特集 : South by Southwest Music Festival

コラム 第4話 「素敵な街オースティン」
「飲む?」と聞かれたら飲みに行ってしまうような感覚で、「行く?」と聞かれたから行ってしまったSXSW。初の海外旅行でテキサス、しかも費用はほぼ自腹。それでも行きたかった。たとえブッシュのお膝元であろうと、マイナーな地域だろうとそこに楽しそうな音楽があるんだもの。
 SXSWに日本からのバンドも多数出ることは知っていたし、何よりも世界中から集まるアーティストの数が役1200、会場は街全体……。僕が知っている中で最大規模のフェスだった。そこで自分がどう感じるのか。海外のオーディエンスはどうやって盛り上がるのか。それが知りたかった。
 会場となるオースティンの街は、昼間に「フェス」の空気をそこまで感じることはあまりなかった。というのもこのSXSWのメインは夜の7時位からで、昼間のライブは本数自体がかなり少ない。それでも信号機と電柱の間に「SXSW 05」などと書かれた幕が張られていたり、道行く人達はアメリカ人以外の人も多く(アメリカには色んな人種の人が住んでいるのは重々知ってますよ)、地元の人間もどことなくウキウキしているように見えた。そして少し笑えたのが土産物屋が稼ぎ時になる光景。これは日本と同じなんだな。「TEXAS」とか「AUSTIN」と入ったTシャツや、カウボーイでお馴染みのテンガロンハットが売れていた。地名の提灯なんかを買うのと近い感覚なんだと思う。
 大勢の人間が、昼間から気持ちよく酒を飲んで楽しくなっている姿はフェス共通。フジロックでのみんなもきっとそうでしょ?
 日が沈んでゴールデンタイムがやってくると人通りがドドドッと増え、メインストリートの6番通りは歩行車天国になる。そこを川の様に流れる人達が思い思いのライブハウス、パブ、バーに行き、またそこにも人が溢れる。脇は馬に乗った警官が何人か待機していて、非常事態にも気を配る。そしてそこに混じって「自転車タクシー」なるものが数多く客待ちをしている。日本の人力車みたいなもので、値段は距離に関わらずチップのみでオッケー。大体が2ドル大丈夫だった(中には客が何も知らないと思ってふっかけてくる輩もいたようだが)。
 あと、日本のフェスといったらご飯も見逃せないが、ここではご飯にはあまり期待してはいけない。屋台もホットドックかケバブしかなく、どれも3ドル以上。味も特別おいしいワケでもない。街にあるイタリアンレストランもアルデンテなんてものは知らない様子だった。僕らのチームは皆アメリカで痩せた。
 街の雰囲気は終日こんな感じで人が溢れ、音楽が溢れていた。「音楽が溢れていた」とは例えでも何でもなく実際にそうだったのだ。もともとライブハウスでもなくクラブでもないバーに特設ステージを設けて(そこにもちゃんとエントリーしたバンドが出るんだが)、そこでライブをするもんだから防音設備もしっかりしていない上に、ドアや窓が全開の店もあったりして、街のそこらじゅうから音楽が聴こえてくるのだ。祭りの客なんかはそこでイチイチ文句は言わないし、逆にそれがいい効果になって街をより賑やかにしていた。
 音楽が常にある環境。音楽がこの街に根ざしている証拠を見た気がした。地元の人にとって音楽は日常であり、身近なものあなんだということ。そして彼らに欠かせないものなんだということ。それは特別音楽にのめり込んでいる人だけではなくて、それ以外の人たちにとってもそうであるという素晴らしいカルチャー・ショックにSXSWのフェス以外の魅力を感じた。日本じゃあ絶対に出来ないフェスだよなぁ。
What's New!|ライヴレポ|投稿|レヴュー|インタヴュー|コラム|BBS
report by taisukecounter
*戻る|#Top