連載リレー・コラム : これを聞かずに、死ねるか!
第4回 これは生き方だったと思う : ジョン・レノンの『イマジン』を語る (8th Dec '05 )
「くそ、ジョン・レノンが殺された」
英国のブライトンに住んでいた25年前の12月8日朝、目を覚ますと、真っ先に耳に入ってきたのが、同じ家に同居していたカナダ人の友人が口にしたそんな言葉だった。そして、いつものようにキッチンで仲間に顔を合わせると、誰もが沈痛な表情でラジオに耳を傾けている。そのラジオから流れていたのはビートルズとジョン・レノンの曲ばかり。テレビで見たニュースだっただろうかあるいは、ラジオだっただろうか、確か、ザ・フーのピート・タウンゼントが「I don't fu**in' believe it!」という言葉を口にしのも覚えている。「嘘だろ!」という、その気持ちは痛いようにわかった。
といっても、正直言えば、ビートルズに熱狂したこともなければ、アルバムも買ったことはなかった。ジョン・レノンの作品だって、友人のものを借りて聞いたり、テープにダビングしたりはしていても、買ったことはなかった。それでも、ビートルズ... というよりはジョン・レノンが自分のなかでどんどん大きな存在になっていったというのが正しいだろう。それは、自分が、おそらく、以降の人生に大きな影響を与えることになる英国滞在時。その最大のものが彼の死だった。
彼の死からしばらくの後、ぐんぐんとチャートを登っていったのが"Happy Xmas (War Is Over)" (『シェイヴド・フィッシュ』に収録)。この時は、おそらく、彼を追悼する意味も込めて、(同時に商魂もあったはずだ)この曲が再びシングル・カットされて、それを買った覚えがある。まともに英語を理解し始めていたこともあったんだろう、この歌を聞くと涙が溢れてきたものだ。
ジョンの子供、キョーコとジュリアンに「クリスマス、おめでとう」と声をかける彼のささやきで始まるこの曲の頭は「クリスマス、また、古い1年が終わり、また新しい1年が始まる」というフレーズ。そして、「この新しい1年が恐怖のない年となりますよう」と続いていく。「世界は間違っている。だから、若い人も年老いた人も、白人も黒人も黄色人種にも、金持ちも貧しい人も、争いをやめようよ」そして、「本当に望めば、戦争は終わるんだ」と、あまりにも当たり前のことを歌いかけている。それなのに、なぜ、戦争がなくならないのか? 権力を握っている(と思われてる)政治家や資本家と呼ばれる野蛮人がそれを「理想主義だ」と許さないから?あるいは、ひょっとすると、そう決めつけているのは「あなた」であり、「私」ではないのか? この歌からはそんなジョンの問いかけが聞こえるのだ。理想を「理想」と切り離すことで、すでに私達は理想を現実の力とすることを拒絶しているんじゃないだろうか? でも、この曲をじっくりと聴くことで、少なくとも自分は理想を現実と捕らえ、この間違った世界をよりいい方向には向かわせる、わずかな力になろうと思ったものだ。もちろん、それは今でも全く変わらない。この曲はそんな自分の生き方、考え方、姿勢に大きな影響を与えてくれた。
- part2 -
report by hanasan
What's New!|ライヴレポ|レヴュー|特集|投稿|インタヴュー|BBS
戻る|top
無断転載禁止。著作権は各ライターに帰属します。