button朝霧ジャム : イッツ・ア・ビューティフル・デイ
@ 朝霧アリーナ (7th Oct '07)

- べティ・ラヴェット - 不屈の魂を宿す歌声
Bettye La Vette
 フェスティバルの何が楽しいかって?

 そりゃいろいろあるけれども、やっぱり今まで知らなかったアーティストのステージに「未知との遭遇」できた瞬間が本当に楽しい。会場内を移動していてたまたま通りがかったとか、フェスご飯を食べるついでになんとなく始まったステージを見ていたらとか、偶然に遭遇できるのもまた、フェスの醍醐味だなぁと言える気がする。

Bettye La Vette 吐く息も白くなるほどの夜の冷え込みから一夜が明けて、のどかな晴れ間の広がる朝霧ジャム二日目の朝。レインボーステージ周辺では早朝からラジオ体操が行われ、お客さんが一丸となって体操を繰り広げる光景はまさに圧巻の一言。会場に満ちるマン・パワーに圧倒されつつ、フェスティバルは後半を迎えるのだった。

 この日レインボーステージの二番目に登場したのは、60年代から活躍している女性ソウル・シンガーのべティ・ラヴェット。ライヴを見るのは初めてなので「未知との遭遇」と言えなくもないのだけど、遭遇というより衝突事故と言った方がいいんじゃないかと思うほどインパクトのあるステージだった。

 「ミス・べティ・ラヴェット!」

 ギターにドラムス、ベース、ピアノで編成されたバックバンドに呼び出されると、客席に向かって「アナタ達、楽しそうじゃないの!」と言わんばかりの笑顔でべティがステージに現れた。クールな佇まいとパワフルなステージングは、知的で優雅な肝っ玉母ちゃんといった感じ。技量や声量もさることながら、それらを超えた次元で歌い手そのもののパワーがびしびし伝わってくる。

 「次の曲は、1972年にレコーディングされたジョー・サイモンの曲。でも私の方が上手く歌えるわよ。」と軽く笑いながら、"Your Time to Cry"を歌い始めた。

Bettye La Vette 残念ながら彼女は、40年以上あるキャリアの中で、その歌の素晴らしさに見合った成功を収める機会になかなか恵まれなかった。1972年に制作された初のアルバムはリリースが見送られ、その音源は火事により消失。それでも彼女は歌い続ける。そして近年、消失されたと思われていた音源が発見され、「Souvenirs」という新しいタイトルでリリースされる。それをきっかけに再評価の気運が高まり一気にシーンにカムバック、その才能が脚光を浴びる存在になったのだ。

 べティ・ラヴェットが2005年に発表した作品に『I've Got My Own Hell to Raise』という全曲カヴァーのアルバムがある。ルシンダ・ウィリアムスやフィオナ・アップル等、全曲とも女性アーティストの手によるもので、男性支配の社会で傷つきながらも、不屈の精神で立ち上がってきたアーティストの曲ばかり。彼女はステージにしゃがみこみ、このアルバムから、"Joy"そして"Down To Zero"と立て続けに熱唱する。原曲のジャンルは様々だけど、彼女が歌えば同じ魂をもつソウル・ミュージックへと姿を変えていく。

 不遇の時期を見事に取り返し、自信に溢れる彼女は喜怒哀楽の表情豊かに客席に歌いかけて見せる。「不屈の精神」という名の魂を宿す彼女の歌声は、魂と音楽が深く結びついている事を強烈に思い出させてくれるのだ。
Bettye La Vette


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