グラストンバリー・フェスティヴァル @ ワージー・ファーム、ピルトン、サマーセット (22nd - 24th Jun. '07)
ミーカ @ アザー・ステージ (24th Jun. '07)
ワンダーワールドはキリの良い所までが丁度良い
5オクターヴだか7オクターヴだか知らんが、ともかくマライア・キャリィにも引けを取らぬ声域の広さと、オペラの素養に培われた美しい歌声で、限りなくハッピィでポッピィな世界を生み出す驚異のシンガー・ソングライター、それがこのレバノン生まれのミーカ、と彼は英国ラジオ局BBCが毎年発表する、音楽関係者予測の期待の新人リスト2007年度のトップに名が上がり、それが常に彼の宣伝文句で謳われ続けていた。それまではレコード契約は済んでいたものの、これといったヒットも注目も無く、露出すら無い状態だったということだが、初めて彼の名を目にした時は、何だい、一体ミーカって、日本人か?としか思わなかったし、彼のマイ・スペースで何曲か音源を聴いてみたが、なんかプリンスみたいね、ぐらいにしか思わなかった。活動拠点がロンドンということで今年は良くUKでもライヴをお披露目していた様だが、その程度の印象では足を運ぶほどの興味もなく、とうとうこのグラストまでライヴ体験はお預けだったのである。
キッチュなバルーン人形を左右に据えた、サーカス団の様に派手でカラフルなステージ。同行した写真家とお茶飲み話に興じていて、途中参加となってしまったが、遠巻きにでも、彼のフレディ・マーキュリィばりのオペラティックな歌声がはっきりと聴こえて来る。やたらにぴょんぴょん飛び跳ね、笑顔で爛々と歌うくっきり顔はプレスの写真に違わずかわゆい。巻き毛もくりくり、お目目もくりくり、「ほら、空に皆でこの歌声を届けよう!太陽が昇って来たよ」、と実に明るいのだ。その驚異なる歌声も、ピアノに合わせ、程良いバンド・サウンドを引っ張る劇画ばりの情熱で、高らかに響く旋律が掠れる事を、詰まる事を知らない。「あーららららららららー」と発声練習も兼ねているのかしきりにファルセットを連発し、はりきっているのが嫌が応にも伝わってくる。
誰でも聴き易いポップ・チューンに、虹色なまでに変幻自在な声をもってすれば、子供も、大人も一緒になって口ずさみ、ダンスできる娯楽性には申し分無く、陽を全面に打ち出すポジティヴな表現力は、キャリアの浅さや、先行する噂に懐疑的な心を解きほぐすだけの説得力があった。ただ、あんまりに長時間彼のハイ・トーンを聴き続けていると、同じキャンキャン・ムードでもシザー・シスターズの様にバンド・サウンドで中和される休みどころ、押し、引きの妙が無く、後半になるにつれ食傷気味になり疲れてしまう。好きか、嫌いかにもよるが、彼の音楽は、3〜4曲、或いは30分位のパフォーマンスでハッピィになり、ミーカ,良かったねー、と美味しい所で去るのがちょうど良い気がした。耳障りで終わってしまったら、せっかくの美声も台無しである。
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ワンダーワールドはキリの良い所までが丁度良い (07/06/24 @ Glastonbury Festival, Pilton) : review by kaori, photos by ryota
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