buttonエレクトラグライド・プレゼンツ・ワープ20
@幕張メッセ (21st Nov. '09)

エレグラのサバイバル術を考える
electraglide 2009
 フェスの格言として「行動は早目に」というのがある。もちろん、個々の事情があるだろうし、音楽に夢中になって行動が遅れてしまうこともある。さらに楽しくなっちゃってどうでもよくなることもある。最終的に楽しければなんでもOKなんだけど、今回のエレグラは、その「早目に行動せよ」という格言が身に沁みたのだった。

 今回のエレグラの会場は幕張メッセ国際展示場ホール9〜11である。過去はミッシェルガン・エレファントのラストライヴがおこなわれたところだ。サマーソニックやカウントダウン・ジャパンでお馴染みの会場であるホール1〜8は道路挟んだ向こうの、いわば海側にある。けっこう勘違いして、そちらに行ってしまった人もいたようだ。過去のエレグラはホール1〜3でおこなわれたこともあったので仕方がないかも。会場の中はルーム9とルーム11がステージになっていて、9が主にライヴアクト、11が主にDJと住み分けができていた。その間のスペースはクローク受付や、各種物販や休憩用のベンチ、映画上映コーナーがあった。

electraglide 2009 開場は21時であった。その30分前くらいにロビーにいたときは「けっこう人が少ないなぁ」と思ったけど、オープン頃には行列が屋外まで伸びて入場に時間がかかったのだ。時間が長いダンス系のフェスなので、何かを最前列で観たい! と気合いを入れる人はそんなにいないけど「まあ、そこまでは気合い入んないけど、スタートには間に合いたいよね」という人はかなりいたわけだ。このようにまだ大丈夫かと思っても、気がづくと人が並んでいるという事態に何度も遭うことになる。

 入場すると、たくさんの荷物や上着をどうするかを考えなくてはいけない。幕張メッセに慣れている人ならば、事前にホール1〜8の入口や駅のコインロッカーに入れた人もいるだろう。もちろん会場内にもクロークがあった。入場口である2階でビニール袋を買って、その袋に入れた荷物を1階で預けるという方式だったけど、割と早い時間にほぼ埋まったようにみえた。並んだといえばグッズ売場も相当並んでいた。結構早い段階からすごい長い列ができていたので、アクトひとつまるごと観られなかっただろう。売り場はルーム9の音が常に聴こえる場所ではあったけど。

electraglide 2009 飲食関連のブースはホール内でなく、屋外にあった。屋外といってもピロティにあたる部分なので、もし雨が降ったとしても濡れるようなことはなかったし、ホール内の空気の悪さから逃れられたり、その並びに喫煙エリアもあったので分煙の観点からするとよいアイディアだと思うけれども、いかんせんこの季節で屋外の夜は寒い。上着を着たままとか、インナーをもう一枚着るとかの防寒対策をしない人にとっては、つらかったかもしれない。

 だけど、飲食のエリアに足を踏み入れたときのズラリと並ぶカクテルの屋台の多さには新鮮な感じがしたし(なんと長さ90メートルだとか)、フジロックでもお馴染みの店のものが食べられるのはフェス感を盛り上げるためにもよかった。「早目に行動」がキーワードなので、まだ始まって1時間くらいしか経ってない頃に、さほど空腹ではなかったけれども、クインシーバのアフリカンビーフストロガノフを食べておいた。食べていると、何人かの人に「それどこで買えるんですか?」と聞かれた。まあ、おそらく飲食の店の場所がわかりずらいから聞いてきたのだと思うけど。タイムテーブルやエリアマップも、おそらく最初のころしか配られていなかった様子。

electraglide 2009 後の時間帯には激しく混雑してあれだけあったドリンクのカウンターもたくさん人が並び、注文も大変だったようだし、食べ物に関してはもっと並んでいたらしい。そんな中、ひとつだけ空いているところがあったので、店の名前は忘れてしまったけど、クロワッサンソフトを買ってみる。文字通りソフトクリームの周りにクロワッサンがあって、サクサクとトロトロな食感が同時に楽しめたけれども、それはがっつりしたものを先に食べておいたおかげで余裕があったからで、寒い中でそれしか食べられないという事態だとしたら、つらかったと思われる。

 そして最大の難関はトイレ。正直、数が少なかったと思う。それと飲食エリアの奥にあった仮設トイレがあまり知られていなかったかもしれない。女の人がフェスでトイレに並ぶのは(もっと拡充しなければならないと思ったりもするが)よくあることではある。だけど、男の方も中盤を過ぎるころには相当な行列ができていて、どこが最後尾なんだよというくらいだった。2階のロビーにあるトイレなら空いているかも、と行った友人がなかなか戻ってこなかったこともあった。となると「早目に行動」の原則からいって、トイレに行きたいと思う前に列に並んでおくことになる。そうすると音楽に集中できなくなるというジレンマ。だけど、惨事を避けるためには仕方がない。惨事といえば、時間が進むにしたがって、ところ構わず床に寝ころぶ人が増えて、しかも暗いためにぶつかってしまう事態があちこちで起きた。寝るなら隅にいけばいいのにとも思うけど、隅はずっと座りこんで動かない人が多かったし、この会場でどうやって過ごすか悩みは尽きない。

electraglide 2009 さて、そんな中でも、ずっと流れていた音楽は素晴らしかった。自分の中で印象に残ったのは!!!(チック・チック・チック)とバトルスのライヴバンドだった。!!!は、以前のようなハイテンションで、いきなりアッパーな感覚を無理矢理注入するような感じではなくなり、柔らかく、よりファンキーにサイケデリックに、じわじわと上げていって結果的にお客さんたちを踊らせるというようなものに変わっていった。女性ヴォーカルとの掛け合いもあり、音楽的に幅が広くなって懐が深くなった。ニックは相変わらず両方の手のひらを伸ばして腰のあたりに当てて、まるでヒゲダンスみたいなポーズを何度もとっていたのはご愛敬。

 それから、バトルスは新曲中心のセットで戸惑いあったけど、超絶技巧な演奏はどんなステージになっても変わらず。後半のレース:インやアトラスで盛り上がる。アトラスでは、ギター/キーボードのタイヨンダイがお客さんを煽り、フロアでは「オー・エイ・オー」の大合唱になり、ついにはアンコールまであった。あとは、クリス・カニンガムの特異な映像世界とノイジーで強烈な電子音の嵐が融合した世界がすごかった。やっぱり一晩中、大音量と光と映像に包まれクレイジーな人たちに囲まれて過ごすという体験はかけがえのないものだ。次回は、もうちょっと会場を広くして施設も増やして完全復活を望む。



electraglide 2009


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DJ Yogurt
Hudson Mohawke
!!! (Chk Chk Chk)
Steve Beckett
Battles
O.N.O
Rei Harakami
LFO

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Dot i/o
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Clark
Andrew Weatherall
Flying Lotus



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