buttonコネクト・ミュージック・フェスティヴァル 2007
@ インヴァレアリー・キャッスル (31st Aug to 2nd Sep'07)

ポリフォニック・スプリー : 〜ジェットコースターに乗ってゴスペルを〜


 ステージには幅1メートルほどの赤い布がステージを横断するように取り付けられる。幕が下ろされた瞬間にドカーンと始まるというド派手なオープニングの演出にしては貧相だし、目隠しにしては中途半端だし、なぜ、赤? じゃあ、一体何? と連想ゲームを繰り広げながら待っていると、オーディエンスがざわざわし始める。空が暗くなってきたこともあってよく見えないが、どうやらステージ中央で赤い布にハサミがいれられているようだった。そのハサミは上下にただ縦断するのではなく、ハートを描き、ハサミの動きが止まった。と、同時に左右に布が裂かれ、ステージに真っ白な照明が最大限に点され、両脇からキラキラ光った紙ふぶきが舞い散り、目の前には黒のつなぎで総勢10人オーバーのポリフォニック・スプリーの面々がはつらつとした表情で一気に音を放ち始めた。

 白装束を身にまとい清楚なゴスペル隊、そんなイメージがあったのだけれど、そんな意識がどこで埋め込まれてしまったのだろうか? と思うほど、すべてが真逆! 黒のつなぎは存在に鋭さを付け加え、アグレッシヴにたたみかけてくる。ステージ奥に並ぶコーラス隊は80年代のアイドルのバックダンサーも真っ青なキレのある眩しいダンスを踊り、ヴァイオリンやハープといったお行儀のいい楽器たちも、演者によって擬人化していきいきと動き出す。いや、どちらかというと、演奏する側が楽器に操られているかのようにも見えるほどだった。ティム・デラフターによってバンドをまとめられたり、指揮されているようにも見えたけれど、実は大きな操り人形劇のように自分ではない誰かに精巧に張り巡らされた糸によってコントロールされているようにも見えた。それほど、それぞれのメンバーの身体の全パーツがその人の脳からの指令によって動いているのではなく、各パーツがそのものが意志を持って動いているように見えたからだ。とりあえずジェットコースターのように先が見えない展開から目を離す隙なんて皆無なのだ。メンバーも息が切れ切れな様子ながらに満面の笑みは一寸たりとも途絶えることはない。

 大所帯を率いているのが、ヴォーカルであり監督のティム・デラフターで、時としてマーキュリー・レヴのジョナサンのような妖艶な魔力を持ったウィスパー・ヴォイスでしっとり歌ったり、あれだけのコーラス隊の声量にかき消されることなく手にしたマイクを自在に操ってひとつのゴスペルに仕上げていくのであった。しかし、この男、よく走り、よく飛び、よく踊る! そのティム・デラフターを残して全員がステージを去り、まさかもう終わり? と思うと、今度は白装束に早着替え! ピアノのイントロが始まると”次はみんなもよく知ってる曲だよ”とちょっともったいぶっている様子だったが、そのイントロが何の曲なのか知っている人は待ってましたとばかりに発狂するし、あの曲だとわかる人の笑顔が波紋のように広がっていった。そう、あの場にいたどの年代の人も知らない人なんていないであろうニルヴァーナの"リチウム"だったのだ。オリジナルの持つ荒々しさを、輪や和に昇華させていく光景はまさに圧巻。後味のいいやりにげ感を残して、集団はステージを後にした。



report and photos by kuniko
==>top page : JPN / ENG

Connect Music Festival 2007 (intro)



buttonmag files : The Polyphonic Spree

buttonジェットコースターに乗ってゴスペルを : (07/09/02 @ Inveraray Castle, Argyll, Scotland) : review by kuniko


The official site

The Polyphonic Spree

http://thepolyphonicspree.com/

check 'em? -->MySpace / iTunes


The latest album

Primal Scream

"The Fragile Army"
(国内盤 / UK import / UK import - 12' / US import / iTunes)


The latest DVD

Primal Scream

"Live from Austin, TX"
(UK import)
The latest live album

Primal Scream

"Live from Austin, TX"
(US import / iTunes)


previous works

"Live At Lollapalooza 2007[EP]"(iTunes)
"Wait [EP]"(US import)
"Two Thousand Places [Single]"(UK import)
"Together We're Heavy "(国内盤 (CCCD) / 国内限定盤 (CCCD) / US import - DVD audio / US import / UK import)
"Hold Me Now"(US import)
"Soldier Girl"(US import / UK import)
"Hanging Around 2"(US import)
"Hanging Around 1"(US import)
"The Beginning Stages Of... (Disk 1) "(iTunes)
"The Beginning Stages Of... "(US import / UK import / UK import -12' / 国内盤)
"Vanishing Point"(US import / UK import / 国内盤)
"Light and Day"(US import / UK import)
... and more




check the albums?

Kuniko's works

mail to

button2007

button無意味にこそ意味がある:ホット・チップ (2nd Sept. @ コネクト・ミュージック・フェスティヴァル 2007、インヴァレアリー・キャッスル)
buttonジェットコースターに乗ってゴスペルを:ポリフォニック・スプリー (2nd Sept. @ コネクト・ミュージック・フェスティヴァル 2007、インヴァレアリー・キャッスル)
button音を楽しむということ:プライマル・スクリーム (1st Sept. @ コネクト・ミュージック・フェスティヴァル 2007、インヴァレアリー・キャッスル)
button1娘+3親父=スコットランド:ティーンエイジ・ファンクラブ (1st Sept. @ コネクト・ミュージック・フェスティヴァル 2007、インヴァレアリー・キャッスル)
button裸の毛もじゃ動物:スーパー・ファーリー・アニマルズ (31st Aug. @ コネクト・ミュージック・フェスティヴァル 2007、インヴァレアリー・キャッスル)
buttonステージとオーディエンスとの距離:キング・クレオソート (31st Aug. @ コネクト・ミュージック・フェスティヴァル 2007、インヴァレアリー・キャッスル)
button偉人の幻影を観た:ジ・エイリアンズ (31st Aug. @ コネクト・ミュージック・フェスティヴァル 2007、インヴァレアリー・キャッスル)
buttonキング・クレオソートがいるべき場所:キング・クレオソート (29th Aug @ バー・アンド・キッチン、ロンドン)
button時間を経て確立された揺ぎないバンドの軸:キング・クレオソート(29th Aug. @ バー・アンド・キッチン、ロンドン)
buttonCD review : ビー・スティングス:ビー・エム・エックス・バンディッツ(14th May.)
button時間を経て確立された揺ぎないバンドの軸:ザ・クーパー・テンプルクロース(10th Apr. @ 心斎橋クラブクアトロ)
buttonCD review : アストロノーミー・フォー・ドッグス:ジ・エイリアンズ(24th Mar.)
buttonCD review : ペーパークリップス・アンド・サンド:ジョー・マンゴー(9th Feb.)
button飾らないオトコ達の職人芸:キャレキシコ(19th Jan. @ 福岡ソウル・バード)
button2006

button地中に張り巡らされた根:アラブ・ストラップ(14th Dec. @ 京都メトロ)
buttonCD review : ザ・ハッピー・ソング:ジ・エイリアンズ(19th Oct.)
button地中に張り巡らされた根:モハーヴィ・スリー(7th to 8th Oct.)
buttonザ・グリーンマン・フェスティヴァル特集 : サーキュラスジ・エイリアンズグリフ・リースキング・クレオソートバート・ヤンシュキャレキシコ洞窟でのスペシャル・ライヴ - グリフ・リース (18th to 20th Aug. @ グラヌスク・パーク、クリックホウウェル、ブレコン・ビーコンズ国立公園)
button再び輝きを : ジ・エイリアンズ(25th Aug. @ ナイト & デイ、マンチェスター)
buttonイッツ・ア・ショウ・タイム : コールドプレイ(15th July @ インテックス大阪)
button無防備の産物 : ベル・アンド・セバスチャン(1st Jun @ 大阪なんばハッチ)
buttonCD review : ブラック・ゴールド : キング・ビスケット・タイム (30th May)
buttonCD review : エリアノイド・スターモニカ EP : ジ・エイリアンズ (8th May)
button裸の王様はだあれ? : アークティック・モンキーズ (2nd Apr. @ ゼップ大阪)
button間と呼吸感、そして全てが確信犯 : ザ・ホワイト・ストライプス (9th Mar. @ ゼップ大阪)

button2005

buttonThe Coralは男の約束を果たしに帰って来たのか? : ザ・コーラル (5th Dec. @ 難波ハッチ)
button新しいスタンダード、新しい10年の始まり : オアシス (17th Nov. @ 大阪城ホール)
button生命在るモノのチカラ : Super Furry Animals (20th Oct. @ 心斎橋クラブクアトロ)
buttonCD review "Best of the Beta Band" : ザ・ベータ・バンド (16th Oct.)
button五月蝿いとはこういうことをいう : Scissor Sisters (26th Feb. @ 心斎橋クラブクアトロ)


button2004

button同じ血の温度を感じたい : 22-20s (2nd Dec. @ 心斎橋クラブクアトロ)
button乗せ上手に乗せられ上手 : Franz Ferdinand (27th Nov. @ 大阪マザーホールhall)
buttonキャプテンズの正体 : Captains (27th AUg. @ 京都拾得)
button「ダッシュに短し助走に長し」 : The Vines (21st May @ 心斎橋クラブクアトロ)
button- 声に出したい日本語 - : THA BLUE HERB (15th May @ 大阪ドームスカイホール)
button- 環、輪、和 - : BUFFALO DAUGHTER (15th May @ 大阪ドームスカイホール)
button憧れという名の願望 : The Jeevas (4th Apr @ 心斎橋クラブクアトロ)
buttonのるか、そるか : JET (7th Feb @ 心斎橋クラブクアトロ)
buttonいいものはいい、それでいいのだ! : Bell & Sebastian(25th Jan @ ゼップ大阪)


button2003

button珍獣、超多毛動物、大阪に現る : Super Furry Animals (20th Nov. @ 大阪ビッグキャット)
button今という時間 : The Cooper Temple Clause (11th Oct. @ 大阪ビッグキャット)
button叩けば出てくる無数の誇り : The Coral (17th Apr. @ 大阪ビッグキャット)
button静かなる再出発 : John Squire (19th Feb. @ 心斎橋クラブクアトロ)
buttonやっと、Kula Shakerにケリをつけられた :The Jeevas (11th Feb. @ 広島クラブクアトロ)



無断転載を禁じます。The copyright of the article and photos belongs to . They may not be reproduced in any form whatsoever.counter
==>Back To The Top Page : JPN / ENG.