Glastonbury Festival of Contemporary Performing Arts @ Worthy Farm, Pilton, Somerset (22nd - 24th Jun. '07)
Overall Review Vol.10
目的も持たずにただフラフラとさまようことばかりだった。およそ六時間、ぽっかりと空いた時間を使ってひたすら歩き回ったりもした。隅々まで見て回れるはずもないけれど、けっこうな数の場所に顔を出したつもりだ。改めてグラストンバリーの地図を開き事細かに道のりを解説をしようとしてみても、どこをどう歩いたかなんてさっぱりわからない。現地に足を踏み入れないことにはとてもじゃないが地理も道のりも浮かばない。
ただ、比較的長い時間を過ごした場所はある。まず、小高い丘の中腹にあるストーン・サークルというエリアだ。石が円形に並べられたチルアウト空間で、独特な匂いと炎が絶えない怪しげな場所だ。今年は簡易トイレで組み上げたストーン・ヘンジがお目見えしている。何もしないを実践したくなったら、まずここへ行くのが手っ取り早い。それと、トラッシュ・シティ。こちらはフジ・ロックのパレス・オブ・ワンダーに転がる廃材アートのプロデューサー、ジョー・ラッシュのテリトリーで規模はPOWの比ではない。バーも作るし、飛行機なんて代物も生まれ変わり命を与えられている。アートのいくつかは苗場(もちろんPOW)にも来たことがあって、懐かしい廃材の魔人たちが挨拶がわりに睨んでくるのだ。
最も長い時間を過ごしたのは、ロスト・ヴェイグネスとそれに併設されているストラマーヴィルだった。"ストラマー"ヴィルというからには、ジョー・ストラマーをリスペクトするアーティストがふらりと現れ、僕らと同じように泥と格闘していたりもする。「俺はVIPだから連れてけ!」と言ったところで、車などキャタピラを履いていなければただの鉄くず。長靴を手に入れ、自らの足で歩いて行くか、おぶってもらうしかなく、肩書きや人気など何の意味も持たないのだ。そもそも、ジョーの友人たちがが焚き火を絶やさぬよう、ひたすら薪をくべたりするようなところ。しかし、ここに自分がいるということが、大切なことのように思えてくる。これらはグラストの中でも一二を争うほどコアな場所で、遊び人たちがただただ語り合い、時に馬鹿を言ったり小競り合いをする場所。目的など用意しなくても大いに楽しめてしまうところなのだ。
ロスト・ヴェイグネスには書割りの教会があり、その壁面には「love」……だけならまだしも「hate」まで書かれている。これは、ミック・ジャガーもはまったとウワサされるいわく付きの名作『狩人の夜』のキーワードと重なる。先の二つの言葉を左右の指に彫り込んだ伝道師が金のありかを聞き出すために、執拗に子供を追いかける小説で、映画化もされている。詳しい解説は他に譲るが、囲われた楽園という矛盾を抱えたグラストを暗喩しているのかもしれない。まぁそんなことはただの深読みなのかもしれないが、皮肉屋が教会のアイデアを投げたことは確か。見えない部分にも面白い話はわんさか転がっている。
となると、もちろん音楽だけで成り立つ空間ではない。そもそもグラストの正式名称は「グラストンバリー・フェスティヴァル・オブ・コンテンポラリー・パフォーミング・アーツ」。どこにもミュージックなんて表記はない。僕らはたまたま音楽から入り込んだだけで、ウン十万人の中には演劇やサーカスを見るために来たという人もいるんだろうな。目についたものを深く読み解けば、様々な意味で別の世界が見えてきたりするのだろうけど、まだまだ達観する余裕はない。全部にこころを奪われて浅く広くハマってしまう。
欲ってわけではないけれど、沸々と行きたい気持ちが沸き上がってくるのがグラストンバリー。降ったり止んだりの空模様とフェスの雰囲気が自分をスローライフへと向かわせる。そして、ゆったりと豊かな想像力に包まれる。牧場の不自由さが裏返り、快適となってしまう不思議もある。はっきり言って、あすこは衣食住の基本的な生活をするには過酷すぎな環境だ。しかし、逃げ場がないにせよ、日本では頑なに安定した宿泊施設を希望するツンデレ女子がただのひとつも文句を言わず、不自由で汚れっぷり全開のキャンプを楽しんでしまうくらいだ。過酷なぶんだけ支えあったりもするし、やけくそなのか知らんがタガが外れた場面に何度となく遭遇する。
公式非公式含めておよそフジロックの比ではないくらいのライブが行なわれ、もちろんその中には見ておきたいアーティストとか沢山あるんだが、まぁいいかぁ、この飾りとか変わってるし、こいつアホやし……、とか本来どうでもいいことにどっぷり浸かって、知らないうちにお金もそれなりに使ってる。大金払ってんだから大物アーティスト見ようよ、と言われても、奥地がいいんやん、焚き火がいいんやん、と返してしまう。さすがに寝て過ごすというのは勿体ない気がするけれど、テントを打つ雨が誘う深い眠りがいい、というのも一理あって、否定の言葉の代わりに頷いてしまう。人の数だけ楽しみかたがあるのだ。極論を言えば、設営や撤収だけでも見る価値があると思うのだ。トラクターやエアストリームの大移動なんて、そうそう見れるもんじゃない。ただひとつ後悔するとすれば、行かなかった時だけだろう。
ゆったりすごした4日間はアッちゅう間。帰りしなからさっそく来年を考えだしている。フジロックとはまるで別物だが、アレはアレでソレはソレ。不自由だらけの中で必死に生きるってホント、なにがいいんだろうねぇ…いやぁ、いいんだよなぁ!
|
report by taiki and photos by hanasan
|
==> Feature Special Glastonbury Festival 2007 Intro (JPN | ENG) |
==> Smashing Mag top pageJPN / ENG |
Glastoで思ったこと : (04/06/25 - 27 @ Pilton, Somerset) : review by rad, photos by keco
Glastonburyあれやこれや : (04/06/25 - 27 @ Pilton, Somerset) : review by joe, photos by keco
photo report : (04/06/25 - 27 @ Pilton, Somerset) : photos by keco
Shibusa Shirazu Orchestra in Glastonbury : (02/06 @ Pilton, Somerset) : photos by hanasan
Glastonbury Festival '02 : (02/06 @ Pilton, Somerset) : photos by,hanasan
Glastonbury 2000 : (00/06/28-30 @ Pilton, Somerset) : review & photos by hanasan
再び泥まみれのグラストンバリーに15万人! : (98/06/26-28 @ Pilton, Somerset) : review & photos by hanasan
|
|
REVIEWS & PHOTOS
Overall Review (JPN)
photo reports & reviews
on the 21st
photo reports & reviews
on the 22nd
on the 23rd
on the 24th
mag files : Glastonbury Festival
Staff data base
|
|