ウォッチング・ザ・スカイ 2010 @ 日比谷公園大音楽堂 (4th Apr '10)
- ジョー・ヘンリー - 濃密な時間を生んだ初来日公演
芯の通った力強さを兼ね備えながら、心地よい優しさをも感じる音色。そして一度聴くと耳から離れそうにない、哀愁漂うハスキーな歌声。シンガー・ソングライターのジョー・ヘンリーが持つ数々の魅力に、幾度となく息をのんでしまう場面があった。
ソウル界の重鎮と呼ばれるソロモン・バーク。そして映画、『マグノリア』の主題歌を手がけたエイミー・マンなど、数多くのアーティストのプロデューサーとして活躍する彼。今回はシンガーとして、京都や横浜などを巡るジャパン・ツアーを敢行した。これが記念すべき初来日公演になるとのことだ。
どこか緊張が走る会場に、ようやく彼がオーディエンスの前に登場。他のツアー会場と同じく、ウッド・ベースと鍵盤を加えてのトリオ編成での出演だ。そして彼が持つ年代物のアコースティック・ギターがゆっくりかき鳴らされると、一瞬にして幻想的な空間へと運ばれていく。夜の野外音楽堂は照明が映えることもあって、1曲目からすっかり夢心地な気分に陥ってしまった。
次いで昨年の夏頃に発売したアルバム、『ブラッド・フロム・スターズ』に収録されている、「チャンネル」を披露。渋い声の中に絡み合う、新鮮な音世界が印象的な楽曲である。彼自身は一つひとつの言葉に魂を注ぐように、強いパワーを持って歌を紡いでいく。ほんの少しでも気を抜くと、彼の衝動に飲み込まれてしまいそうな雰囲気だ。観客は興奮が収まらないのか、自然と立ち上がり彼の名前を呼び続けている様子。
また、アコースティック・ギターからピアノへと、何度か曲によってチェンジする彼。歌に重点を置いた演奏は、歌詞から紡がれる気持ちがダイレクトに伝わってくる。だからかシンプルに繰り広げられるステージでも、何か大きな力が放たれている気がしてならなかった。彼の音楽へかける愛情の深さも表れているのだろう。
アンコールのラスト曲は、「スカー」。楽曲が鳴り響いた途端に、これでもかというほどの歓声が。そして歌が始まると、スポットライトに照らされた彼を、多くの人達が目を逸らすことなくじっと見つめていく。まさに表現力の凄まじさをめいっぱい感じられるステージだ。ライヴ後も彼を呼ぶ声が響く中、初来日の公演が無事に幕を閉じていった。
濃密な時間を与えてくれる彼のライヴ。存分に目に焼き付けることができたように思う。次に彼が日本のステージに立つのは、いつになるのだろうか。その機会が訪れるまで、しっかりこの記憶を残しておきたい。
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report by ai and photos by nachi
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