グラストンバリー・フェスティヴァル @ ワージー・ファーム、ピルトン、サマーセット (22nd - 24th Jun. '07)
ザ・クリブス @ アザー・ステージ (22nd Jun. '07)
血は雨よりも濃く

しょっぱなのザ・ヴューで、当初降りしきっていた雨が彼らの演奏時には綺麗に止んで晴れ間さえ見えてきたので、長丁場となるこの三日間、ひとつ演奏者側の晴れ度、雨度率をレヴュー内で書き残そうとちょっとした悪戯心に胸が躍り出した。さて、続くザ・クリブスだが、ジャーマン一家から成る家族経営なシンプル・3ピースバンドで、流血ヴォーカル、ライアンの奇行が表立つ事が多かったが、サウンド面では熱いメロディに豪快なギ
ターが魅力のなかなか良いバンドなのである。今ひとつ、人気バンドに遅れをとっている感は否めぬものの、ニュー・アルバムのプロデュースにはフランツ・フェルディナンドのミスター・カメラ目線、アレックス・カプラノスを迎え、前作よりパワー・アップしたインディ・ポップ・ロックを打ち出している。
流血児、ライアンは裾が破けて背中剥き出しのシャツを革ジャンの下から覗かせ、相変わらず衣装心に欠けている奴だ。ヴォーカルも、実は双子のベーシスト、ゲイリィの方が主要パートをしっかり歌っていたりする。こちらの彼の方が身なりも清潔で、地に足ついた感じ。ライアンはやんちゃ臭さがそのままステージ・アクトにも反映されていて、ギターを掻き鳴らしながら走り回ったり、ダイヴを試みたり動きに余念がない。パンクが基底だけれども、耳に残るフレーズにはっとさせられる瞬間がいくつもあり、隙間だらけではあるけれど、その物足りなさが返ってコーラスワークを引き立てているんだよなーと思う。
ラスト近くで前方にダイヴをしようとステージを下りて観客めがけるライアンをちら見もせずに歌を歌い上げていくゲイリィ、ひたすらドラムを叩き続ける末っ子のロスと、兄弟俯瞰図が見て取れるパフォーマンスは彼らならではの面白さだ。残念ながら中盤以降曇り空から雨がちらつき、晴れ男の勲章には一歩届かなかったが、大仰な華がある訳でもないのに、何故かライヴを観たらもの凄く好きになってしまう、不思議なバンドであった。
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report by kaori and photos by emi
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血は雨よりも濃く (07/06/22 @ Glastonbury Festival, Pilton) : review by kaori, photos by emi
photo report (07/06/22 @ Glastonbury Festival, Pilton) : photos by emi
photo report (06/01/27 @ Osaka Big Cat) : photos by tommy
その先を、観たくなる (06/01/23 @ Liquidroom Ebisu) : review by ryoji, photos by nachi
photo report (06/01/23 @ Liquidroom Ebisu) : photos by nachi
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