朝霧ジャム : イッツ・ア・ビューティフル・デイ @ 朝霧アリーナ (6th Oct. '07)
- マッド・キャディーズ - 答えはもう出てるじゃないか
前日からの雨は上がって、時おり曇り空から太陽が顔を見せる初日のレインボーステージ。トップバッターとして登場したのは、鍵盤やトランペット、トロンボーンを擁し、スカのリズムを基本にしながらも演奏を自在に変化させるバンド、マッド・キャディーズ。すでに会場内ではお客さんがそれぞれのフェスティバルの時間を思い思いに楽しんでいるのだけど、ライヴが本格的に始まると、一気に祝祭ムードが加速する。会場の反応を見渡すと、ステージ前方付近では裏打ちのリズムに待ってましたとばかりに踊る人、後方のキャンプサイトでは気持ち良さそうに身体を揺らす人、もの珍しそうにステージを見つめる愛犬をなでながら楽しむ人、犬に軽く挨拶しながらステージを横目に軽やかに通り過ぎる人とさまざま。ステージ上では身の丈ほどもありそうなトロンボーンがマシンガンのように振り回され、弾の代わりに奔放なメロディとスイングを客席に投げかけている。そしてその前を、シャボン玉がフワフワと横切っていった。
「ドンダケー!」
一曲目の"Reflections"から一気に四曲目の"Just One More"まで一気に演奏を疾走させると、ボーカルのチャックが開口一番、楽しそうにこう叫んだ。何が「ドンダケー!」なのよ〜と見ているこちらも思わず笑いつつ、きっと覚えたての日本語のサービスなんだろうな〜と、その時は思った。
演奏もサービス満点で、"State of Mind"では重厚にメロディを聴かせ、"Souls for Sale"ではのキメの部分で歌詞を「ASAGIRI,JAM!」と変えてファンを喜ばせる。"Monkeys"ではまさに怒涛のスカパンク、一気にお客さんを沸かせている。演奏の最中、お客さんが一人ステージに上がり、楽しそうにスカダンスを踊りまくり、メンバーの笑いをかっていた。テンションが上がっているのかなんなのか、客席前方のモッシュゾーンからは眼鏡がふっ飛んで空を舞っているし、富士宮名産のねぎのおもちゃを振って楽しそうに揺れている集団もいる。バンドもお客さんも本当に楽しみ方が上手だ。
ヴォーカルのチャックがMCで、「beautiful,beautiful weekend!wonderful place!peace and love,respect always!」と語り、ライヴのラストには最高!と言った感じで客席とコンタクトを取っていた。前方にいたお客さんも超充実の笑顔だ。
ライヴが進むにつれ、高揚している会場の雰囲気を感じて、思い直した事があった。冒頭に叫んでいた「ドンダケー!」の一言。あれはもしかしたら意味が分かっていて叫んでいたのかもと。では何が「どんだけー!」だったのか?自分なりの答えは、すぐに出るのだ。
アーティストも観客もそれぞれの過ごし方で楽しめる自由があり、お祭りの触媒として音楽が寄り添っていてくれる朝霧ジャム。遮る物の無い空と自然、時間までもがゆるやかに流れるような開放感、楽しみ方を知っているお客さんとのライヴ。演奏する側だってどんだけ最高なんだよと、叫ばずにはいられなかったんじゃないかと、そう思うのだ。
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report by jet-girl and photos by hiroqui
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