朝霧ジャム : イッツ・ア・ビューティフル・デイ @ 朝霧アリーナ (6th Oct. '07)
- ボーイズ・ノイズ - マユゲ王子!
アッパレなまでに横一文字につながったマユゲで登場! OH! このマユゲ王子こそがボーイズ・ノイズ! アーティストでありプローデューサーであり、自らのレーベルを持ち(Boys Noize)、キツネなどからリリースを重ね、一躍ドイツのスター、時の人となった弱冠24歳である。
現在、キツネ、ジャスティス、ディジタリズムといったフレンチ勢に席巻されたエレクトロミュージック界に一人ゲルマンから乗り込んで大暴れしている注目のキッズのステージは「躍らせてナンボ」が信条のナニワの商人がごとく、ハンパない盛り上げ上手!やだ、そこいらの独りよがりのDJの皆さん、見習ったらどうかしら?的な上から目線でものを言ってしまいたいくらいの楽しさ。ご本人のアルバム"oi oi oi”というタイトルから「エレクトロとオイ・パンクの融合?」なんて短絡的な予想は見事はあっさり裏切られて、見事なダンシング・ナイトが幕を上げた。
ノイジーで凶暴なベースラインに、軽薄なまでのピコピコがオーヴァーラップして、これで心臓がバクバクしなければウソだよね?ってくらいにアゲてくれる。クラフトワーク的ゲルマン鋼鉄気質に溢れながらも、あくまでカジュアル。ここのところサブリミナルのようになりつつあるフレンチエレクトロにどっぷりだった私のようなタイプには、この感覚はとってもフレッシュだったし、多分、「ジャスティス、ディジタリズムも賞賛」というタイトルに惹かれてやってきた他の人達も同じように感じたであろう。最近の80’sキッズたちのキャッチにありがちな「躍らせるロッキン・エレクトロ」というカテゴリに、それこそドンピシャだったりするんだけど、彼の悪趣味ギリギリの雑食感は、他の80年代生まれと一線を画しているように思える。なんというか、洗練されすぎておらず、見え隠れするダサさがカッコイイというお得な性質の持ち主なのだ。遠目から見てもハッキリと確認できるくらいに豪胆につながったハードボイルドなマユゲとはウラハラに、本人自身はキッズ仕様。そのルックスどおり、まるでダフトパンクに憧れて教室でターンテーブル回したら存外大ウケした高校生のパーティーに来ている気分にさせてくれる。
10歳年上の兄の影響で子供の頃からラップ、ハウスを聴きまくり、これまた母親の影響でディスコミュージックにも親しみ、自分でレコードを買い始めた14歳頃からはロックとエレクトロミュージックを聴き始めたという、そのテイストをおもちゃ箱の中でぐちゃぐちゃにかき混ぜてブワッ!とぶちまけたような雑多で親しみのあるホームパーティーのようなステージにすっかり虜になってしまったオーディエンスの熱気でムーンシャインステージの温度がどれほど上がった?というくらいに人の体温でホカホカどころか熱い、熱すぎ!昼間から寒かった今年の朝霧JAMは、日が落ちたら、それはもうシベリア?ってくらいの寒波に見舞われて、誰も彼もが、やる気バリ下がりだったのが嘘のよう。ボーイズ・ノイズの繰り出すノイズ、ロッキン・ディスコなリズムにミックスされるダフトパンクやディジタリズム、かくし芸的ヴォーカルの早回しで聞くマイケル・ジャクソンはあくまでドイツ語読みのミヒャエル・ヤクソン。気取りのなさと洗練されたサウンドセンスがいい具合に混じりあって、でもやっぱりそこはエネルギーあまっちゃった高校生DJを彷彿させるだけあって過剰なくらいにガツガツだったりするわけで、ゆる〜い朝霧においては、存在的にウザイ不思議ちゃんになりそうなものなのなんだけど、「牛」「森」「山」「キャンプ」、さらに「やきそば」「ソース」「軍手」「豚汁」なんてキーワードに違和感がないあたりがボーイズ・ノイズことALEX RIDHA(アレックス・リダ)の魅力であり、マユゲ王子というよりもマユゲの隣のお兄ちゃんといった庶民さが似合うのである。
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report by mimi and photos by hiroqui
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mag files : Boys Noize
マユゲ王子! (07/10/06 @ Asagiri Arena) : review by mimi, photos by hiroqui
photo report (07/10/06 @ Asagiri Arena) : photos by hiroqui
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