buttonInterview with 近藤智洋
もっと唄いたいっていう気持ちは、14年間変わっていない

Part.1 「人とのつながりを感じた2年だった」

Tomohiro Kondo
 もっと唄いたいっていう気持ちは、14年間変わっていない。
 実はこのタイトル、2004年に近藤智洋(当時はコンドウトモヒロと表記していた)にインタビューした時に使ったのと同じフレーズなのだ。あれから4年が経ち、彼をとりまく状況は大きく変わった。あの頃はまだピールアウトがあって、弾き語りはサイドワーク的なものだった。そこから、バンドが解散し、ソロになって、音楽に関わるすべてのことをひとりでこなすようになり、ファースト・アルバムを出して、ギターをかついで毎日のように日本全国のどこかで歌をうたっている、そんな活動をするようになった。2007年からは新バンド、ギーも始動させている。こうやって、いろいろなことが変化していくなかで、変わらないこともあった。「歌を唄っていたい」という気持ち。この想いがあったから、歌を届ける旅を続け、ファーストを出してからの2年間で300本を越えるライヴを行い、全国47都道府県すべての土地に足跡を残してきた。そして今もライヴの予定は増え続けている。
 そういった活動を経て、近藤智洋は2枚目のアルバム『二つの鼓動』をリリースする。『近藤智洋』から『二つの鼓動』までの2年。歩いたり走ったりする道の途中で、何を感じ、何を手に入れて、それをどう歌に映してきたのだろうか。

「去年は今まで行ったことのない場所、47都道府県をライヴで回りたいという目標があって、まずはそれを優先させようと思っていた。あれだけライヴをやっていると(2007年はギー他も含め160本)、もう、いいことから悪いことまでいろんなことがあって。まず、良かったことは、いろんな人と出会えて、当初の目標だった『行ったことのない場所を回って、自分のホームになるところを増やしていく』っていうのが、少しずつでもできたこと。そういう活動をしていると、人との出会いがすごく大きくて。例えば、友達もいないような知らない街に行くと、着いたときはもちろん知り合いは誰もいない。だけど、ライヴをやって、打ち上げに出て、お店の人やお店の常連さんと仲よくなって、そうすると明け方になるころにはそこは自分にとって大切な場所になっている。そういうことを感じられたのはオレのなかですごく大きかった。それは、全個所で出来たわけではなくて、うまく交流ができなかったり、音で惹きつけることができないこともあった。そこで落ち込んだりもしたけど、学んだこともあったから。ホント、この2年はすごく濃くて、大事な時間だった。

 そのことがどう歌に反映されているかは自分ではわからないな。聴いてもらうのが一番早いと思う。ただ、風景や情景描写より、人との交流について唄う歌が増えたというのはある。風景を描くにしても、そこに誰かいる、とかね。
 ソロになってからはブッキングも自分でしているから、まったく知らない所に電話をすることもあって。そうすると、時には邪険に扱われることも……。だけど、話しを聞いてくれて「僕は近藤さんのこともやっている音楽もよく知らないけれど、とりあえずやってみましょうか」って行ってくれる場所もある。そういうところは、行くと確実にいいライヴができるし、いいつながりができる。例えばそういう面でも、人の暖かさとかつながりをいままで以上に感じるようになって、それが歌に映って、今回のアルバムは愛情を感じてもらえる作品になっているかもしれない。

 最近はライヴをやる場所もカフェとかバーみたいな小さいところを選んでいるんだよね。コアになるところを増やそうとしているから、密接に歌が伝わるようなところのほうが、自分の活動にあっていると思う。大きいところでやっても、急激にお客さんが増えるワケじゃないし、一気に答えを求めても……出ないじゃない? オレは今、お金かけて大々的に広告打って、みたいなやり方はしていないから。ちょっとずつ歩いて、行商じゃないけど『こういう商品があります、こういう歌があります』というのを実際に人に会って、紹介していく。それが、自分が今思いつくやり方。他に方法はたくさんあると思うけど、この2年間でオレはそういう形を選んだ。

 ファーストを出した時は急激に広がる期待はかなりあったよ。いい作品できたし、いっぱい売れて活動しやすくなるといいなと思っていた。だけど、正直、そんなに結果も出なかったし、ツアー回って現実見たりとか。落ち込むことも多かったけど、だからといって、家にいていいイベントが来るのだけ待っていても何も状況は変わらない。だったら、外に出て誰かの前で唄っていたほうが、次につながる出会いがあるかもしれないし、CDが1枚売れるかもしれない。落ち込んでいるヒマもないしね。基本的に落ち込みやすいけど、立ち直りも早いから。落ち込んだ後は『だったらもうやるしかないべ!』って。悔しい気持ちとなんとか状況を変えたいっていう気持ちで、余計にライヴが増えていつのまにか去年は160本(笑)。がむしゃらにやっているというのはあるよ。
 ライヴから帰ってくると、今度は事務的な仕事が待っている。やることは多いけど、大変っていうのとは違うかな。ミュージシャンであり、マネージャーであり、雑務もやるし、レコーディングではプロデューサーでもあり、CDできたら宣伝営業マンでもあるし……。キャパは完全にオーヴァーしているんだけど(笑)。自分で選んでやっていることだし、好きでやっていることだから。不器用すぎるやり方だとは思うけど、今は全部自分でやっておきたい。」

『ストイック』とはこういう人を言うのだ。今の近藤智洋には、この言葉がぴったりはまる気がする。ピールアウトの頃からその姿勢は真っ直ぐではあったけれど、この2年で音楽に対する向き合い方がより貪欲になった。自分で電話をかけた街に自らの足で出向き、数は多くなくともその活動を受け入れてくれる人が全国にいることがわかった今だからこそ、やるべきこと、歌を届けることに邁進できるのだろう。
 がむしゃらに進んでいくなかで感じた人のあたたかさ。見いだした歩んでいく道。そういう旅を続けながら、たくさんの曲を育て、新しい曲も生み出してきた。そのなかから厳選された11曲を収録した『二つの鼓動』は、"A New Morning"の軽快なイントロに象徴されるように、外に向かって放たれる暖かで明るい光で溢れている。
 その明るさを体現したのはザ・バンドファミリアの面々。メンバーは前作から引き続いての城戸紘志(Dr.)、工藤佳子(Ba.)、ピロ(Per.)に、2006年10月からライヴに出演している山田貴己がエレキギターで加わった。本数こそ多くはないが、定期的に東名阪を回ったりイベントに参加したりして、信頼感を強めていったファミリーだ。5人で作った作品は、エレキギターにゲストミュージシャンを迎えたファースト・アルバムと比べ、よりバンドとして一体感のあるサウンドに仕上がっている。(Part.2へ続く)

近藤智洋 セカンド・アルバム『二つの鼓動』 7月2日発売!

『二つの鼓動』発売記念ツアー
*近藤智洋&ザ・バンドファミリアでのライヴ
7月5日 名古屋クラブ・アップセット
7月6日 大阪・梅田ハードレイン(ワンマン)
7月9日 下北沢クラブ・キュー(ワンマン)
*弾き語り
7月12日 札幌ファッジ
7月13日 旭川アーリータイムズ
7月19日 鹿児島バー・モジョ(ワンマン)
7月20日 熊本ブリック・ア・ブラック
7月21日 福岡トゥペロ(ワンマン)
7月24日 三軒茶屋グレープフルーツムーン(ワンマン)
*詳細はオフィシャルサイトでご確認下さい

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