buttonコネクト・ミュージック・フェスティヴァル 2007
@ インヴァレアリー・キャッスル (31st Aug to 2nd Sep'07)

プライマル・スクリーム : 〜音を楽しむということ〜


 私の場合、ライヴは2つのどちらかの方法で観ていることが多い。ひとつ目は使っている機材、表情、動きをステージの隅々まで観るために、比較的前で場所を変えて観る。そしてもうひとつは、オーディエンスを含めたライヴという絵を楽しむために、かなり後方から観る。今回のプライマルを観るにあたっては迷うことなく後者と決め、オイスター・ステージに向かうも、途中で"アクセラレーター"のイントロとワンテンポ遅れで聞こえてくる大歓声が尋常でない。とにかく人が多くてかき分けてもかき分けてもステージが見えない。自分にとっての絶好のポイントを見つけ、ようやく目に入ってきた視野の先にいたのは、ボビー、マニ、イネス、マーティン、ダレン、そしてサポートのバーリーの6人だった。

 ロバート・ヤングがステージに姿を見せなくなって久しいし、今回はケヴィンもいなかった。フロントにいかつい5人が横並びにし、存在だけで威圧されるプライマル・スクリームを体験しているだけに、もっとスコットランドの山に轟くほどのビリビリした音が恋しくならなかったかというと嘘になる。1人だけしゅっとして、キレのあるカッティングと少しだけオーバーアクションに見えるバーリーの魅力にもちょっとだけ違和感を覚えたのも正直なところである。でもあの日、あの場所でのライヴには、そういうことは全く関係なかった。それよりも、アンコールであの情景をバックに、ボビーが極上の歌謡ショウを見せてくれた"スター"や、女性コーラスとサンプリングが響き渡る"ローデッド"で、白いライトと闇とが交互に目に飛び込み、何万もの米粒サイズのオーディエンスとステージと、それをとりまく山々が完全に融合してひとつの絵となった。それは、今、プライマル・スクリームに求められているものと、今のプライマル・スクリームそのものが完全にシンクロしてひとつになった表れなのだろう。

 この曲はこうやって作られて、誰がプロデュースして、あの有名なスタジオでマスタリングされた……とか、頭でっかちな5W1Hで解釈したがるけれど、そういう類いのモノが本当にアホらしくなった。ライヴにはそんな難しいうんちくなんてまったく必要ないのだから。ここでは"ロックス"だって"カントリー・ガール"だってイントロが始まったとたんにきたぞ、きたぞ! とぞくぞくするような興奮が背筋を走り、隣にいる見知らぬ者同士が、いっしょにフルコーラス完唱しようじゃないかとばかりに、笑顔で確認し合い、気がつけば肩を組み、ボビーに代わって全員がご機嫌に"Get your rocks off. Get you rocks off, honey"祭りである。みんなが待っているのは目の前にいるプライマル・スクリームであり、愛すべきプライマル・スクリームの曲なのだから。そういう音楽を楽しむ上での原点をあの瞬間にあの場所にいたすべての人が思い出させてくれたのだった。"ロックス"や"ローデッド"だって過去の遺産なんかではなく、『ライオット・シティ・ブルース』の曲だって同等に最高のロックン・ロールに仕上げられていたのだから。これまで何度となく、その名だけを残して、今存在しなかったやしれないろくでなしの男たちが、目の前で何万ものフリークを湧かせている、ただそれだけで十分だった。



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Connect Music Festival 2007 (intro)



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