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CD『キャッチ・フレイム』
ポール・ウェラー

 ポール・ウェラーを1から10まで語ろうとしたら、その膨大な彼のルーツも相俟って、一冊の本が容易に書けてしまうだろう。今までも彼に纏わる本は数え切れないほど書かれてきた。それでも彼を語りつくせる人物は他でもない、ポール・ウェラー自身だけである。2枚組み、合計25曲という異常な内容量は彼の功績を考慮すれば当然の量なのかもしれない。それでも、その25曲の中には無駄なものは一切無く、まるでデビュー当時の無駄を全て剃り落としたソリッドなパンク少年のウェラーを見ているかの様でもある。今までにリリースされた彼のライブアルバムに比べると、94年にリリースされた『ライヴ・ウッド』はソロの曲が9割を占めるものであったし、『デイズ・オヴ・スピード』はアコースティックライブを収録したものなので、ウェラーを知るきっかけとはなるものの、彼の全体像と言うものは中々見えてこない。
『キャッチ・フレイム』と名付けられた今作の魅力はなんと言ってもその収録曲のバランスの良さであることは間違いが無い。観客の沸き立つような歓声から幕を開けるディスク1はアルバム『ワイルド・ウッド』からの"ザ・ウィーヴァー"だし、ソロのヒットシングルである"チェインジング・マン"も勿論演奏しているし、最近リリースされたシングルの中では素晴らしい評価とセールスの両方を得ることとなった"フロム・ザ・フロアボーズ・アップ"のエネルギーに満ち溢れた演奏を聴くと、彼が48歳であるという驚愕の事実を疑ってかかってしまうほど。
 バンドマンと言うものは大抵ソロへと移行していくと、落ち着いてしまってファンを驚かせるようなことはしないものだけれど、ウェラーは別格。彼の場合、デビューから30年近く経った今でも、一挙一動が見逃せない。敵は自分自身であると言い聞かせるように、自分の限界と戦うウェラー。その姿をリスペクトしている今の若手のバンド達をこれ以上ない万全の体制でサポートしている。彼をリスペクトするからこそ、彼らはその役目を請け負っているに違いない。アークティック・モンキーズやオーディナリーボーイズなどの『今』のイギリスを先導していくバンド達も口を揃えてウェラーに対する賛辞を並べてやまない。彼以外に現役で活躍し、リスペクトされているのはモリッシーくらいではないだろうか?
 ディスク2はソロの作品の間にザ・ジャム、スタイル・カウンシル時代のヒット曲が鏤められているので、これ一枚だけでもポール・ウェラーの魅力を十二分に堪能できる。そしてこのアルバムを聴き終わった頃には、また次のアルバムに対する期待で胸が一杯になっていることに気づく。飽くなき探究心。ポール・ウェラーは誰よりも音楽を愛している男だ。
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キャッチ・フレイム

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