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A Diva Descend to Earth - 女神降臨

Lila Downs
 物語の始まりは、2年前のローマにさかのぼる。2001年冬以来、毎年にように取材することになったイタリアのバンド、バンダ・バソッティのマネージャーから受け取ったのが1枚のCD-Rだった。なにも書かれていない白地のディスクに過ぎないんだが、これを聞けというのだ。音楽好きならいつものことだろう。気に入った音楽があると、誰かに伝えたくなる。このときも、そんな流れではなかったかと思う。といっても、これを受け取ったとき、どんな会話がなされたか... はっきりとは思えていないし、まさかこの1枚のCD-Rのおかげでロサンゼルスにまで旅することになろうとは思いもよらなかった。

 実際のところ、帰国してこれを聞いたときも、このCD-Rに記録されているアーティストが誰か全く知らなかった。おそらく、彼が勝手に作ったコンピレーションなんだろう、iTunesで読み込んでもアーティスト・データが取得できないのだ。わかるのは女性アーティストでスペイン語で歌われていることぐらい。バンダ・バソッティの拠点がローマであることから、おそらくスペインのアーティストだろうと思いつつ、メキシコのニュアンスの方が強いなぁと、いろいろと想像しながら、この正体不明のアーティストの音楽に惚れ込んでいくことになる。

「素晴らしいアーティストだね、誰なの?」

 と、彼らにメールで問い合わせて、もらった名前がLila Downs(リラ・ダウンズ)だった。メキシコ人で、バンダ・バソッティが彼女の音楽に惚れ込んで、一緒にライヴできないかとアプローチをしていたらしい。その知らせと同時に、インターネットで彼女の情報を集め出していた。なんでも、彼女のMy Spaceに記された手短なバイオによると、メキシコ人の母とスコットランド人左翼であるという父親の間に生まれたという経歴から、フォークやロックからにジャズからラテンなど多岐にわたるジャンルのアーティスト名が連なっている。メルセデス・ソーサからエラ・フィッツジェラルド、フェラ・クティからジョニ・ミッチェル、ジョアン・ジルベルトやコルトレーンにミンガスからマヌ・チャオにボブ・マーリー、あるいはグレートフル・デッドと、この懐の広さがそのまま音楽に反映されているんだろう、その断片が随所にちりばめられているのがわかったのは、しばらく後に集め始めたアルバムを聴き始めた頃だった。

LIla Downs まず最初に手に入れたのは『La Cantina(ラ・カンティーナ)』。2006年春に発表された作品で、彼女の存在を知った時点での最新作だった。ゲスト・ミュージシャンとして顔を出していたのはフラコ・ヒメネス。日本ではライ・クーダーとの活動、特に名作、『La Cantina(チキン・スキン・ミュージック)』での客演で、大きく知れ渡ることになったと察するんだが、彼のアコーディオンと、繊細でいながらも、力強い表現力を感じさせるリラの声の絡みが素晴らしい。ゆったりしたクンビアからレゲエのタッチをも感じさせるのが巻頭の「La Cumbia del Mole(ラ・クンビア・デル・モール)」で、なにやら悲しみを抱えながら、どこかでたくましく生きる人を歌ったかのような「Agua de Rosas(アグア・デ・ローザ)」あたりが気に入って、毎日毎日このアルバムを聴いていたほどだ。その結果がlast Fmに登録した筆者のアカウントに現れている。ここ数年で最も頻繁に聞いているのがリラ・ダウンズであり、このアルバムをきっかけに全てのアルバムを購入。加えて、iTunesの『ライヴ・セッション』まで入手している。

 残念ながら、スペイン語は理解できないのだが、ところどころに理解できる言葉が飛び出し、加えて、時には英語でも歌っているのがリラ・ダウンズ。いろいろな発見をしていくことになるのだ。例えば、その『ライヴ・セッション』で取り上げられているのは、なんとウッディ・ガスリーの名曲。しかも、きわめてユニークなアレンジで「Pastures of Plenty(パスチャー・オヴ・プレンティ)」と「This Land Is Your Land(我が祖国)」がカバーされていたり、(スタジオ録音は2001年の『Border(ボーダー)』に収録)スコットランドのカルト的なユニット、ブルーナイルの名曲、『I Would Never(アイ・ウド・ネヴァー)』(オリジナルは『High(ハイ)』)までが収録されていることに驚かされるのだ。

 加えて、強烈なインパクトを残したメキシコ人画家、フリーダ・カーロの半生を描いた映画、『フリーダ』に楽曲を提供し、ほんの少しだけ姿を見せていることも突き当てた。日本で唯一発売されているのは、その『オリジナル・サウンドトラック』だけだというのが、悲しいのだが、まずは彼女のMy Spaceをチェックしていただければと思うし、iTunesでの『ライヴ・セッション』も入り口としてはいいかもしれない。

 さて、それほどまでに惚れ込んでしまった彼女になんとかコンタクトができないか... と、思いめぐらしていたときに、出会ったのがロドリゴ・イ・ガブリエラの来日時に、モニター・エンジニアとしてやってきた人物。彼の知人がリラ・ダウンズのPA関連で仕事をしているというので、そのラインからアプローチした結果が、今回の取材だ。まずは、ロスに飛んでプロモーション的なライヴをギターで有名なギブソンのショールームで取材。わずかの時間をいただいて、インタヴューをして、なんとソールドアウトとなったUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)のローズ・ホールでのライヴを撮影することができた。今回の特集は、彼女の最新作、『Shake Away(シェイク・アウェイ)』(スペイン語でのタイトルは『ヘビの目』とされている)のレヴュー、ライヴのフォト・レポート、そして、インタヴューという構成で、徐々にアップできたらと思っている。
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