ゲット・ローデット 2007 @ クラッパム・コモン・パーク (26th Aug '07)
- ジ・オートマティック - 一発屋の彷徨

ピュアなヤング達にとってみればこの名をスロットに発見した際は、やったぜ、オートマティックが観れる!といった具合になるのであろうが、いかんせんこちらはそんな時期をとうに卒業、いやそんな時期すらあったかどうか疑問なものなので、正直なところ、ギャー、もう勘弁してくれ、の心情である。別にバンドに個人的恨みは無いのだけれども、やはり今年のグラストでの体験が未だ尾を引いて、このバンドに対して食指が動かない。嫌いなバンドだったらレヴューなんかしなきゃいいじゃんか、と突っ込まれ兼ねないが、一つ言えるのは好きか嫌いかという観点でレヴューを書いているのでは無いという事。良かったかどうか、つまるところそういう批評のみである。
結論からして、今回のジ・オートマティック、決して悪く無かった。晴天の下に映える若さと、必死な演奏、彼らの要であるキーボーディスト、ペニィのしてやったりのはっちゃけぶりは、若いオーディエンスにはフェスティヴァルという雰囲気に相まってエナジェティックに見えたことだろう。家で彼らのCDを聴いててもピンとこないが、実際のライヴでは分かり易いメロディと反復される簡単な歌詞で、それほど彼らのファンでなくとも盛り上がれる、観客を盛り上げる要素は十分だった。そう、フェスティヴァルという環境下においては、の話だが。これが彼ら単独のライヴを例えばアストリア、フォーラム規模の会場でどんよりと停滞した秋や、絶望的なイギリスの冬に観たいか、と問われれば間違いなく否である。新曲がどんな形で現われれど、今の時点で彼らの底は見えているし、この盛り上がりはあくまでフェスティヴァルというイヴェントでのみ生きるもので、20分もすれば大概飽きて来る。
彼らに限らず、ハイプで登場するバンドの多くが直面する厳しい現実はまさにこういう事で、後に続くものを保証するのはただ、一過性に終わらないオリジナルな音楽性であり、心を惹く歌詞であり、確立したアティテュードだ。確かにペニィの強烈な個性は出て来た当初は誰の目も奪ったであろうし、単純明快なサウンドもインスタントに人の関心を引くことは出来た。けれども、人の関心ほど当てになるものは無いし、移り気な興味はまた新たに出て来る風変わりなものに一気に奪われてしまう。それを捨て去って、裸一貫で再スタートを切ったとして、どれだけバンドとしての真価を発揮できるか。心から彼らを好きになったファンの為にも次の一歩を踏み出す勇気が彼らには必要なようだ。
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report and photos by kaori
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Get Loaded in the park 2007 (intro)
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一発屋の彷徨 (07/08/26 @ Get Loaded in the Park 2007, London) : review & photos by kaori
腐った魚は食えない (07/06/22 @ Glastonbury Festival, Pilton) : review by kaori, photos by keco
photo report (07/06/22 @ Glastonbury Festival, Pilton) : photos by keco
CD review : Not Accepted Anywhere (06/06/23) : reviewed by kaori
馬鹿値で手にした、UKロックの玉手箱 (06/05/24 @ Electric Ballroom, London) : reviewed by kaori
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2007
可愛いだけじゃあ、だめなのよ : ライロ・カイリィ (20th Aug. @ イズリントン・アカデミィ、ロンドン)
宵を彩るファンタジスタ : シザー・シスターズ (26th Jul. @ ジ・オートゥ、ロンドン)
悲しくても泣けない時がある : ブライト・アイズ (4th Jul. @ シェファーズ・ブッシュ・エンパイア、ロンドン)
暴れん坊がゆく! : ノイゼッツ (24th Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
ワンダーワールドはキリの良い所までが丁度良い : ミーカ (24th Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
叫ぶなら中身を詰めよ : ザ・ホラーズ (24th Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
陽気で緻密なサウンド・マジック : ザ・ゴー!ティーム (24th Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
大団円はもらった : ザ・ゴシップ (24th Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
夢見る頃は過ぎない : パトリック・ウルフ (23rd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
極めずに進み続ける野心 : ザ・クークス (23rd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
辿り着いたメッカ : クラクソンズ (23rd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
夜を制した男 : イギー・アンド・ザ・ストゥージズ (23rd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
旬に乗ったらどこまでも : CSS (23rd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
不思議少女のラビリンス : バット・フォー・ラッシィズ (23rd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
洗練されしお茶目心 : ルーファス・ウェインライト (22nd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
紳士の奏でる狂奏曲 : モデスト・マウス (22nd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
血は雨よりも濃く : ザ・クリブス (22nd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
純粋なる純白 : ブライト・アイズ (22nd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
ソウルが無くても昂るの? : ブロック・パーティ (22nd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
ビョークがビョークである所以 : ビョーク (22nd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
楽団と狂騒 : アーケイド・ファイア (22nd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
腐った魚は食えない : ジ・オートマティック (22nd Jun. @ グラストンバリー、ピルトン)
胸に巣食うよ、インディ病 : ザ・ピジョン・ディテクティヴス (30th May @ HMV、ロンドン)
指先の革命 : DJクラッシュ (27th May @ ココ、ロンドン)
じゃじゃ馬歌姫、KO勝ち : ザ・ノイゼッツ (24th May @ ココ、ロンドン)
かくも熱き音魂 : コールド・ウォー・キッズ (21st May @ ココ、ロンドン)
グロウスティックの震撼 : クラクソンズ (18th May @ シェファーズ・ブッシュ・エンパイア、ロンドン)
大波に乗れ! : ザ・マッカビーズ (17th May @ アストリア、ロンドン)
嵐を呼ぶ男 : ザ・レモンヘッズ (16th May @ ココ、ロンドン)
虎穴に光る虎児の牙 : プル・タイガー・テイル (11th May @ プラウド・ギャラリィ、ロンドン)
娯楽なロックは裏切らない : マキシモ・パーク (10th May @ アストリア、ロンドン)
壊れたおもちゃ箱 : ディアフーフ (2nd May @ ココ、ロンドン)
命短し、踊れよ乙女 : キャンセイ・デ・セイ・セクシィ - シーエスエス (23rd Apr. @ アストリア、ロンドン)
汗くさメタルよ、さようなら : ロストプロフェッツ (23rd Apr. @ HMV、ロンドン)
腹に響くぜ、ロックン・ロール : ブラック・レベル・モーターサイクル・クラブ (18th Apr. @ アストリア、ロンドン)
大人しいのは見せかけさ : ピーター・ビョーン・アンド・ジョン (15th Apr. @ ココ、ロンドン)
金の卵探しはオール・ナイトで : ザ・ナインティーン・ハンドレッズ、ジャック・ペネイト、グッド・シューズ、ビッフィ・クライロ (13th Apr. @ フォーラム、ロンドン)
行儀良く聴きたい夜には : ジョアン・アズ・ポリス・ウーマン (12th Apr. @ スカラ、ロンドン)
眠れぬ森の王子 : パトリック・ウルフ (11th Apr. @ アストリア、ロンドン)
裸の俺様 : レイザーライト (8th Apr. @ アールズ・コート、ロンドン)
耳を肥やせ、インディ・ファンよ : リトル・マン・テイト (5th Apr. @ アストリア、ロンドン)
あと、もう一歩 : マキシモ・パーク (4th Apr. @ HMV、ロンドン)
泣く子も黙るライヴ天国 : フォール・アウト・ボーイ (2nd Apr. @ ハマースミス・アポロ、ロンドン)
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