buttonピース・ミュージック・フェスタ! (from) 宜野湾 2009
@ 宜野湾海浜公園屋外劇場 (21st Sept. '09)

- 辺野古から上野、そして、宜野湾から全国へ -

Peace Music Festa from Ginowan 2009

「基地はいらない! 僕らは沖縄の人たちを応援します!」

 このフェスティヴァルに出演するためにロサンゼルスからやって来たオゾマトリのメンバーで、日本生まれのパーカッション奏者、ジロー・ヤマグチがオーディエンスに向かって、そう叫んでいた。実を言うと、子供の頃からアメリカに住み始めた日本人ということもあり、日本語に不安を隠せないのがジロー。ステージにのぼる前、ローマ字で書かれたメモを片手に「これで間違っていないかなぁ?」と、日本語のメッセージについて彼から相談を受けていたんだが、面白かったのはそのとき楽屋にいた他のメンバーたち。彼らがさらに過激な発言を繰り返している。

「ヤンキー、ゴー・ホーム! そうだろ?」

 と、サックスからクラリネットを演奏するウリセスやギターのラウルが「俺は言うぞ!」と息巻いている。「だって、これは米軍基地を放り出すためのプロテストだろ?」というのだが、実際の演奏中にそこまで口にしたかどうか... 撮影に忙しく覚えてはいない。ただ、アメリカからやって来たバンドが明確に「基地はいらない!」発言したことの意味は大きいはずだ。

Peace Music Festa from Ginowan 2009  そんな当日の様子をストレートに書き残しておけば、数ヶ月も前にこのレポートをアップできたんだろうと思う。が、なかなかそうはいかなかった。アメリカから日本の政権の変化によってこの問題がクローズアップされ、調べれば調べるほどさまざまな「嘘」と「虚構」が浮き上がってくるのだ。それは後述することになるんだが、それ以前にまずは当日のトラブルがあった。前日に沖縄入りする予定だったオゾマトリのフライトが遅延。当日入りを余儀なくされたことがある。実を言えば、彼らをなんとか沖縄に連れてきたいと言い出したのが筆者。そのことは、すでに2年前の来日レポートで書き残しているんだが、当然ながら、現場での手助けもしなければいけない。時期のずれはあったものの、これが実現したことが嬉しかった一方で、彼らの沖縄入りがフェスティヴァル当日、しかも本番中となったことで当日のスケジュールが大幅に変更され、取材以外の部分で右往左往することになるのだ。

 英語を話すスタッフが少なかったこともあり、前日に電話で東京宿泊となった先方のスタッフと機材関係などの再確認。当日になると、本番が始まってしばらく後に空港へオゾマトリの出迎えに向かわなければいけなかった。おかげで、期待していた地元のバンド、シャオロン・トゥ・ザ・スカイ、デューティ・フリーショップやカクマクシャカを見ることはできなかった。実に残念だ。

「みんなで助け合っているんだから、1曲ずつ減らしてなんとか彼らのサウンドチェックの時間を作ろう」

Peace Music Festa from Ginowan 2009 オゾマトリの当日入りのニュースを耳にして提案したのがドーナル。結局は、そうやって30分の時間を彼らのために作ったことになるんだが、一切のリハーサルをすることもなく、素晴らしい演奏でこのフェスティヴァルのひとつのピークを生み出したオゾマトリには頭が下がる。彼らのリクエストで実現した地元の三線奏者、城間竜太(しろまりゅうた)とのセッションにしても、当然ながら、リハーサルは皆無。ところが、まるで綿密な打ち合わせをしていたかのような演奏ぶり。さすがだなぁと感心することしきりだった。

 さらに嬉しかったのは、このフェスティヴァルの主旨を十二分に理解していたオゾマトリが、アメリカの文化親善使節として動いていることを口実にフライト代を浮かせてくれたことや、その遅れによって派生した経費も全て自分たちで払ってくれたこと。余談かもしれないが、主催者がアメリカ大使館と話した時に、「まさかそのイヴェント、米軍基地反対とか...じゃないですよね?」と尋ねられたことをマネージャーに伝えると、彼らは「何に出演するかを決める権限は私たちにある」と、相手にもしなかったという逸話も残っている。Peace Music Festa from Ginowan 2009

「ホントは、どきどきしていたんだけど...」

 とはいっても、バンドと一緒に沖縄入りしたマネージャーの口から、顔を合わせるなり飛び出してきたのはそんな言葉だった。「興業ではないから、ノー・ヴィザで入国できる」という大使館の言葉を頼りにやってきたんだが、「これまで興業ヴィザでしか入ったことなかったから... 冷や汗ものだったのよ」というのだ。それもこれも主催者の経済的な負担を少しでも軽減するために彼らが動いてくれた結果だった。なにせ、それだけで数十万の経費がかかるのだ。

 そのオゾマトリのみならず、この日、出演したミュージシャンから伝わってきたのは、なんとかこのイヴェントを成功させたいという想いと、「米軍基地はいらない!」という声ではなかったかと思う。その全てに反対しているのかどうかは定かではないが、どう転んでも辺野古へや高江の基地建設はあり得ないという意志は十二分に伝わったと思うのだ。特に、真正面から「革命の始まり」を口にした加藤登紀子のステージからはとてつもないエネルギーが放たれていたように思うし、「沖縄の人たちももっと怒るべきだ」といった言葉は鮮明に記憶している。いずれにせよ、音楽のみならずエンターテインメントの世界で「政治的な発言」が避けられる日本でこういったアピール・コンサートが行われたのは特筆に値する。

Peace Music Festa from Ginowan 2009 加えて、07年の辺野古で開催された時に、全て自腹で駆けつけた渋さ知らズが「今回も出演できないか」と打診していたという話も、ソウル・フラワー・ユニオンの中川氏から伝わっている。残念ながら、すでに出演者の枠が埋まっていて、それは実現していないんだが、こういった話はまだ他にもあったのではないかと察する。また、沖縄ロック界の重鎮である某氏が観客として会場にやって来て、全ての募金箱に金を投げ込み、どこかでこのイヴェントに関わりたかったかのようなニュアンスの発言をしていたと一緒に会場で過ごした方のブログに書かれていたのも印象に残っている。

 同時に評価しなければいけないのは主催者の姿勢だった。全てが手作りで、ボランティによる運営。それぞれの場で「プロ」がいたのは確かだが、ボランティアとして現場に挑み、賃金をもらう「仕事」をしている人は誰ひとりとしていなかった。それこそ、手弁当で駆けつけてくれた人ばかりなのだ。しかも、海外では珍しくもないんだが、オーディエンスがアーティストや会場を撮影していても誰にも止められることがなかったことも嬉しかった。コマーシャルなイヴェントでこういったことはあり得ないはずだ。

「情報を発信するのはメディアではなく、集まった人々だと思う」

 といった言葉を主催者から耳にしているんだが、すでにご存知のように大きなメディアでこのフェスティヴァルが大きく取り上げられることはなかった。その一方で、個人のブログやウェッブ・サイト、今流行のツイッターなどを通じてさまざまな情報が発信されていたと思う。

Peace Music Festa from Ginowan 2009 が、メディアへの露出が小さかったことの要因のひとつは、芳しくはなかった観客動員にもあったのではないかとも思う。正確な金額はわからないが、主催者が直面したのは数百万円の赤字。あまりの額の高さに主催者があきれかえって「笑うしかない」という言葉も口にしたほどだ。が、当然、それで終わるわけはない。ひょっとすると主催者へのチャリティ・ショーでもしなければいけないのではと思うほどに高額なのだ。今も、公式Tシャツの販売を続けながら、赤字の埋め合わせをしているらしいんだが、それが埋まるのがいつになるのか... こちらが気をもむほどの状況に直面しているのはいうまでもない。もし、このポートを読んで、なんらかの手をさしのべたいと思われたら、ぜひこのTシャツを購入して彼らをサポートして欲しいと思う。

 さて、その原因をプロモーション不足にあるとするのは簡単だ。それに辺野古や高江の問題に抗議している集いはこれだけではない。チケットを買わなければいけないキャンペーン・コンサートということが敷居を高くしているのかもしれない。一方で、音楽に関わる人たちが「無関心」なのか、あるいは、「避けている」のか? さまざまな疑問がわき起こる。そして、その背景にこそ、大きな問題が横たわっているように思えるのだ。

Peace Music Festa from Ginowan 2009 例えば、2007年、辺野古の浜でこれが開催された時、観客として会場に来ていた、ある著名なアーティストの友人から「名前は絶対に出さないで」と釘を刺されたことがある。「島国だから... いろいろある」というのだが、それが何を意味するのか? また、米軍基地関係で仕事をしている人が「ここにいることがわかると、職を追われかねない」という話も耳にしている。加えて、この日も観客の多数は「内地から移住した人たち」だという指摘も耳にした。それを受けて、「基地問題で大騒ぎをしているのは本土の人たちで、沖縄の人たちは歓迎している」なんぞという口にする人までが出てくる始末。それが正しいのかどうか... これまで数々の世論調査で「沖縄が基地を求めているというのはあり得ない」とははっきりしているんだが、そんな暴論にこういった事象が「余地」を与えているのではないかと思うのだ。

 どこかでこの日、自分が目撃したのは「基地問題」で島が分断され、沖縄と本土が分断され、人間が分断されていることではなかったかと思う。そこにこそ問題の本質があり、それに向き合わなければいけないと思うのだ。

「沖縄のみなさんは犠牲だ」

Peace Music Festa from Ginowan 2009 とは、かつて防衛庁(現防衛省)長官だった某国会議員が公に語った言葉なのだが、文字通り、沖縄は戦前から差別され、遺棄されてきたのではないかと思うことがある。遙か昔にまでさかのぼることは避けたいが、日本で唯一地上戦が行われた沖縄は戦後、連合国(米国)の占領下で土地を、そして、人権を奪われてきた。その最たるものが米軍基地であり、日米の安全保障を「いいわけ」に沖縄本島の18%、約1/5が外国軍の「軍事施設」にされるという異常な状況を押しつけられている。はたして、これが独立した国のありようなのか? しかも、アメリカ本国ではけっして許されることのない住宅街のど真ん中に基地があり、操縦士も見えるような低空を飛ぶのがジェット機やヘリコプター。案の定、5年前、軍用ヘリコプターが沖縄国際大学構内に墜落するという事件があったことを覚えている人も多いだろう。あのとき、現場が米軍に包囲され、日本の警察さえもが中に入れなかったという事実は、沖縄が未だにアメリカの植民地に等しいことの証明だ。これまで繰り返して書いてきたように、あのときの情景を歌った傑作がデューティ・フリー・ショップとカクマクシャカの「民のドミノ」。これが民の気持ちを見事に表している。

 その一方で、沖縄の完全失業率は全国で最も高く、米軍関連産業がこの地を支えているというので、甘んじてこの状況を受け入れなければいけないという声もあるとか。なにせ、土地を軍に貸している地主は左うちわで、基地ができることで「経済が潤う」らしいんだが、所詮儲かるのは金持ちか大企業だろう。「犠牲の代償」として、沖縄地域振興へ交付金という「飴」ががもたらされるというのだが、その金がはたして地元の住民に流れるのか? 結局は多くの民を犠牲にしていることに変わりない『平和』が幅をきかせるだけなのだ。

Peace Music Festa from Ginowan 2009 それだけではなく、「普天間返還」をいいわけに、「苦渋の選択」としながらも、初めて沖縄が「自らの意志」の下に新しい米軍基地を作るという可能性が生まれていることに危惧を感じるのだ。これは終戦後の連合国軍占領下で、有無を言わせず基地化を余儀なくされた時代の話ではない。本来ならば、沖縄の本土復帰に伴って全てが返還されて当然だったはずなのに、かつて朝鮮戦争からヴェトナム戦争への中継地、あるいは補給基地としてアメリカにとって最も効率的で重要な軍事拠点として肥大化し、存続しているのだ。さらに、そのアメリカさえもが大嘘だと認めた「大量殺戮兵器」情報を元にしたアフガニスタン、イラク戦争に沖縄が使われているのは周知の事実。さて、それが「日本を守る」ことなのか? 単純にアメリカの戦争に「加担」させられているだけではないのか? しかも、莫大な経費を面倒見てくれる日本政府の「おもいやり予算」は、米軍駐留を認める数少ない国々のなかでも群を抜いて莫大な金額となる。全国で最も貧しく失業率が高いとされる沖縄にその莫大な金が費やされるのではなく、アメリカの軍事費の肩代わりをしていると言われても仕方がない。さらに言えば、「安全保障」をいいわけに、アメリカがほしがっているのは金なんだろうという邪推は、おそらく、間違ってはいないだろう。なにせ、外国の軍隊の滑走路や基地作りの金を出すおめでたい国が日本。こんな状態をいつまで続けていくつもりなのか?

Peace Music Festa from Ginowan 2009 しかも、その後の報道でどんどん嘘があぶり出されている。それを端的に示しているのが日テレNEWS24で放送された宜野湾市の伊波市長とのインタヴュー。これをチェックしていただければ、普天間基地返還と「代替え基地建設」が一体ではないというのがよくわかる。加えて、「辺野古への代替え」が浮上した背景には莫大な金が動く利権があるとされる。それは「安全保障」のためでも、「平和」のためでもなく、土建屋やその背後にいた政治屋に「死の商人」の金儲けに過ぎない。おそらく、地域住民でその恩恵を受けるのはほんのわずかにしかすぎないだろう。その見返りとして、自然が破壊され、今でさえ危険きわまりない巨大な武器弾薬に加えて、爆音に悩まされることになると予想される。

 新しい政権の登場によって、曲がりなりにもこの問題が海外メディアに発信される比重が高まり、メディアが現地取材をし始めたというニュースが時折耳に入ってくる。が、どの海外メディアも辺野古への基地建設に疑問を呈しているのは当然だろう。また、世論の動きに対して、やたらと恐怖感を煽るのが国内のメジャー・メディア。「日本の安全が脅かされる」と、プロパガンダに躍起になっているんだが、ちょいと考えても見ればいい。米軍基地を放り出した国のどこが他国に侵略されたのか? 逆に、米軍の介入やそれが存在することによって混乱の泥沼化を余儀なくされた国がどれほどたくさんあるのか? 答えは一目瞭然だ。

 その選択を託されているのは有権者であり、住民。そして、その力は選挙でこそ発揮される。日米核密約に代表されるように、戦後60余年にわたって国民を欺いてきた自民党政権を倒したのは先の総選挙だった。そのとき、沖縄は普天間代替えとされる新軍事基地建設に反対する候補者を全て当選させているのではないか? それでも新政権が右往左往するのであれば、幾度でもその「選択」を示せばいい。そのためには、なにがなんでも「選挙権」を唯一の平和的な変革の道具として使わなければいけないと思うのだ。
Peace Music Festa from Ginowan 2009

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buttonBanda Bassoti & Boikot (10th May @ Villaggio Globale, Rome)
buttonBerri Txarrak (3rd May @ Viňa Rock Festival, Villarrobledo)
buttonBanda Bassoti (2nd May @ Sala Heaven, Santander)
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buttonBoikot (23rd Feb. @ Maple House)
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buttonSun Set Live 2007 feat. Special Others, Leyona, Theatre Brook, The Eskargot Miles, Rico Rodriguez with Cool Wise Men, Little Tempo, & Bloodest Saxophone・akiko (31st Aug. to 2nd Sept. @ Keya Beach, Fukuoka)
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