Smashing Mag / The Green Man Festival (ザ・グリーンマン・フェスティヴァル)@ Glanusk Park, Crickhowell, Brecon Beacons, Wales, UK (21 to 23 Aug '09)

　-英国経済不況はフェスティヴァル人口を増やすのか？-

　毎年訪れる度に変わっている！　ザ・グリーン・マン・フェスティヴァルは更に大きくなっていた。

　2003年に350人の集客から始まり、私が初めて訪れた2006年には6,500人、そして今年は15,000人近いお客さんがこのザ・グリーン・マン・フェスティヴァルを訪れた。こう大きくなってくると、今までと違って自由でなくなってしまう部分も出て来てくる。例えば、メインステージ前に「ついに」柵が出来てしまったり、セキュリティがボランティアではなくてプロになっていたり。他にも、ベジタリアンフードの店が減っていたり、ゴミをちゃんと捨てない人がいたり（とはいえ、英国のロックフェスに比べれば段違いにマナーはちゃんとしてると思われる）などちょっとがっかりしてしまう部分もあったが、会場へのアクセスが上手くいくようなゲートの配置になっていたり、シャワーが24時間浴びられるようになっていたり、など感心させられる部分も多々あった。

　今年が例年と違っていた点は、フェスティヴァル・サイトが月曜日（8月17日）から解放されおり、更に、大人ひとりにつき１２歳以下の子供４人まで一緒に無料で入場出来た点だ。
　私が到着した金曜日午前には既に沢山の人がいて、「フェスがメジャー化してしまったのかっ？」とややがっかり感が我が身を襲ったのは否めない。よく考えてみれば、前乗りのお客さんがいただけなのだが、タイトなスケジュールで彼の地にやって来た身がそれを実感するのにはちょっと時間がかかってしまった。

　最近、英国のアーティストにインタビューすると「最近、フェスティヴァルに来るお客さんは、いかにアーティストを見ていないかを自慢をする傾向にある」と言われることが何度かあったが、ザ・グリーン・マン・フェスティヴァルにも、「この人ライブ見ているのかしら？」と思えるほど、キャンプサイトに戻る度に見かける人がいた。フェスティヴァル・サイトでも横になって一所懸命に読書している人がいた。

　また、キッズ・エリアは昨年より規模が大きくなり、なんとメイン・ステージの隣に出来ている。他にも子供達が楽しめるような木工細工やリズム遊び、理科実験を行う場所などがそこかしこにあった。

「親が子供の側に付いていたらライブ見られないんじゃないかしら？」と思いながらフェスティヴァル・サイトを歩いているうちに気がついた。キャンプサイト、キッズ・エリア、その他のアトラクション・サイトはどれも近くにあるそれぞれのステージ（メイン・ステージ、ファー・アウト・ステージ、グリーン・マン・パブ）の音が聞こえるような場所にあったのだ。そして、土地の傾斜が上手く利用され、互いのステージの音が被らない！

　少しずつ規模を大きくし、ステージの配置も考慮し、年を経る毎に「どんなオーディエンスも楽しめるフェスサイト作り」になっているような気がした。近年、レディングやVといったロック・フェスティヴァルへまったく行かなくなってしまった私は比較することは出来ないが、思い思いのスタイルでリラックスして楽しむことが出来る、という点でオトナのフェスティヴァルなのかもなあ、と思った。（まあ、朝の６時まで飲み続けているいい大人や朝から飲み続けているいい大人などもいましたけど。）

　もうひとつ、ザ・グリーン・マン・フェスティヴァルの集客の増加には英国の経済不況も影響しているように感じられた。

英国も日本と同様、今年の夏は国外ではなく国内に旅行する人が増えているそうだ。私が毎年宿泊している、アバガヴェニーのB＆Bのオーナーも「不況のせいで、皆国内旅行するようになったおかげで宿泊客が増えている」と言っていた。そのような状況の時に、「フェスティヴァル開始前からキャンプが出来」「子供を無料で連れて来ることが出来」「個性的なライブを見ることが出来る」このフェスティヴァルは大人にも子供にもお得なのかもしれない。そういえば下山する日、お母さんと小さい子供が手を繋いで歩きながらこんな会話してたな。母「You don't want to come back home?」子「No.....」私もだよ、おチビちゃん。また来年行こうね！