Smashing Mag / Kachimba 4 (カチンバ4) in Peace Music Festa! (from) Henoko 2008 @ Ueno Suijo Ongaku-Do (22nd Jun. '08)

　カチンバ1551というバンドを初めて知ったのは札幌にあるレゲエ・バー(!?)だったというのが面白い。名前ははっきりとは覚えてはいないのだが、ミス・ジャマイカとかなんとか...　そんな名前ではなかったかと思うが、日本ではなかなかみつからないフランス領カリブ海の島、マルティニークのラムを各種取りそろえているのが気に入って、札幌に行くとどうしても顔を見せたくなるのがこの店だ。なにせ、この島のラムは他の島のものと比べると比較できないほどうまい。といっても、バルバドスやジャマイカ、グアダループあたりしか行ったことがないし、他の地域のラムも多くは体験していないので、勝手な思いこみなのかもしれませんけど。加えて、日本ではそれほどメジャーではないマルティニークやグアダループあたりの音楽もかなりそろっているし、カリブ音楽好きには実に嬉しいバーなのだ。

　なんでもこの店のマスターらしき方がカチンバ1551のメンバーと親しい...　といった流れではなかったかと思うのだが、結果として、北の端の北海道で南の端の沖縄のバンドのことを知ることになったのだ。

　とはいっても、彼らの魅力を認識するには昨年の辺野古でのライヴを待たなければいけなかった。そのときのフォト・レポートはこちらで確認できるのだが、こ時、なによりも驚かされたのは、彼らが「オキナワン・サルサ」と呼ぶきわめてユニークなスタイル。沖縄の音楽やニュアンスを見事にサルサに融合して、他のどのバンドにもないだろうオリジナルなサウンドと歌を打ち出していることだった。しかも、見事なエンターテイナーだ。お客さんを楽しませるにかけては、誰にも負けてはいないし、もちろん、彼らが楽しんでいるからこそ伝わるのが「そんな楽しさ」なんだろう。これほど幸せな気分を味合わせてくれるバンドはそうざらにはいないと思ったものだ。

　とはいっても、そのときの大所帯と比較すれば、この日は4名からなるアコースティック・セットと、実に小ぶりなのだ。それであのときの楽しさが味わうことができるんだろうか...　と、そんな危惧もあったんだが、さすがに百戦錬磨の強者たち。まだまだ、フェスティヴァルが始まったばかりだということもあって、それほど多くの人たちが会場に集まっていたわけではないんだが、演奏を始めるやそんな危惧が全く当たっていないことを感じさせてくれる。しかも、雨模様の曇り空はサルサには全く似合わないと思うんだが、彼らのオキナワン・サルサが抱える輝きがステージからオーディエンスをまぶしく照らし出してくれたといえば言い過ぎかなぁ。

　加えて、曲間のMCでは彼らが毎年キューバに出かけている話や、当然のように基地問題のことが語られる。求めているのは基地でも軍備でもなく「平和」なんだろういう、そんな想いがミュージシャンとオーディエンスをしっかりとひとつにしているのがストレートに伝わるのはこんな時だろうか。雨が降りしきるこの祭りの幕開けは、そんなみんなの想いを確認するように始まっていった。