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CD『デインジャーメン・セッション Vol.1』
マッドネス

奥流に発見したしぶとさ
 手元にあるのはマッドネス『デインジャーメン・セッション Vol.1』の国内盤。オレは普段もっぱら輸入盤ばかり聴いているのだが、今回ばかりは話は別だ。80年代スカ・リバイバルの立役者、あのマッドネスの結成25周年にリリースされた本作は、なぜか全曲がカバーで構成されている。プリンス・バスタやボブ・マーリーはルーツ的に当然としても、モッズ〜モータウンの流れからかダイアナ・ロス&シュープリームスを取り上げたり、かと思えば英国トラディショナルロックともいうべきキンクスの曲にも挑戦したりしている。彼らは節目となるこの時期にこれらの曲をカバーし演奏することで、いったい何をいいたいのだろう。そう考えると、歌詞・対訳・ライナーノーツ、あらゆる情報源から手がかりを収集したくなるじゃないか。
 まずは通しで何回か聴いてみる。原曲を知っている曲も知らない曲もあるが、全体としては期待を裏切らないマッドネス・カラーに統一されている。ホーン・ブロウにオルガンの音色、そしてもちろん、陽気なスカのリズムが一貫してアルバムを支配する。例のムカデダンスが目に浮かぶようだ。ただ、ここで対訳を併せて読んでいくと、どのナンバーも曲調とは裏腹に必ずネガティブな部分を含んだ物語であることに気づく。"ソー・マッチ・トラブル・イン・ザ・ワールド"なんて題名からしてモロだが、"シェイム・アンド・スキャンダル"なんてブレイク部分で強烈なオチをつけて皮肉ってるし、一見ストレートなラヴソングである"ローラ"でさえも世界に対する不信感の上に成り立っている。楽しげなスカダンスの裏に秘められたアイロニー。これじゃ歌詞のないインスト曲でさえも、なんらかの棘を含んでいるような気さえしてくる。なんでわざわざダークサイド寄りな曲ばかり選曲してるのかね。
 けれども、さらに深く聴き込んで行くと、最後に黒と白がもう一度ひっくり返る。「確かに世界はヘヴィーだよ。でも、生きていくしかないじゃないか」というメッセージが徐々に徐々に浮かび上がってくる。選曲と選曲の隙間から、歌詞の行間から、少しづつ人間の持つ「タフさ」「しぶとさ」が感じられるようになってくる。この奥流にようやく発見できる強靭な意志をどう表現すればいいだろう。すべてを受け入れた上で開き直った時のニンゲンの強さ、とでもいうのかな。正面から運命に抗うような単純バカなカッコよさではないんだけど、「簡単には死なねえぞ、この野郎」という、最悪にストレスが溜まっていた時代のイギリスを生き抜いた男達のしたたかさがひしひしと伝わってくる。うーん、そういえば、スペシャルズは早々に解散したけれども、マッドネスはしぶとく続いてるよなぁ。象徴的だ。
 ま、四の五の理屈をこねていても、いざライブになれば結局すべて忘れて踊り狂っちゃうのは目に見えてるんけどね。マッドネスは今年フジロックを含め23年ぶりの来日を果たすわけで、その日のことを考えても単純にこの一枚はマストアイテム。Dr.Iharaのライナーによれば"新生"マッドネスのオープニング・ナンバーは本作7曲目らしいので、チェックして行くのとせずに行くのでは、自分内盛り上がりが全然違ってくるのは間違いない。とはいっても、全然違う曲で幕を開けてもらっても、それはそれで気持ちいい裏切りになるような気もするけどね("ワン・ステップ・ビヨンド"以外なら)。ともあれ夏がとても楽しみ。会場で一緒に例のダンスを踊ろう!
check the album?
デインジャーメン・セッション Vol.1

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