久保憲司、入魂の写真集 (Sept. '98)
確か、久保憲司に初めて会ったのは83年か84年じゃなかったろうか。場所は、まだ日本人なんてほとんど見かけることのなかったグラストンバリー。取材をしている最中に「あれ、日本人じゃん、珍しいな」と、話しかけたのがきっかけだった。
その久保君が当時ロンドンに住んでいたこともあって、ロンドンに行くと、毎回のように彼に会ってみたり... あるいは、当時、彼が住んでいたフィンズベリー・パークそばのお化け屋敷みたいな家に居候をしたり... いわば、当時のロンドンでの情報源のような人物でもあった。ちなみに、後の日本に大きな影響を与えることになったロンドンのクラブ取材は彼のアドヴァイスから発展したもの。これは筆者にも大きな影響を与えてくれたものだ。
その彼が写真を撮っているというので、自分一人では不足するようなときに、彼にアルバイトを頼んだり.... 85年だったかのグラストンバリー・フェスティヴァルがその最初だったように思えるが、定かではない。が、当時の仕事のひとつがNMEの編集長取材だった。当時の編集長は後にARENA、FACEなどで仕事をするようになるのだが、ボブ・マーリーを初めてイギリスの音楽誌に紹介した人物でもある。
その写真を彼にとってもらおうと約束したことがあった。その時、イギリス南部のブライトンの友人宅に居候していたことが、その後、彼のNMEでの仕事につながっていったのが面白い。実は、この日、鉄道のストライキでロンドンにたどり着けなかったのが筆者。なんとかヒッチハイクで... と、道路に立って、途中まではいけたんだが、約束の時間にはNMEのオフィスに行けなくて... その時に、彼は自分の写真を編集長にプレゼンしていたのだとか。さすが、転んでもただでは起きない「ケンジ(友人は彼をこう呼ぶ)」だ。それをきっかけに彼の写真がNMEを飾るようになったのだ。
それからどれぐらいの間だろうか、イギリスで彼が撮ったアーティストはとんでもない数になるだろう。全盛期のスミス、ニューオーダー、ジュリアン・コープ... ここには80年代半ばから90年代はじめのイギリスを中心としたシーンのドキュメントがダイナミックに、そしてストレートに凝縮されている。そのクオリティに関していうならば、「うまい写真」だとか「かっこいい」だとか、そんな言葉を通り越した久保憲司の存在感があるというのが一番正しいだろう。
個人的なことをいえば、オフ・ステージよりも、ステージ・ショットの方が好きで... なぜか彼の写真を見ていると、ミュージシャンの汗や音までをも感じてしまうし、あるいは、オーディエンスの歓声や叫び声が聞こえてきそうな錯覚に陥ることもある。おそらく、それはあくまで彼が「音楽」のなかで写真を撮り続けていたからだろう。
もちろん、ケンジは今も写真を撮り続けている。その写真がこれからどう僕らに語りかけてくるのか、まだまだ楽しみはなくならない。
「WRONG OR RIGHT, IT'S ALRIGHT
KENJI KUBO WORKS 1984-1997」
米国音楽別冊
有限会社:ブラッディ・ドルフィンズ発行
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report and photos by hanasan on the 18th Sept.
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mag files :
久保憲司、入魂の写真集 (98/09 in Tokyo.) : revirew by hanasan
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The official site
久保憲司
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