Glastonbury Festival of Contemporary Performing Arts @ Glastonbury Festival, Pilton (25th to 28th Jun. '09)
Roger McGuinn @ Acoustic Tent (28th Jun. '09)
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なにせザ・バーズのロジャー・マギンだ。デビューが1965年で、御年67歳。解散後にはさまざまなミュージシャンとのユニットやソロ活動も続けていて、『Back From Rio(バック・イン・リオ)』といった素晴らしいアルバムも発表しているんだが、ロック史を振り返ると、今も燦然と輝くのがザ・バーズが残した名作の数々。彼らのインパクトがあまりに強力なせいか、誰もが「ロジャー・マギン」よりも「ザ・バーズ」を期待してしまうのも仕方がないだろう。案の定、会場のアコースティック・テントに足を踏み込むと、ステージの前を占めているのはかなりの年齢層。おそらく、彼らの頭の中では「Mr. Tambourine Man(ミスター・タンバリンマン)」や「Turn! Turn! Turn!(ターン・ターン・ターン)」、あるいは、「霧の8マイル」(『Fifth Dimension(霧の5次元)』に収録)あたりが渦を巻きながら響いているに違いない。とはいいながら、大声で「ミスター・タンバリンマン」を歌って彼の登場を待っているのはまだ二十歳にも満たないだろう若者。ひょっとすると、オリジナルのファンの次の世代がやって来ているのか、あるいは、若い世代でもザ・バーズが高く評価されているのか.... それは定かではないが、イギリスの雑誌などよく特集されるのがオールド・スクールの巨人たち。ひょっとすると、そんなところがユニークな味を持つUKロックを活性化しているのかもしれないとも思う。
期待していたのはいうまでもなく、バンドを伴っての演奏だったんだが、ステージにはヴォーカル・マイクが2本にギター用が1本に椅子が置かれているのみ。残念ながら、この日はソロでのライヴで、リッケンバッカーとマーティンを交互に取っ替えながらの演奏となる。さて、それで何をするのか... といえば、この日はまるで「ザ・バーズの歴史」なのだ。正確な曲順は覚えてはいないんだが、ほぼその流れに沿って、裏話を交えながら曲が演奏されるという構成だった。
「ディランのミスター・タンバリンマンって、普通にフォークっぽくやると、こんな感じなんだよね」
と、演奏した後、
「でも、ザ・ビートズ風に演奏したら... こうなるんだよね」
そこで演奏されたのは、紛れもないザ・バーズの「Mr. Tambourine Man(ミスター・タンバリンマン)」。しかも、ロジャーが抱えているのは特注で作った7弦のマーティン。本人が説明してくれたんだが、それを使うことで12弦にも似た響きが出てくるんだとか。この後、この演奏について書かれたレヴューで「12弦ギターを演奏していた」という記述も出てくるあたりから、このギターがどれほどよく鳴っていたかは想像できるのではないかと思う。
なんでもニューヨークではこのビートルズ風は全然受けなくて、西海岸に移動。そこでジーン・クラークと出会って... と、そんな話や、「ちょうどこれを演奏しているときに、マイルズ・デイヴィスのマネージャーに会ってレコーディングのチャンスが生まれてね。それに、あるときスタジオでディランの曲を演奏していたんだけど、そこにやってきた本人は自分の曲だとは全然気付かなかったよ」
といった具合にエピソードを交えながら、完全なベスト・オヴ・ザ・バーズが披露されるのだ。
確か、最初の曲は「My Back Pages」(『Younger Than Yesterday(昨日よりも若く)』)ではなかったかと思うんだが、それから、前述の「Mr. Tambourine Man(ミスター・タンバリンマン)」や「Turn! Turn! Turn!(ターン・ターン・ターン)」とヒット曲を網羅。「ロード・ムーヴィーの...」と話し始めたときには、すでにオーディエンスは、それがなにかわかっているようで、当然のように「Wasn't Born To Follow(ワズント・ボーン・トゥ・フォロー)」(『The Notorious Byrd Brothers(名うてのバード兄弟)』)や「Ballad Of Easy Rider(イージー・ライダーのバラッド)」が飛び出してくる。
圧巻は霧の8マイル」(『Fifth Dimension(霧の5次元)』)。たったひとりで彼がステージに立っているに過ぎないというのに、なにやらアルバムで耳にしているのと比較しても遜色がないほどの響きを持って迫ってきたのは、あの独特のギターの成果、あるいは、ロジャー・マギンのギタリストとしての才能のなせる技か... いずれにせよ、ザ・バーズで満腹となったのがこの日のライヴ。いつかバンドを伴った彼のライヴを見ることができればなぁと思うのだ。
*追記 : 音楽評論家、五十嵐正氏によると、過去20年、常に彼はソロでのパフォーマンスを続けているとのこと。バンドでの演奏は期待薄なのかもしれない。それでも、「見たい」と思うのです。
comment and photos by hanasan
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photo report (09/06/28 @ Glastonbury Festival, Pilton) : photos by hanasan
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