Glastonbury Festival of Contemporary Performing Arts @ Worthy Farm, Pilton, Somerset (27th - 29th Jun. '08)
Buddy Guy @ Jazz World (28th Jun. '08)

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グラストの魅力のひとつは、伝説とも呼べるアーティストのライヴを、まるで時代をさかのぼったようなフェスティヴァルという環境のなかで見るチャンスがあるということではないかと思う。これまでも、名前は知っているけど、実際にライヴを見たことのない「歴史上のアーティスト」を幾人もここで見てきた。すでに世を去ったカーティス・メイフィールドやジョニー・キャッシュ、あるいは60年代フォークの顔のようなジョーン・バエズやトム・パクストンにメラニーなど、さすがに四半世紀もここに通っていると、日本ではそれほど見ることのできない巨人達のステージをとっぷりと「いい雰囲気に浸りながら体験する」チャンスを得てきたように思う。
今回体験することになったバディ・ガイもそんなひとりだろう。といっても、幾度も彼が来日したことがあるのは知っているんだが、なかなか日本で彼を見ることはできなかった。実際、恒例となっているブルース・カーニバルあたりも有名で、2年ほど前にはフジスピードウェイでのフェスティヴァルにも出演していたらしい。が、「コンサート然とした」場所ではなく、この場所でこそこういったアーティストを見たいと思うし、そうすることでその魅力が倍増するような気がするのだ。事実、その通り。素晴らしいライヴに卒倒しそうなほどに感激したのが今回のライヴだった。
これでまでに見たバディの映像で最も古いと思うのは、それこそ伝説中の伝説と呼べるアーティストと同じステージに顔を出している『アメリカン・フォーク・アンド・ブルース・フェスティヴァル 1962-1969』。このDVDを見たときのレヴューは、以前、ここに書いているんだが、まだ20代のスリムなバディ・ガイは強力だったし、数年前に発掘されるような形でDVD化された『フェスティバル・エクスプレス』でオーディエンスの中にギターを弾きながら入っていくシーンもすごかった。あれが1970年だから、それからすでに40年近くだ。1936年生まれれだというから、72歳のはずだが、この写真を見てくれたらわかるだろう、そんな「お年寄り」には全然見えないのだ。それよりも、年老いてなお、貫禄やすごみを増しているのがバディ・ガイ。「これぞブルース」といった張りのあるヴォーカルに魂を揺すぶられ、ハートを直撃する、よく「鳴る」ギターにぶっ飛ばされるのだ。
しかも、ショーマンシップも忘れてはいけない。客を盛り上げるためのツボも押さえ、「見せる」ことも心得ている。バックに控える若手のリード・ギターが、まるでZZトップ張りのスピン・ギターを見せたのは笑えたが、その一方でバディも全然負けてはいない。ジミヘンに影響を与えたという曲芸的な演奏なんぞお手のもので、余裕でオーディエンスを楽しませてくれる。さすがに本物。こんなに素晴らしいものを見ると、腹一杯になってしまうんだが、それでもまた違った新しい感動が味わえるのもグラストならでのことなんだろう、まだまだ面白発見を繰り返してしまうのだ。
なお、この原稿を書くために公式サイトをチェックしたところ、弟のフィル・ガイが8月20日に癌で亡くなられたとのこと。ご冥福をお祈りします。
comment and photos by hanasan
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photo report (08/06/28 @ Glastonbury Festival, Pilton) : photos by hanasan
photo report (06/06/17 @ Bonnaroo Music & Art Festival 2006) : photos by roxianne
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