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下北沢を救え Save The 下北沢 (16th June '04)
- part1 -

 音楽や演劇が生まれる背景には人と人の出逢いがある。下北沢がそのメッカとなっているのは、町に漂う独特の一体感が深く関係しているように僕は思う。昔ながらの商店街がある一方で、学生、ミュージシャン、演劇人などがたむろし、酒の場でたまたま隣り合った人と何の警戒心も無く会話が弾む。深夜どころか朝を迎えても飲み歩く人達と、早朝から働き出す人達、そして週末に遊びに来る人達。このように普通だったらなかなか接点が無さそうな人々が、いつの間にか互いに顔見知りとなってしまう面白さは、はっきりしたカラーを主張する店がところ狭しとひしめき合い、そこに通う常連がいてこそ生まれるマジックであり、下北沢の最大の魅力だ。
 しかし今、現地ではそんな街並みを、環七並みの大きな道路で分断しようとする計画が進められている。茶沢通りに面したシネマ下北沢から小田急線を横切り、北口の商店街を真っ二つにする形の補助54号線という道がその正体だ。
9年後の完成を目指していると言われる小田急線の地下複々線化の決定と同時に急速に浮上してきたこの計画は、実は決して新しいものではない。その原型は、なんと半世紀以上も昔の米軍占領時の1946年にまで遡る。道路を高架にするかしないかといった修正は何回か行われてきたものの、基本的なルートは当時のまま。それゆえにこの半世紀で育んできた町並みをばっさり分断するという、まるでタチの悪い冗談のような形状になっているのである。
 もし補助54号線が現在の計画のままに完成した場合、下北沢は車道で分断されるだけでなく、高層化が進み、町全体が機能的に分化されることになるだろう。「それで良いじゃないか」と言う向きもあるかも知れない。だがちょっと待って欲しい。現在の下北沢の特徴は、昼夜を問わず人がウロウロと歩き回り、店に立ち寄ることが出来る回遊性にある。そこから生まれる人と人の近さが、女性が明け方に一人で歩いていても大丈夫なだけの治安の良さを生んでいるのだ。
part2
「MUSIC MAGAZINE2004年5月号に掲載」した原稿を許可を得て使用しています
report by 志田歩
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