ゲット・ローデット 2007 @ クラッパム・コモン・パーク (26th Aug '07)
- ザ・ストリーツ - やんちゃな成犬、余裕のラスト
正午から始まったフェスティヴァルも残すアクトは最後のヘッド・ライナーのみとなっていた。一日で様々なアーティストを観る為にステージ間をせっせか走り回り、炎天下の中で、我が顔は金時の如し真っ赤となる。何だかグラストの日々と同じ展開になってしまったが、幸いにも会場の小ささが功を奏し、ほぼ予定通りに各ステージを追う事が出来た。とは言っても、今回取り上げたのは主立ったミュージシャンが登場する2ステージだけで、DJスペースやヒップホップ、アコースティックの面々もそれぞれ素晴らしいステージングを披露しただろう。と、とってつけた様な総括を加えた上で、トップのザ・ストリーツである。独特のイングリッシュ・ライムをバーミンガム・アクセント剥き出しで軽妙に踏んでいくマイク・スキナーの、英国人の心に共鳴する普遍的かつ、おどけた調子のラップが、アップ・テンポなサウンドと共にヒップホップの枠を越え、インディ・シーンでも多大な人気を集めている。
その辺にあった服を引っ掛けてきただけのような全く飾らない普段着姿で現われたマイク。前日他界したマッド・チェスター・ムーヴメントの立役者であるトニー・ウィルソンを追悼するというイントロから、まるでこの場にいる人々に話しかける様な口調でラップが始まる。この小気味良いラッパーが生み出すノリというものは、これまでのバンドが生み出すそれとはまったく異なり、早い話、ヨオ、ヨオ、ヨオの人差し指突き上げ系で序盤はぎこちない自分がいた。平生は未経験なこの独特のノリは、ちょっと好きな人以外には辛いものがある。例えザ・ストリーツだとしても、はあ、こんな感じなのね...と棒立ちのまま、好きに踊る人達の楽しげな様子を横目で静かに見つめるだけであった。
ヒット・チューンを網羅し、満杯になった観客の盛り上がりはさすがラストだけに大変大きかった。一緒になって歌詞を口ずさみ、体を揺らす人、友達同志で笑い合う人、そんな光景でストリーツと共に最後のひとときを味わう様子はフェスティヴァルのフィナーレに相応しい。救急隊の被るヘルメットを借りて、観客を煽るマイクの魅せるパフォーマンスもこなれた様子だ。ただ、彼自身からはほとばしる情熱を感じられず、特記することのない凡庸なステージングに終わってしまったのが悔やまれる。最後の最後に鼓動が熱くならなかったのは残念だが、全編通して有意義といえるイヴェントは無事に幕を閉じた。
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report and photos by kaori
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Get Loaded in the park 2007 (intro)
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report and photos by kaori
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やんちゃな成犬、余裕のラスト (07/08/26 @ Get Loaded in the Park 2007, London) : review & photos by kaori
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2007
可愛いだけじゃあ、だめなのよ : ライロ・カイリィ (20th Aug. @ イズリントン・アカデミィ、ロンドン)
宵を彩るファンタジスタ : シザー・シスターズ (26th Jul. @ ジ・オートゥ、ロンドン)
悲しくても泣けない時がある : ブライト・アイズ (4th Jul. @ シェファーズ・ブッシュ・エンパイア、ロンドン)
暴れん坊がゆく! : ノイゼッツ (24th Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
ワンダーワールドはキリの良い所までが丁度良い : ミーカ (24th Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
叫ぶなら中身を詰めよ : ザ・ホラーズ (24th Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
陽気で緻密なサウンド・マジック : ザ・ゴー!ティーム (24th Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
大団円はもらった : ザ・ゴシップ (24th Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
夢見る頃は過ぎない : パトリック・ウルフ (23rd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
極めずに進み続ける野心 : ザ・クークス (23rd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
辿り着いたメッカ : クラクソンズ (23rd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
夜を制した男 : イギー・アンド・ザ・ストゥージズ (23rd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
旬に乗ったらどこまでも : CSS (23rd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
不思議少女のラビリンス : バット・フォー・ラッシィズ (23rd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
洗練されしお茶目心 : ルーファス・ウェインライト (22nd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
紳士の奏でる狂奏曲 : モデスト・マウス (22nd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
血は雨よりも濃く : ザ・クリブス (22nd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
純粋なる純白 : ブライト・アイズ (22nd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
ソウルが無くても昂るの? : ブロック・パーティ (22nd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
ビョークがビョークである所以 : ビョーク (22nd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
楽団と狂騒 : アーケイド・ファイア (22nd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
腐った魚は食えない : ジ・オートマティック (22nd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
胸に巣食うよ、インディ病 : ザ・ピジョン・ディテクティヴス (30th May @ HMV、ロンドン)
指先の革命 : DJクラッシュ (27th May @ ココ、ロンドン)
じゃじゃ馬歌姫、KO勝ち : ザ・ノイゼッツ (24th May @ ココ、ロンドン)
かくも熱き音魂 : コールド・ウォー・キッズ (21st May @ ココ、ロンドン)
グロウスティックの震撼 : クラクソンズ (18th May @ シェファーズ・ブッシュ・エンパイア、ロンドン)
大波に乗れ! : ザ・マッカビーズ (17th May @ アストリア、ロンドン)
嵐を呼ぶ男 : ザ・レモンヘッズ (16th May @ ココ、ロンドン)
虎穴に光る虎児の牙 : プル・タイガー・テイル (11th May @ プラウド・ギャラリィ、ロンドン)
娯楽なロックは裏切らない : マキシモ・パーク (10th May @ アストリア、ロンドン)
壊れたおもちゃ箱 : ディアフーフ (2nd May @ ココ、ロンドン)
命短し、踊れよ乙女 : キャンセイ・デ・セイ・セクシィ - シーエスエス (23rd Apr. @ アストリア、ロンドン)
汗くさメタルよ、さようなら : ロストプロフェッツ (23rd Apr. @ HMV、ロンドン)
腹に響くぜ、ロックン・ロール : ブラック・レベル・モーターサイクル・クラブ (18th Apr. @ アストリア、ロンドン)
大人しいのは見せかけさ : ピーター・ビョーン・アンド・ジョン (15th Apr. @ ココ、ロンドン)
金の卵探しはオール・ナイトで : ザ・ナインティーン・ハンドレッズ、ジャック・ペネイト、グッド・シューズ、ビッフィ・クライロ (13th Apr. @ フォーラム、ロンドン)
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