにたくさん人がおって、この人ら、どうやって飯を食うんやろ。今日のチケット代が3500円。おそらく、メンバーとか、関係者で割ったら、一人100円ぐらいか? なんか、もっと出したげんどアカンのちゃうやろか... けっこう真剣に、そんなことを考えましたな。
それだけやおまへんわ。会場に来る前までは、ヘタしたら、殺人鬼にでもなりそうな気分やったのに、なんか幸せな気分になってきた。かなんな、これ、やっぱり、みんなが言うてた通り、おもろい。めちゃくちゃおもろい。というか、ほんま、こんなところで、ポケ〜っとコンピュータのモニターを眺めててんと、遊びに来んとあきません。と、まぁ、そう思うてるわけで...
実を言うと、この人らの噂を聞いたのはインターネットの世界でやねんけど、これは生でしか堪能できませんで。どんだけ文明が発展して、もし、インターネットで臭いや熱気が伝わるようになっても、やっぱり、どう考えても、現場に来たもんが正解ですな。ぐたぐた屁理屈こねてる間があったら、まずは、体験してみなはれ。少なくとも、この人達の大騒ぎが、ネガティヴ気分満杯やった人間を、ハッピーにすることができたんですから。そう思いますわ。
音楽性がどうのとか、演奏がうまいとかヘタだとか、(本当はうまい人もおるんですけど)そんなことはどうでもよろし。音楽なり、芝居なり、それがどのあたりに通じてるか、それをぐちゃぐちゃ言わんと伝えてくれるのがこの渋さ知らズ。チャンスがあったら、絶対に見に行かんとあきまへん。面白さは保証しまっさ。ほな。
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report by hanasan and photos by nishioka
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めちゃめちゃの、わやくちゃでんな! (01/01/11 @ Shibuya WOMB) : review by hanasan, photo by nishioka
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