朝霧ジャム : イッツ・ア・ビューティフル・デイ @ 朝霧アリーナ (6th Oct '07)
- ハナレグミ -寒さとゆるさは共存できるか -
すっかり日が暮れた18時過ぎ。20分遅れでハナレグミのライブが始まった。レインボーステージの派手なセットに負けない、カラフルな衣装をまとった永積タカシと愉快な仲間たちが登場するや、オーディエンスは歓声をあげる。それにしても寒い。山の夜はこんなに冷えるのかと半泣きになりながら、人のぬくもりを求めてステージ前方へと潜り込む。
1曲目はお約束の"音タイム”。2005年の朝霧JAMでは、クラムボンの原田郁子、ポラリスのオオヤユウスケとともに結成したユニット「ohana」として、同じステージに立った。2年ぶりとなる今回は、本家ハナレグミとしての登場だ。とはいえ、原田郁子や「シネマ・ダブ・モンクス」のメンバー曽我大穂などいつもの仲間は健在。そのうえ、2日目のムーンシャインに出演するキセルまで引き連れている。
2曲目の"踊る人たち”に続いて始まったのが、「フィッシュマンズ」のカバー曲で"WALKING IN THE RHYTHM”。これがまた、原曲よろしく、長いんだ。ステージではメンバーがうれしそうに音遊びをしているが、身動きがとれないステージ前方でじっと立ったまま聴くのは、正直つらい。しかも、あの寒さだ。じっとしていると歯がガタガタと震えだす始末。こういうものはやっぱり、広いスペースで思う存分、体を揺らしながらじゃないと、魅力も半滅するってものだ。
そう感じた私は、ステージ後方へと移動してみた。PAの後ろあたりでは色とりどりのテントを背後に、パノラミックな夜空の下、オレンジ色の焚き火がゆるやかに燃え、ステージ前方とは、まるで雰囲気が違う。そんなときに始まったのが"MUSICA ”だ。ついさっきまでつらくて仕方なかった冷たい空気が肌に心地よく感じる。永積が歌う言葉のひとつひとつが耳から入って心の底までほんのりと届いてくる。
気持ちがやっと、ハナレグミのステージと一体化してきたとき、「明日がお天気になりますように」といいながら歌い始めた"明日天気になれ ”。待ってましたのはしゃぎソング! 今まであたためてきた種火を爆発させるかのように、その場にいた見知らぬ人たちと、踊り、跳ね、歌った。ガツガツしない、音楽を体で楽しむ、目が合った人と笑いあう。これこそがフェスティバルの醍醐味。ライブハウスでのワンマンライブではなかなか味わえない。
朝霧JAM2007でのステージ、ハナレグミが自身のラスト曲に選んだのはなんと"スパゲッティーのびのび ”。その場の空気ものびたスパゲッティーのような、ゆるゆる気味に。この曲を、フェスのステージでラストに持ってくることにとても驚いた。永積にいっぱいくわされた気分だ。これだから、ハナレグミはクセになるのかもしれない。
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photos by naoaki
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