特集 : South by Southwest Music Festival

Flametrick Subs w/Stan's Cheerleaders - 『R指定』暗黒テーマパーク - part1 -
 かの有名な刑事ドラマ『太陽にほえろ』で、松田勇作演じるジーパンが「何じゃこりゃあ……。」と言いながら崩れ落ちていいくシーンは何とも有名。腹を打たれ、傷口を押さえた真っ赤な手を見たときに先のセリフが出てくる。この会場に入った瞬間、チラッとそれを思い出した。別に腹を撃たれたとか流血したとかじゃあないが、ジーパンの手と同じく真っ赤に染まった会場に入って「なんじゃこりゃあ……?」と内心でつぶやいてしまった。赤い照明が珍しいなんてことはないし、驚くこともないんだけど、これから出るバンドがFlametrick Subs w/Satans Cheerleadersとなんともオドロオドロしい名前で、火炎に小悪魔とくるもんだから、くどいまでの赤に「なんじゃこりゃあ……?雰囲気バッチリじゃないか!」と思ったのだ。
 そんな雰囲気で響くロカビリーとくれば、なんちゃらビリーと名がつく音楽にヤられた方達は「なんだサイコビリーか」と思われるでしょうが、いえいえ。この地獄でビリーを鳴らす連中はシンプルなネオ・ロカなんです。まあウッドベースのスラッピングは、サイコビリーやパンカビリー並にバッチンバッチンいってますが。これが火炎の正体。そして小悪魔の正体はというと、エナメルにファイヤー・パターンの超超超ミニスカート・ワンピースに身を包んだパツキン姉ちゃん達。何と言ってもチアリーダーズですから、Tバックを穿いたケツを振り乱しながら踊るわけです。
 そう、ここは現実ではなくロカビリー地獄。「どうせ地獄に堕ちるならここにして」と閻魔様にお願いしたくなるようなところなのです。何が地獄かってかなり小さいステージから長細く広がるフロア。見るからにバーに特設で作ったステージだし、本来はバーカウンターのスペースにパンパンに入ったオーディエンス。熱気とお互いの酒臭さで何がなんだかわからなくなる。おまけに身動きが取れないから酒も飲めないわ踊れもしない。ね、地獄でしょ?
 メンバーが出てきてチアリーダーズがカウンターとスピーカーの上にスタンバイ。地獄の宴の始まりだ。会場の雰囲気もあってか妖しさを帯びたステージに押し寄せる人、人、人。そんなものはお構いなしと、シングルハンド(弦を押さえる左手の手首から上が無い!)・ベーシストのLefty DeMarcoは弦と指板を打ち鳴らし、白目むき出しで疾走するギターのClem Hoot。その後ろで気だるくスタンディング・ドラムを叩くMiss Fortuneは、アメリカのB級スプラッター映画に出てくる「すぐにゾンビに殺される酔っ払ってはしゃいでいる若者」役にぴったり(褒めてるんだけどね)。とまあ、こんなに濃〜いメンツのフロントマンはもっと濃い。歌う合間に見せる笑顔は悪魔のような顔になり、豹柄のジャケットが非常によく似合うダンディズム。そんなメンツが集まるバンドが観られるなんて、ロカビリー好きにはたまらない時間だ。
part2
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report by taisukecounter
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