ゲット・ローデット 2007 @ クラッパム・コモン・パーク (26th Aug '07)
- エム・アイ・エイ - 乗らずにいられぬこの挑発

2005年のマーキュリィ・アウォーズにノミネイトされたデビュー・アルバムを発売した辺りから、エム・アイ・エイに対するメディアの関心は高かった。ロンドンで産声を上げたものの、政治活動家となった父親を取り巻く環境が悪化し、移民として後に家族と共にこの地へ再び舞い戻って来るまでに、インドや母国であるスリランカなどを転々とした波瀾万丈な多感期を送った生い立ちもさることながら、内戦や貧しさという悲惨な状況を体験し、そういった人生背景に鼓舞されたトライバルかつファンキィな彼女の音楽が、既存ジャンルにはめきれない新感覚なものとして聴き手に衝撃を与えたのだ。
エム・アイ・エイ(実名はマヤ)とは戦闘中に行方不明になった者を意とする頭文字であるが、前述した彼女自身の体験がリアルに反映されたそのサウンドや歌詞からも、強いメッセージ性や意志といったものが明確に伝わって来る。単純に韻を踏んだラップというより、時にタミール語、スペイン語、ジャマイカ語のスラングを織り交ぜた難解な詩は、言葉そのものよりも、そのサウンドに乗じて初めて、エム・アイ・エイ語とでもいうべき不思議な響きを持ち合わせるのだ。ステージに彼女が現われた時の何ともいえないざわめき、そして彼女が目の中に飛び込んで来た時の、その独特のオーラには恐いくらいにぞくぞくとした。ただそこに立っているだけで観る者の心にただならぬざわめきを起こさせる表現者もなかなかそうはいない。杖を突き、濃いシェイズをかけた彼女が笑っていたのかどうかは分からないが、どちらにしても不敵な態度が堂々として格好良い。
女性ダンサーを従えて、蛇の様に柔軟に体をくねらせ踊りに身を任せる彼女は、つい先頃発売されたニュー・アルバム、そしてファーストから程良くミックスされたセットで歌い叫び続ける。ヒップホップ、グライム、エレクトロを混合したサウンドに合わせ、小気味良く響くラップと、しなやかにステージを動き回るそのパフォーマンスには目を奪われっぱなしであった。限りなく自由闊達な自己表現を武器とした彼女の勇姿は来たる10月の東名阪ツアーでとくとご覧あれ。
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report and photos by kaori
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Get Loaded in the park 2007 (intro)
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report and photos by kaori
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乗らずにいられぬこの挑発 (07/08/26 @ Get Loaded in the Park 2007, London) : review & photos by kaori
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2007
可愛いだけじゃあ、だめなのよ : ライロ・カイリィ (20th Aug. @ イズリントン・アカデミィ、ロンドン)
宵を彩るファンタジスタ : シザー・シスターズ (26th Jul. @ ジ・オートゥ、ロンドン)
悲しくても泣けない時がある : ブライト・アイズ (4th Jul. @ シェファーズ・ブッシュ・エンパイア、ロンドン)
暴れん坊がゆく! : ノイゼッツ (24th Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
ワンダーワールドはキリの良い所までが丁度良い : ミーカ (24th Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
叫ぶなら中身を詰めよ : ザ・ホラーズ (24th Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
陽気で緻密なサウンド・マジック : ザ・ゴー!ティーム (24th Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
大団円はもらった : ザ・ゴシップ (24th Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
夢見る頃は過ぎない : パトリック・ウルフ (23rd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
極めずに進み続ける野心 : ザ・クークス (23rd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
辿り着いたメッカ : クラクソンズ (23rd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
夜を制した男 : イギー・アンド・ザ・ストゥージズ (23rd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
旬に乗ったらどこまでも : CSS (23rd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
不思議少女のラビリンス : バット・フォー・ラッシィズ (23rd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
洗練されしお茶目心 : ルーファス・ウェインライト (22nd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
紳士の奏でる狂奏曲 : モデスト・マウス (22nd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
血は雨よりも濃く : ザ・クリブス (22nd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
純粋なる純白 : ブライト・アイズ (22nd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
ソウルが無くても昂るの? : ブロック・パーティ (22nd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
ビョークがビョークである所以 : ビョーク (22nd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
楽団と狂騒 : アーケイド・ファイア (22nd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
腐った魚は食えない : ジ・オートマティック (22nd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
胸に巣食うよ、インディ病 : ザ・ピジョン・ディテクティヴス (30th May @ HMV、ロンドン)
指先の革命 : DJクラッシュ (27th May @ ココ、ロンドン)
じゃじゃ馬歌姫、KO勝ち : ザ・ノイゼッツ (24th May @ ココ、ロンドン)
かくも熱き音魂 : コールド・ウォー・キッズ (21st May @ ココ、ロンドン)
グロウスティックの震撼 : クラクソンズ (18th May @ シェファーズ・ブッシュ・エンパイア、ロンドン)
大波に乗れ! : ザ・マッカビーズ (17th May @ アストリア、ロンドン)
嵐を呼ぶ男 : ザ・レモンヘッズ (16th May @ ココ、ロンドン)
虎穴に光る虎児の牙 : プル・タイガー・テイル (11th May @ プラウド・ギャラリィ、ロンドン)
娯楽なロックは裏切らない : マキシモ・パーク (10th May @ アストリア、ロンドン)
壊れたおもちゃ箱 : ディアフーフ (2nd May @ ココ、ロンドン)
命短し、踊れよ乙女 : キャンセイ・デ・セイ・セクシィ - シーエスエス (23rd Apr. @ アストリア、ロンドン)
汗くさメタルよ、さようなら : ロストプロフェッツ (23rd Apr. @ HMV、ロンドン)
腹に響くぜ、ロックン・ロール : ブラック・レベル・モーターサイクル・クラブ (18th Apr. @ アストリア、ロンドン)
大人しいのは見せかけさ : ピーター・ビョーン・アンド・ジョン (15th Apr. @ ココ、ロンドン)
金の卵探しはオール・ナイトで : ザ・ナインティーン・ハンドレッズ、ジャック・ペネイト、グッド・シューズ、ビッフィ・クライロ (13th Apr. @ フォーラム、ロンドン)
行儀良く聴きたい夜には : ジョアン・アズ・ポリス・ウーマン (12th Apr. @ スカラ、ロンドン)
眠れぬ森の王子 : パトリック・ウルフ (11th Apr. @ アストリア、ロンドン)
裸の俺様 : レイザーライト (8th Apr. @ アールズ・コート、ロンドン)
耳を肥やせ、インディ・ファンよ : リトル・マン・テイト (5th Apr. @ アストリア、ロンドン)
あと、もう一歩 : マキシモ・パーク (4th Apr. @ HMV、ロンドン)
泣く子も黙るライヴ天国 : フォール・アウト・ボーイ (2nd Apr. @ ハマースミス・アポロ、ロンドン)
二枚目の分かれ道 : ザ・レイクス (31st Mar. @ ブリクストン・アカデミー、ロンドン)
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