Yo La Tengo @ Shinsaibashi Quattro (24th Oct. '00)

楽しかったよ、生ヨラテン!

 

 

 

 

 

 

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 開場と共に駆け込むと、いつもよりもぐっと暗めの照明に、ステージの機材だけがオレンジ色に浮かび上がっている。ヨ・ラ・テンゴなムードだなあとビールを流し込んでいたら、いつのまにやらフロアはぎっしりで、一段高いカウンターからでも、ステージがよく見えないほどに。おお、そうだった。すでにソールド・アウトの超人気ギグなのだ。

 7時にスタートのサポートは、CHILD'S VIEW。以前見たという友人の話では、「40〜50分でも2、3曲。幻想的時々ノイジー」ということだったので、ヨラテンとは納得の組み合わせかなと思っていたが、いざ始まってみると、確かに幻想的かつちょっと不協和音なサウンドに、舌足らずな女の子のヴォーカル…というスタイルでいつ果てるともなく続く。なるほど雰囲気はあるのだけど、正直、ヨラテンの前に延々40分はちと長かった。

 セット・チェンジにバタバタとステージに人が出入りするのを眺めながら、8時20分をまわり、「まだ誰かチューニングしてる。時間かかるなあ…」と思ったら歓声が。あら、失礼!ヨラテンのアイラさんでした。今回が生のヨラテン初体験な私はてっきりローディーさんかと。「ここ大阪に来るのは、2年半ぶりだね」とコメントした後、NIGHT FALLS ON HOBOKENですうっと滑り込むようなスタート。待ちくたびれた身体が、独特の透明な空気で一気に癒されていく。

 ああ、本当の「雰囲気」ってこういうのを言うんだよなあ。さっきまでの退屈にも納得しながら、AUTUMN SWEATER、LET'S SAVE TONY ORLANDO'S HOUSE、と和やかに進み、すっかり浸っていたら、アイラが「みんな静かだね。それもいいけど今からはうるさいよ」コメント。アルバム「PAINFUL」からのノイジーなナンバーを皮切りに、CHERRY CHAPSTICK など、大轟音ギター大会が始まった。さっそくフロアもモッシュ大爆発。

 ああ、そうなのだ。ふんわりと漂うような美しい音もヨラテンなら、一方、JESUS & MARY CHAIN に負けないノイズ・ギター・バンドの彼らでもある。やっぱりジザメリ大好きな私としては、俄然こっちに燃えてしまう。だが、実際に生で見てびっくりしたのは、そんな轟音曲の後でも、まるで何事もなかったかのように、すんなりTEARS IN YOUR EYES のような穏やかなナンバーに戻ってしまうこと。ノイズの爆発と静寂を、これほど境なしに往復してしまうバンドは他にないだろう。  YOU CAN HAVE IT ALLでは、巨漢ジェイムスを中心に3人がマイクの前に勢ぞろい。♪パッパパッパ〜♪ のコーラスと共に、3人が降り付きで踊る姿は、まるでテンプテーションズ。今年のフジでも披露したそうだが、もうやんやの大喝采だ。サビのYOU CAN HAVE IT ALLのフレーズで皆一緒に指差したりもして、いやあ、楽しいったら!

 OUR WAY TO FALLでいったんは静かに本編を締めくくったものの、再びアンコールに登場して、「まだライヴでやったことのない曲なんだ」とアイラが曲についてあれこれ説明を始めた。と、後ろでジョージアが「それはこの曲の話じゃないわよ」とツッコミを。鋭い奥さんぶりに笑いつつも、名もない新曲を披露の後は、リクエストでNOWHERE NEARへ。そして、「誰かこのメッツのTシャツ着てステージ手伝って」とファンをステージに上げて始まったのが、何と、ジェイムス熱唱のディスコ・ナンバー、YOU SEXY THING。いやあ、懐かしい78年、 HOT CHOCOLATEの大ヒットじゃないか。いくらLITTLE HONDAなんてカバーがあるヨラテンでも、これは予想外。う〜ん、一体どういう趣味なんだろう?

 2度目のアンコールではリクエストで、私も大好きなSUGARCUBE。これまたノイジーなギター炸裂。3度目、Please take care…(すみません。曲名わからず)と優しく歌うララバイを残して、たっぷり2時間のステージはようやく終了した。静寂とノイズの爆発と、何が出てくるかわからない楽しさ。そして、何よりそんなすべてを皆で分け合える暖かさ。ずっと、「ヨ・ラ・テンゴ」という妙な名前だけは耳にしていながら、最近の2作まで聴けずにいた私だが、ようやく彼らと向かい合えたことを、心から喜びたい。もちろんベテランの彼らのこと、数多いアルバムにも彼らの魅力は詰まっていると思うけれど、たとえそのすべてを聴き倒しても、1回のライヴほど幸福な気持ちになれるだろうか。そんな事すら思いながら、早くも次の来日が待ち遠しくてたまらない私である。
report by ikuyo and photos by smash
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