button グラストンバリー・フェスティヴァル
@ ワージー・ファーム、ピルトン、サマーセット (22nd - 24th Jun. '07)

ディスカルパス・デ・オティリア @ ロスト・ヴェイグネス (23rd Jun. '07)
ダーティ・プリティ・シングス @ ストラマーヴィル (23rd Jun. '07)
マッドネス @ ロスト・ヴェイグネス (23rd Jun. '07)


遊び人はライヴを見ない

Glastonbury Festival
 広いグラスト会場内、どこを回ろうとも必ず立ち寄ってしまったのがロスト・ヴェイグネスだった。土手の遊歩道と平行して伸びている通りがその中心だ。そして、鉄塔が立てられているところから坂を登りきったジョー・ストラマーのモニュメント(といっても人間サイズの岩)まではストラマーヴィルと呼ばれている。「ストラマーヴィル」というのも、地図にはっきりと書かれているわけではない。生前のジョーが焚き火をしていた場所だったことから自然とつけられた名前だ。彼の生き方などを思えば、俗語のようなものとして定着したのかも知れない。どちらも普段夜遊びに興じている不良な大人たちが常にたむろしていて、ヒップな場所だ。

 ロスト・ヴェイグネスには、ステージを備えた舞踏会を思わせる貴族っぽいテントや、ローラースケートを履いてオーバルをひたすら周回するためだけのテント、遊園地の放出品だと思われるてんとう虫のような乗り物が椅子になったバー、うすっぺらな書割りで適当に組み立てただけの教会がある。どこにも必ずDJブースがあって、フォルクローレだったり、パンクにオールディーズだったり、ベタベタなハードロックやキッズソングまで、スタートレックのコスプレをした酔っぱらいDJにドスの利いた声を張り上げるドラァグ・クィーンのDJらが、さらにどうしようもなく酔っぱらっているグラストの住人を振り回している。もちろんイベント・スペースだけではなく、仮装したい人のために華麗な衣装やヅラが売っていたり、貸し出して撮影会なども開かれているから、音楽だけで生きてる奴はひとりもいない。みながぐちゃぐちゃに混ざりあう文化や空気、自らの手で創りだすコトとモノ、阿呆さ加減もろもろ、不自由なグラストンバリーそのものを楽しんでいるのだ。

Glastonbury Festival 方や、なにをするでもなく世界各国の旗の下で焚き火を囲み、ジョーの旧友が中心になって笑いあったり、からかったりしているのがストラマーヴィル。ここには、建築現場から適当に拾ってきたようなパイプに生地をめぐらし、ジョーの写真が貼り出されているだけの簡素なストラマーヴィル・バンドスタンドというステージがある。サインするだけで有名無名問わずライヴができる。また、その隣にはこころ温まるカフェがある。コーヒーはべらぼうに安い1ポンド。塀に閉ざされた空間ならば多少値段をつり上げても文句はでないはずだ。それどころか、外界に比べても破格。安いにはわけがあって、切り盛りするご夫人はジョーの奥さんだ。これ以上のまどろっこしい説明はいらないだろ?

   ロスト・ヴェイグネスの貴族の舞踏会場っぽいテント(正式名称は知らない)には、一風変わったバンドが出演することが多い。リストを見るだけでも、カントリー系からフォルクローレまで実に様々だ。基本的に、普段は小さなハコで演奏していそうなバンドが多いが、二年前は東京スカパラダイスオーケストラが出演したらしいから、こちらが知らない海外アーティストの中にはアリーナを埋めてしまうアーティストがいるかも知れない。スペインのネオスカバンド、ディスカルパス・デ・オティリアは大柄な二人のヴォーカリストが巻き舌のスペイン語でただならぬ熱と叫びをあげている。マッドネスを意識したスタイルだが、ヒップホップのMCよろしく身振り手振りで表現し、はつらつとした若さや野心をまるごと投げつけてくる。

Gogol Bordello
 インド系の目鼻立ちがしっかりした女性に連れられて、ライヴをしばし中座する。「love(愛)」に「hate(憎)」と書かれた教会の中に入ってみると、お手製のリングがある。ちょうど結婚式の最中で、これはもちろんラヴだ。司会の女性が神父の代わりに式をとりおこなっている。最後にはDJが爆音を流し、皆でダンスしていたからメチャクチャだ。ヘイトの一面はステージに見てとれる。リングを模していることからわかる通り、ボクシングの試合も行なわれているそうだ。教会の脇にはエア・ストリームと呼ばれるアルミ製のキャンピングカーが道の脇の仕切られたスペースに固められている。このうちひとつにはダーティ・プリティ・シングスが泊まっていたという。他にも様々なアーティストが泊まっている、と女性は言っていた。

Glastonbury Festival テントへと戻ってきたらば、見覚えある男が泥で滑りやすくなったフロアの真ん中でオーディエンスを指揮している、というよりは思っくそはしゃいでいる。深みへと落ちていくメロでは身をかがめ、ブレイクの瞬間に飛び上がるそいつは、さっきまでステージで汗を垂らして歌っていたヴォーカリストだった。空間に余裕があるからやってるという訳ではないだろう、野心のみならず泥まで投げつける熱狂ぶりをまずは自分から発し、レスポンスを丸ごと受け止めて皆と一体になる。泥がつきもののグラストにふさわしい「泥臭い」って言葉が一番しっくりくるバンドだった。

 ひと騒ぎしてちょいと疲れたら、焚き火のまわりで何をするでもなくグダる。日が落ちてきて炎がいっそう鮮やかに染みてくるうちに様々な思いが巡ってくる。大きなステージで賑やかなライヴが繰り広げられているんだろうなぁ…という類いは微塵も湧かず、夜に本性を表わすトラッシュ・シティ(パレス・オブ・ワンダーでスクラップのオブジェを作っているジョー・ラッシュがプロデュースする場所)はどんなかなぁ、気球で上下しながら開店する女性はどこで見れるのかなぁ、といったものばかり。良心的なジョンという焚き火番の人にカフェのラム入りコーヒーをおごってもらう。ここでも「乾杯」が合い言葉となって、笑いの輪が炎と同調するかのように広がっていくのだ。

Maddness
 ストラマーヴィルでは小さな騒ぎで馬鹿笑いする場所で大騒ぎすることはあまりないが、この日は違った。ストラマーヴィル・バンドスタンド・ステージ前は珍しく混雑していた。ダーティ・プリティ・シングスが密かに登場し、噂を聞きつけたグラスト人が集まっていた。余裕で数千人を集める人気バンドがライヴをしようというのだから、ジョーとこの場所やたむろす人々のストリートという地面に根を張った生き様がどれだけの人々によって支持されているかが推し量ることができるだろう。ダープリにしてもリラックスしつつ、しかし内側から沸き上がる力を抑えきれないといった感じで、粘度のようになった泥と格闘するオーディエンスと共にぶちあがる。チープなサウンドシステムも手伝ってオーラもへったくれもあったものじゃない。ただただがむしゃらに突っ走るだけの等身大の姿を晒している。彼らを思いっきり楽しみながら叫ばせたのは、何の変哲もない場所が持つ力だった。

 団欒ののち、ロスト・ヴェイグネスのテントへ向かう。パンフレットには「スカ・レジェンド」とあったのはおぼろげだが覚えている。ダープリ以上の人々を集めたそのバンドとはマッドネスだった。シークレットとは言いつつもこれだけ集まるのは、うんざりするほどの情報が氾濫し、ともすれば見落とししてしまうパンフのどこにスカの匂いがあるかを知っているのだろう。全てを見るのではなくある程度絞って読み進める選球眼がないとお気に入りのバンドが来ていることさえ知らないまま終わってしまうのが本当のところだ。奥地の住人がポロリと教えてくれることもある。僕は後者だった。1000人ほどが入るテントからはみ出しまくった人の波は、"ワン・ステップ・ビヨンド"の口上から大合唱し、ステージで奮闘するおっさんと共に立ち上がっていく。姿は見えず音もかき消される熱気の中でぐしゃぐしゃに揉まれる。スカ・リバイバル直撃世代のたるんだ体にはねつけられて、外の映像を見る。フジでは張り付いて見たマッドネスだったが、ここではライブなどきっかけでしかない。生で見れなくとも何故かしら後悔がない。そして、また焚き火を囲みながら片言でとりとめもない話をし、目の端でケミカル・ブラザーズのエドを見た。ここにどれだけのアーティストがいたのかは定かではないけれど、アーティスト然とした佇まいではなかった。足元にはしっかりと長靴が装備されてて、ときたま泥と格闘したりと、ウチらや皆と何も変わらなかったのだ。

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