Asian Dub Foundation & Audio Active
@ Osaka Bayside Jenny (8th Oct '00)

アジテーターたちのパーティー

 

 

 

 

 

 

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 どうも会場に向かう足取りが重たい。私事ですが急遽金曜から米子に入って(9号線を車で7時間かけて)、現地では一睡もする余裕もなく、なんとか土曜の午後には帰阪したものの、それから夜中までまたべつの仕事で‥‥。今週、残業30時間は超えてるな。地震の被害は奇跡的に少なくて良かったけど。へたするとこの日のライヴも見られへんとこやった。そんなわけで会場に入ってまず目指したのは2階。人山の黒だかりで、まったく空間というものが見当たらないフロアにいる元気はなかったの、ごめんね。螺旋階段を上がるときも、足がもつれてつまずく始末。そのままバー・カウンターに直行して、「アリナミンV」って頼みそうなくらい。ケージのついた螺旋階段にも、一段ごとに人、人、人。 まるで監獄の囚人が、慰問に訪れたバンドをまだか、まだか、と待ってるみたいな雰囲気。ベイサイド・ジェニー自体、ヨーロッパのB級映画に出てくるクラブっぽい。そこから一望できるステージでは、DJがずっとダブを流している。お、PANDIT-G? それにしてもあまり上手くないな。

 AUDIO ACTIVEの1曲目、クラフトワークばりのインスト・アンサンブルに、登場のときには沸き上がった観客も、「‥‥?」って感じで、終わってもまったくリアクションがない。AUDIOに関しては何曲かチラッと聴いたことがあるだけで、もちろんライヴは初めて。そういえばAUDIOもADFも、FRF'98のときは見逃していた。で、印象だが、ぼくには、ダブとハードロックとプログレの焼き直しに感じた。インストの曲は、屋内なのがもったいないくらいのアンサンブルを聴かせてくれたんやけど。曲の毛色がはっきりと違いすぎてるような‥‥。ラストの"Psyco Buzz"で、フロアもようやくボディサーフ。ただ、2階最上手のスタッフエリアにいた金髪、グラサンのおネェーちゃんは例外で、ずっとごきげんにパラパラを踊ってました(笑)。だれが引っ掛けてきたねん!?

 セット・チェンジの間、PANDIT-Gがスピン。その1曲目はナイジェリアの闘争詩人、フェラ・クティの"J'ehin J'ehin"だった。あぁ、と納得。思わず嬉しくなる。溜まった疲れと、いまいち乗り切れなくて下がり気味だったぼくのテンションも、これで憑き物が降りたみたいに、自然と体が動くまで回復。あとは新世紀の煽動家たちの登場を待つのみ。(それにしてもPANIDT-Gの、唐突な選曲とつなぎは相変わらず。もうちょい勉強しぃ〜な)

 DEEDERをしんがりに、残りのメンバーが姿を現すと、オーディエンスはステージに寄せて帰す波の荒々しいうねり。"Committed To Life"が鳴り響き、DEEDERとPANDIT-Gが揃って、体を左右に揺すって踊り、CHANDRASONICとDR.DASはもうステージをダッシュで駆け巡っている。2曲目"Real Great Britain"でパーティーは早くもクライマックス。真っ赤なシャツがお洒落なCHANDRASONICくん(なんか、くん付けしたくなるキャラやねん)が、アジテーターよろしく両手で来い、来い、としきりにオーディエンスを煽り、大きな波になったフロアの、いたるところでサーファーが転がって、例のおネェーちゃんのパラパラにもいっそう熱が入ってるみたい。それもよし、みたいな、なにか寛容な熱気が会場に充満してる。冗談抜きで、とたんに室温が上昇して2階ですらサウナ状態。そりゃあ、"Assassin" "New Way New Life"と立て続けにこられたら、そうなるわな。と、ここでCHANDRASONICくんがギターを担いだまま途中退場。スポークスマンのDEEDERから「ごめん、CHANDRASONICが足を挫いちゃって」とエクスキューズ。頑張りすぎ。その間、DR.DASからアジ演説がある。

 苦笑いのCHANDORASONICくんが、ピョンピョンと右足を引きずりながら戻ってきて、ほどなく再開。テンションはそのままで"Memory War" エスニック音階のギターに導かれた、待ってました"Naxalite"と、パーティー・モードは全開で続く。われらがCHANDRASONICくんは、大丈夫な左足一本でやっぱり飛び跳ねてる。そういう性なんすね、きっと(笑)。それにしても、独特の音階というかメロディーを持つCHANDRASONICのギターは、なんといい音色を聴かせてくれるのだろう。近年、彼に匹敵するギタリストといえば、ジョン・スクワイアーの名前しかちょっと見当たらないんじゃ ないか、と思うくらい。ギターとベース以外は打ち込みのはずなのに、分厚くて角が取れたなめらかなサウンドを、ありったけのエネルギーでぶつけてくる。結構隙間の多い音を密にしてるのは、この奔放すぎるエネルギーなんやな。納得。

「G8が市場を崩壊させる」とPANDIT-Gのコメントのあとの"Crash"、そして「ほんとは"Community Music"をやるはずだったんだけど、ミスで出来ないんだけど、COMMUNITY MUSICってのは教育の場で…」というCHANDRASONICの説明のあたりから、ポリティック・モードに入る構成は、確信犯的。そして、そのメッセージの最後を締めくくったのは「オーサカ, Come join us, join to unite. …We beleave music is human light.」の言葉。ウォーーー!!!という雄叫びとともに、拳を突き上げて応えるオーディエンス。そして流れるのは"Collective Mode(みんなの力を合わせるんだ)" スタイルを持つこと、考えを持つこと、発言すること、ひとつの場に集い、そしてなによりも楽しむこと。いや、もう、四の五の言わず踊りました。

 DR.DASが「次の曲は親友に捧げた曲だ。英語がわかる人は、どうかまわりの人たちに訳して伝えてほしい」 (CHANDRASONICくんが、自分のホームページに日本語訳が載ってるから、ってなことを言ってたけど、帰って検索したけど見つからんかった)と訴えた"Free Satpal Ram"、「Fujiで出来上がった曲だよ」と、絶品のアンサンブルを聴かせてくれた"Scaling New Heights" 。ヒンドゥ語のタイトルコールのあと"Rebel Warrior" 。そしてアンコールなしのラストは、AUDIO ACTIVEのMASAが登場しての「スペシャル・コラボレーション」。

 最後のほうはツアー疲れが見えて、ちょっと息切れ気味だが、それでもその時点でのベスト・アクトを見せてくれたと感じるには充分。ツアースタッフと小屋のPAさんがガッチリ握手を交わす姿にも、そのことは見て取れる。でも、アンコールを待つぼくらの前で、ローディーが淡々と機材をバラしてくのは、ちょっと寂しかったぞ。そしてパラパラ嬢は途中で姿を隠していたが、彼女とCHANDRASONICくんに、ナイスキャラ賞を贈りたいと思います。パチパチ。ふと思い出したのは、ウィリアム・ギブソン著の『あいどる』というSF(というよりポストモダン)小説、ここでは台北出身のアイルランド系中国人がロックスターとして描かれていた。新しい時代に向けて、ADFよ、リアル・ジャイアント・アジテーターになってくれよ。世の中を変えるまで、ぶっといダブ、マエルクム言うところの「正しきダブだや」を、鳴らし続けて、煽動してくれ。

report by ken and photos by hanasan
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