Interview with カニナ(kanina)
絵本の国から届いた音色
絵本という題材を用いて、サウンドとビジュアル、彼らの世界観をぎっしりと詰め込んだ特異なライブスタイルで活動する関西発の新鋭、(カニナ)kanina。ファーストアルバム発売を目前に控えた彼らの目に写るものは何か。夕暮れが近づく公園で率直な意見を聴いてみた。
--Smashing Magに初登場ですが、ご存知の無い方が多いと思われます、カニナとはどんなアーティストなのですか?
説明がなかなか難しいんですけど、小さな物語を生み出して、絵本を書いて、その文章が歌詞になって楽曲になって、絵が映像になって、それらをまるごと詰め込んだものを作っています。あと、良い意味で隙間があると思います。一緒にライブしてみない?」という感じで、ゲストプレイヤーを招いたりします。3人のはずのカニナが5人の日もあれば、8人の日もあったり。でも軸はぶれてないからそれで成立してしまう。足し算引き算をする隙間のあるアーティストかなと思っています。「こうじゃないといけない」というのが好きではないので、型に当てはめ過ぎずに発想をやわらかくして活動しています。
--カニナという活動をしようとしたきっかけを教えてください。
以前やっていたバンドで、楽曲を作る事に行き詰まっていて、さらにベースも脱退するという事になって、どうしようか迷っている時にふと思いつきました。
「あ、絵本やりたい」って。そうしたらイメージがぱっと広がったんです。元々絵を描くのは好きだったので、こういうのをやってみようって提案したら、おもしろそうだからやってみようって事になったんです。ずっと思ってたことなんですけど、「物を作る」って気持ちに境界線とか差は無いなって。自分の出力方法がたまたまこれだっただけで、根源はみんな同じなんじゃないかなって。カニナという形なら、あっちとこっちの橋渡し的な事ができるんじゃないかと思い、希望みたいなものが持てたんです。だいぶ傲慢な話なんですけど、そうなりたいなと思ったんです。
--新しい形を作ろうとしているようですが、どのような種類になるのですか?
新しいと言えば新しいのかもしれないし、だけどライブで映像を取り入れているアーティストなんてもう珍しくないですし。シューゲイザーとかポストロックとかいろいろあるんでしょうけど、ただ好きな感じの音を並べて好きなことをしてるだけなんです。音楽的な活動としては「歌もの」だと思っています。
--A Short Story というアルバムをiTunesで先行発売されたようですが、今回の作品はどのようなコンセプトを持って制作されたのですか?
普段はデスクトップミュージック(DTM)なんです。クラシックの楽器の音なんかもソフトシンセとかでやってしまうんですけど、音源にするなら生にこだわりたいなと思って、いろんなアーティストにレコーディング参加してもらいました。ブックレットもちゃんと最初から絵を描き直して、絵本みたいにしました。カニナは絵と音が合わさってひとつの作品になっているので、ライブで映像を見ながら音を聴くように、ブックレットの絵を見て文字を読みながら音を聴けるようにしました。
あと、3曲収録という事になっているんですけど、本当は全部で1曲なんです。
--今後の展開に関する考えを教えてください。
いろいろあります。自分たちの住んでる関西で土台になるような事をしたいし、関西だけじゃなく国内外問わずに足を運んでみたい。音楽活動って音源つくってライブハウスでライブするのだけじゃないと思うんです。去年、ある福祉施設でアコースティックライブをしたんですけど、そういう音楽活動ももってやっていきたいですね。あと、短編楽曲を映画の挿入歌に使っていただいたんですけど、そうやって音楽以外の創作活動をしている方とも一緒にやっていきたいです。「何がしたいのかよくわからない」という意見もあるんですけど、やりたい事は全部やりたいんです。思いついたことは可能な限り挑戦していきたい。それがカニナだなって思うんです。「橋渡し」という言葉を使いましたが、シーンだけや音楽だけでかたまってしまうんじゃなくて、自分たちとは出力形式の違う人たちと表現方法や場所と接点を持つことで、点と点を線で結ぶ。それをもっと形にしていきたいと思っています。
--映像、音楽、絵本など、何を元に制作されているのですか?また制作の過程などを聞かせてください。
詩になるこの物語ですが、半分は日記のようなものなので、書くと決めたら数時間でできあがります。自問自答が多いのですが、意味はけっこうぼかしています。あまりにダイレクトな表現にしてしまうと自分が辛くなってしまうので。
最初にまず物語を書きます。この物語の文章や登場人物の台詞がそのまま歌詞になります。物語の内容は自伝であったり日記のようなものなので、書くと決めたら数時間でできあがります。自問自答が多いのですが、核心の部分の表現はぼかしています。あまりにダイレクトな表現にしてしまうと自分が辛くなってしまうので。意味をぼかすことで、聴く人の中に「何故だろう?」という疑問が生まれてくれればいいなと思っています。物語はシリーズになっているんですけど、登場する名前のない少年は自分の分身のような人で、わたしが今までの人生で経験した事を同じように経験していくんです。物語を書き終えたら、お話をまとめたイメージイラストを描きます。パステルで紙に描いたり、キャンバスに絵の具で描いたりと形は特に決まっているわけではないのですが、世界観をかためる為にこれを描きます。それからその絵を見ながら楽曲を作っていきます。暗い絵なら寂しげな楽曲になるし、明るい絵なら華やかな楽曲になるんです。そして歌詞をじっと見つめていると、メロディが浮かんでくるんです。言葉が持っている音を拾い集めるんです。楽曲が完成したら音を聴きながら映像制作に入ります。絵を何枚も描いて繋ぎ合わせます。手作業なので一番時間がかかりますね。工程が多い上に楽曲も30分を越えるくらいなので、1曲作り上げるのに半年くらいかかりますね。
自分の作品を大切にしているし好きだと言えるから、作りたいし聴かせたいと思うんでしょうね。たとえば旅先でとても美しい景色に出会ったとしたら誰かに見せてあげたいと思って、写真を撮って送ったりするじゃないですか。それと似た気持ちなんだと思います。「素敵な作品ができたから聴いてよ」って。
--ツアーはどんなものになるのでしょうか?
アルバムにコーラスで参加していただいた新潟のアーバンソール(Urbansole)というバンドと一緒に、私たちの地元大阪でのイベントを皮切りに6カ所で公演予定です。各地のお世話になっている方々に企画していただいたのですが、いろんな人たちに支えられて今があるんだなと実感しています。以前に同じステージに立った方々と再会できたりモノ(Mono)やオールディ・ワールディ(Olde Worlde)と初めてご一緒初めてご一緒させていただいたり、初めて行く土地やライブハウス、レストランバーでの公演、新しい発見や出会いもありそうで楽しみです。一旦大阪に戻り、秋にもう一度ツアーをする予定です。
※ライブスケジュール
7月 5日 (土) 京都・二条城LiveHouse NANO & Bar rakubouzu
7月11日(日) 大阪・南堀江Bar Big Cake
7月12日(土) 大阪・中崎町NOON
7月16日(木) 大阪・難波ROCKETS
7月26日(日) 徳島・銀座CROWBAR
8月31日(月) 大阪・北堀江club vijon
9月 1日 (火) 京都・河原町どんがま別館
9月 2日 (水) 愛知・名古屋新栄APOLLO THEATER
9月 4日 (金) 東京・新宿Motion
9月 5日 (土) 群馬・前橋DYVER
9月 6日 (日) 新潟・新潟CLUB REVERST
*詳細はオフィシャルサイト でご確認下さい
interview and photos by hiroshi
mag files : kanina
Interview 絵本の国から届いた音色 : (09/05/30 :interview and photos by hiroshi
The latest album
"A Short Story" (Tunes )
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2009
Magma (30th May. @ Osaka Big Cat)
絵本の国から届いた音色 カニナ(30th May)
Tower of Power (24th May. @ Shinsaibashi Club Quattro)
Humbert Humbert (24th May. @ Namba Hatch)
Beck (25th Mar. @ NHK Hall)
Oasis (24th Mar. @ Intex Osaka)
South by Southwest Music Festival + Conference feat.Aqualung / This Will Destroy You / Efterklang / Gomez / Vijay Kishore / Cale Parks / Rolo Tomassi / The Cannabinoids feat. Erykah Badu / Explosions in the Sky / Used, The / (18th to 22nd Mar. @ Austin, Texas)
Mono (14th Mar. @ Liquidroom Ebisu)
Comeback My Daughters ,8otto (28th Feb. @ Shinsaibashi Club Quattro)
Primal Scream (1st Feb. @ Zepp Osaka)
Siberian Newspaper (1st Feb. @ Hep Hall)
Glasvegas (21st Jan. @ Osaka Big Cat)
Mogwai ,Remember Remember (14th Jan. @ Osaka Big Cat)
2008
8otto , Neconemuru , Lostage , The Chef Cooks Me (27th Dec. @ Juso Fandango)
Akainu (23th Dec. @ Juso Fandango)
Yomoya (7th Dec. @ Juso Fandango)
Te' , 8otto (6th Dec. @ Osaka Shangri-La)
Mudy on the Sakuban (23th Nov. @ Juso Fandango)
Ogre You Asshole (22th Nov. @ Juso Fandango)
Lostage (19th Nov. @ Umeda Shangri-La)
Audio Safari (15th Nov. @ Kyoto Ekimae Hiroba)
Sgt. (9th Nov. @ Unagidani Sunsui)
Soulkids (9th Nov. @ Namba Rockets)
Akainu (8th Nov. @ Shinsaibashi Club Quattro)
Kicell , Urichipangoon (17th Oct. @ Shinsaibashi Club Quattro)
Ken Yokoyama , Dust Box (14th Oct. @ Osaka Big Cat)
Asagiri Jam It's a beautiful day feat.Curly Giraffe , Camille , I am Robot and Proud , The Proxy , Tuff Session , Oki Dub Ainu Band , Aba Shanti-i , Dachambo (4th to 5th Oct. @ Asagiri Arena)
Mono (2th Oct. @ Shibuya Club Quatrro)
"Planet A Carnival" feat. The Birthday , Gagaga SP , Utsumiyoko & Yokoloco Band , Yo-King , Flower Companyz , Sherbets (6th Sep. @ Awaji Yumebutai)
Takeuchi Denki (30th Mar. @ Namba Rockets)