South by Southwest Music Festival + Conference @ Austin, Texas (12th-16th Mar '08)
Feature Special SXSW 2008
Daniel Lanois
@ Pangaea, Austin (12th Mar. '08)
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今年のラインナップで最も期待していた... というよりは、とにもかくにも「どうしても見たみたい」と思っていたのがダニエル・ラノワ。といっても、彼の名前を初めて知ったのはミュージシャンやアーティストとしてではなくプロデューサーとしてだったというのが、ひねくれているかもしれない。ここに彼の関わった作品のリストが記されているのだが、最初に気になったのはU2の"The Unforgettable Fire (焔)"や名作、"The Joshua Tree (ヨシュア・トゥリー)"。その後も、ザ・ネヴィル・ブラザーズの傑作アルバム、"Yellow Moon (イエロー・ムーン)"から、ザ・バンドの顔でもあったロビー・ロバートソンのソロ・デビュー・アルバム、"Robbie Robertson (ロビー・ロバートソン)"にボブ・ディランの"Oh Mercy (オー・マーシー)"といった一連の作品で、独特の奥行きを持つ彼のサウンドにはまりこんでいくことになる。彼のプロデュース作に駄作は皆無... どころか、そのどれもが自分にとって『名作』と呼ぶにふさわしい作品として記憶に残っていくのだ。
当然ながら、彼自身の作品も同じだった。最も強烈だったのはソロ・デビュー作"Acadie (アカディ)"で、このアルバムの巻頭を飾る"Still Water"やアーロン・ネヴィルをゲスト・ヴォーカルに迎えた"The Makerr"は名曲中の名曲といってもいいだろう。発表された当時は、繰り返して幾度も聞いたし、すでに20年前の作品だというのにときおり引っ張り出しては、今も愛聴している作品だ。
が、一度、来日の噂があったように思うんだが、チケットの売り上げがよくなかったからか、キャンセルとなり、彼のライヴに接することはできなかった。動いている映像はザ・ネヴィル・ブラザーズのDVD、"テル・イット・ライク・イット・イズ"でちらりと見えるだけ。といっても、音楽監督だったハービー・ハンコック同様、ここではあくまでバックに徹している彼の姿があり、フロントに出てくることはなかった。そんなこともあって、今回の出演者リストに彼の名前があったときには飛び上がりたいほどに大喜びしたものだ。
とはいっても、彼の最新作として自分が持っていたのは"Belladonna (ベラドンナ)"。どうしたんだろう、完全にアンビアントなインストばかりのアルバムで、こういった流れでライヴが進めば、シャッター音が邪魔になってしまうかもしれないと気にしていたものだ。しかも、彼の顔を知っているのは、そういった昔の作品で目にしたものばかりで、彼の直前に見たボニー・ブラムレットと同様、ライヴ前にサウンド・チェックしていた人物がダニエル・ラノワ本人だとは全くわからなかった
まるでそのサウンド・チェックから、知らない間にライヴが始まっていたといった... といった趣だったのがこの日のライヴ。なにせ、完全にインプロヴァイゼイションを基調としたギターとドラムスによるステージなのだ。静かに始まったと思ったら、ダニエルのギターが徐々にフリーキーなフレーズを「叩き出す」という展開。荒々しいギターのスタイルや演奏の表情は、静かな「奥行き」を感じさせるアルバムの彼からは全く想像できないほどにワイルドだった。
この日演奏したのはわずか数曲なんだが、1曲がめちゃくちゃ長い。最初の2曲が"Acadie (アカディ)"で最も気に入っているあの"Still Water"と"The Makerr"。とはいっても、このときのヴァージョンは"Rockets (ロケッツ)"に近い。原曲のメロディアスな部分はダニエルがヴォーカルをとるときに「わかる」だけで、まるで火が散るようなインプロ・バトルが彼のギターとドラムスの間で繰り広げられている。途中、ゲストで友人のミュージシャンがヴォーカルとギターで加わるのだが、基本的なタッチは変わらない。「最近、ずっと気にいているんだ」というスティール・ギターでの曲でも、アンビアントなタッチから徐々に熱を帯びたダニエルのソリッドでアナーキーなソロへと展開していくというもの。最後は再びギターとドラムスでのセットだが、写真でもわかるようにあのアルバムを作った人がこういった演奏するとは。大いに驚かされたものだ。
このライヴが終わって最新作、"Here Is What Is (ヒア・イズ・ホワット・イズ)"を注文しているんだが、まだ手元には届いてはない。ジャケットに映っているのは、おそらく、この日のライヴで使用されたスティール・ギターだと思うんだが、さて、ここからどんな音楽が流れ出てくるのか、興味は尽きない。
comment and photos by hanasan
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