button Flow Festival @ Gangwon-do, Korea
(31st Aug. - 2nd Sep. '07)

- photo reports & reviews -

Day1-8.31 Fri
Ta-Copy
photos by ryota and review by funabashi
Ta-Copy
Ta-Copy Ta-Copy Ta-Copy
「覆された先入観」

 次々と登場するパンク・ロックバンドの姿を見て、フロー・フェスティバルは韓国におけるパンク・ロックの祭典なのかと思っていた。革ジャン、金髪、モヒカン、スキンヘッド……。お世辞にも品があるとはいえない人相の男たちが会場中をたむろしている。そんな中一筋の希望ならぬ、ドレッドヘアが視界に入った。このドレッドヘアの主がタ・コピーのドラマーだ。彼を見た瞬間、「韓国のレゲエが聴ける」と確信した。

 ナスティヨーナやソギュモ・アカシアバンドなど多彩な顔ぶれが出演したフロー・ライブ・ステージにおける初日のトリを努めるのがタ・コピーだ。すっかり夜も更け、ステージを煌々と照らす照明が場の緊張感を高めていた。笑みを浮かべ、特に緊張した様子もなくリラックスした様子のメンバーが次々とステージにあがる。ついに演奏が始まりタ・コピーの音が会場に鳴り響いた……。この瞬間の感覚は今でも鮮明に覚えている。こちらの勝手な先入観を見事に覆し、タ・コピーは皆が満面の笑みでパンク・ロックを鳴らし始めたのだ。日本のハイ・スタンダードをよりキャッチーにした音は、一言メロコアといってしまうと分かりやすいだろうか。ドレッドヘア=レゲエという安易な方程式を頑なに信じていた自分に呆れながら、呆然と彼らのステージを見ていた。

 隣のプレイアウト・ステージではそれこそ1日中パンク・ロックのバンドが出演していたというのに、なぜこのタイミングでこのバンドだったのだろう……、とは何度思ったことか。だが眩しすぎる笑顔でがむしゃらに演奏する姿はどこか美しく、これはこれでまぁ良いかと思ってしまうのだった。


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"Super Star"
(国内盤)


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Rux
photos by ryota and review by funabashi
Rux
Rux Rux
「韓国人の男気に惹かれたとき」

 プレイアウト・ステージにて、フロー・フェスティバルのトップバッターを飾ったのがこのラックスだ。韓国ではかなり有名なバンドのようで、日本のバウンス(タワーレコード発行のフリーペーパー)のような雑誌に4ページにわたってインタビュー記事が掲載されていることからも、その人気の高さがうかがえる。

 ではなぜそんなバンドがトップバッターなのか。それには理由があった。韓国人の国民性を考えると、イベントが始まる金曜日の夕方という時間帯では多くの集客が見込めないとのこと。そこで「だったら俺たちが演奏して客を呼んでやる」と意気込み、ラックス自らこの時間帯を臨んだということらしいのだ。その強い思いを聞き、どうにかたくさんの人に集まってもらいたいと思ったのだが、残念ながら演奏が始まる時間になっても出演者や関係者以外はほとんど人が集まらない。かといってそんな状況に屈してしまうようなバンドではないようで、続々と集まってくるバンド仲間を大いに盛り上がらせていた。堂々としたパフォーマンスはもとより、遠目に分かるほど首の血管を浮き上がらせて歌う様は圧巻の一言。後に続いたどのバンドより力強い存在感を放っていた。なぜこのバンドが韓国で人気があるのか。それは音楽以上に、音楽や人と向き合うその姿勢にあるのだろう。男気溢れるその姿勢に魅了されたひとときだった。


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"俺たちはどこへいくのか"
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Sogyumo Acaciaband
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Sogyumo Acaciaband
Sogyumo Acaciaband Sogyumo Acaciaband
「なぜか記憶に残る音」

「一度聴いたら忘れられないメロディー」とはよく目にするキャッチコピーだが、この言葉がぴったりとはまるのがソギュモ・アカシアバンドだ。ドラムによって刻まれるタイトなビートに野太いベースラインが絡みリズムが構築される。ギターによって鳴らされる軽快な裏打ちや、浮遊感のある鍵盤ハーモニカがのせられる様は、一言でいってしまうとレゲエだろう。レゲエを基調としているのは間違いないのだが、この一言でくくろうとすると、それはまた少し違う。そう感じさせるのは、おそらくフロントに立つふたりの女性ボーカリストの存在に起因する。彼女らが発するウィスパーボイスには憂いがあり、儚さがあるのだ。瞬間で魅了する力こそないが、声を重ねて繰り返し歌われるフレーズはボディブローのようにじわりじわりと効いてくる。

 ライブが終わり会場内をふらついていたとき、気がつくと初めて聴いた彼らの歌を口ずさんでいた。そしてこの原稿を書きながらも彼らの歌は今も脳裏で響いている。この不思議な中毒性がソギュモ・アカシア・バンドの持つ魅力なのかもしれない。


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"小規模アカシアバンド"
(国内盤)


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Nastyona
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Nastyona
Nastyona Nastyona
「ジャズ畑で収穫された予想外の産物」

 改めてイベント全体を振り返ると、ナスティヨーナが放っていた存在感は際立って異様であり、異色の存在であった。それゆえに今も強く記憶に残るバンドのひとつだ。

 ナスティヨーナはドラム、ベース、ギターのリズム隊と、ボーカル兼キーボードのヨナから成る。黒の衣装に身を包んだヨナの佇まいは他を圧倒する存在感があり、陰の雰囲気を強く漂わせていた。演奏が始まった当初はハードロックのような印象を受けたのだが、聴き深めていくにつれ、その一言で片づけられる音楽では到底ないことに気がつく。混沌としたリズムが渦巻く中、ヨナはひとりステージからフロアを見下ろしていた。一見すると微動だにしていないように見えるのだが、鍵盤上では彼女の手だけが不気味なほど激しく動き、他の誰よりもカオスに満ちた音を鳴らしている。ヨナはナスティヨーナを結成する以前はジャズを専攻していたというが、この演奏からはとてもじゃないが想像はつかない。混沌とした空気が煮詰まるにつれ盛り上がるフロアからは、ナスティヨーナが持つカルト的な人気をみてとることができた。

 別のバンドを見るために移動してしまい、最後まで見られなかったのが今になって悔やまれる。機会があれば、今度はより大きなステージで彼らの姿を見てみたいと思う。

 なお、ナスティヨーナへは2004年にインタビューを行っているので、こちらも合わせて読んでもらいたい。


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"Story Of Cats"



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