The Jeevas at 広島クアトロ(2003年1月11日)
やっと、Kula Shakerにケリをつけられた。

 それが私の今の率直な気持ちだ。
 3年前の来日公演はどうしてもチケットが手に入らなかった。そして半年後Kula Shakerは何の前触れもなく解散。私に残されたのはどこにもやり場のない後悔と、未練だけだった。あれから3年、クリスピアン・ミルズの復活、そしてFuji Rock Festial'02への出演。お帰りムードに酔いしれ、Kula Shaker時代の名曲も演奏されこれ以上ない復活の幕が開かれた。
 しかし、うやむやするものが心にあった。
 本当に突然すぎたのだ。
 Kula Shakerに対する思い入れが強い分、等身大のThe Jeevasが受け入れられないでいたからだ。クリスピアン・ミルズにKula Shakerの面影を求めている自分がいて「The Jeevasもいいけれど」と常に逆説がついてくる始末。複雑な心境のままライブ当日を迎えた。
 今回の広島の会場となるのは、広島クラブクアトロ。フジとは全く違い、屋内で最大限にThe Jeevasというバンドの魅力を感じることのできるハコだ。決して満員御礼とは言えない状態ではあったが、開演前には「オルガン」、「コーラス」、「ホーン」、「ワウ・ギター」といったこのバンドのキーワードを連想させられるような曲の数々に高揚感がどんどん増していく。
 会場が暗転していつものように何となく出てきたのだが、何かが違う。アンディとダンはいつも通りだが、クリスピアン・ミルズが違うのだ。前日の大阪では、革ジャンに革パンそしてサングラスとどこか鎧を着ているかのような威圧感があったのだが、この日はピンクのTシャツにジーパンの出で立ちで見るからにもそのリラックス感が伝わってきた。それは服装だけではなくこの日のライブ全体においても言えることだった。
 "ONE LOUDER"から始まったライブは"Virginia"、"Gohst"、"You Got My Mumber"と大筋、前日のセットリストと同じように進んでいく。クリスピアンの音に対するは姿勢は今でもも変わらないようで最初はジェスチュアーでスタッフに指示を出していたのが、曲の合間に直接マイクで納得いくように調整させるような場面もあった。相変わらず足下にはThe Jeevasの生命線とも言えるたくさんのエファクターやペダルが並んでいてせわしなくオン・オフを繰り返している。小さな会場とは言え、必要最小限の機材が並んでいるだけでギターが3本、ベースが2本、そしてドラムも本当にシンプルでクアトロでさえ広く感じた。音以外の付加価値的な要素はいっさい削ぎ落とされありのままのThe Jeevasに触れることとなった。
 今回もKula Shakerの"Greatful When You're Dead"、"303","Hush"、"Go inda"がプレイされたのだが、いずれもクリスピアンのギターソロからイントロへと流れていき、「一体何が始まるんだ!?」ときょとんとしていたオーディエンスのテンションが一気に爆発。そんな光景をステージから眺めていたクリスピアン、アンディ、ダンの笑顔!!確かにKula Shakerの曲ではあるが、"303"なんかは特にスロウで、3ピースのこのバンドにしてはかなりヘヴィなナンバーに姿を変えていた。そうかと思えば、本人も「これはかなり気に入っているB面の曲なんだ」といって始まった"Stoned Love"は曲としての艶っぽさをすごく感じた瞬間だった。そして「らららら らららら・・・」とかわいいダンのコーラスで始まる"Silver Apple",「ジョー・ストラマーのために」と本編のラストを飾った"Once Upon A Time In America"クリスピアン、アンディ、ダンの共通項としてある60年代、70年代のロックは根底に流れているものの、こんなにも幅のあるライブができるバンドとは思わなかった。
 フジの頃にはどうしてもクリスピアン・ミルズ率いるThe Jeevasという図式を描いてしまいがちだったが見事に崩されてしまった。アンディとダンによってもたらされた新しい風は本当に心地よい。アンディからダンへ、ダンからクリスピアンへと伝言ゲームのように伝わっていき、3人で爆笑!!こっちを観ながら"Oh・・・No!!!"と、クリスピアン。あれは何だったのかサッパリ今だにわからない。教えて!!
 ラストの"Govinda"では"For All Peace"というMCにより始まった。「広島」という土地でプレイされたこの曲は、クリスピアンにとっても格別の意味があったのだろう。
 「東洋思想主義」とか「階級出身」、「貴公子」とか私はそんなメディアからクリスピアン・ミルズという作り上げられた人物像を今まで信じてきただけなのかもしれい。この日私が観たクリスピアンは意外に「普通」だった。ただ本当に音楽が好きで、再び素晴らしいメンバーを得た事の喜びを素直に音楽という形で表現している等身大のThe Jeevasだった。
report by
kuniko
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