button East Go Around vol.8
コーナー @ 札幌ベッシーホール(20st Nov. '06)

静かに高ぶる


sokabe
 ベッシーホールでのライブは、客席横の階段からアーティストが登場し、ワーッという大きな歓声が上がって始まる…というのがお決まりといった感じなのだけれど、この日はセットチェンジもそろそろ終わりかという頃にギターの音がポロポロとこぼれ始め、まだリラックスしているお客さんたちのザワつきと縫い、チューニングの延長かのようにライブがスタートした。予期せぬ始まりに慌てて静まり返る客席。

Corner  走り出すようなウッドベースの音で始まったのは、カントリー調の曲"七色信号"。音の追いかけっこのような楽しい曲に乗る磯部の素朴さすら感じるまっすぐな歌声は心に直接的に語りかけてくるようで、日常のいろいろな風景がその時の天気や温度までも心に伝わってくる。"散るチル満ちる"では舞い散る雪のようなミラーボールの光が会場を包み、歌詞の世界と重なり合って印象的だった。

 ハスキング・ビーの時とは、バンドスタイルも奏でる音も、もちろんノリも全然違う。しかしコーナーとしての磯部正文は、まるで昔からやりたくて仕方なかったバンドの形、音楽の形がこれだったのではないかと思わせるほどにぴったりハマっていて、彼を中心にしてステージにも音にも一体感があった。お互いの音をスピーカーを通してではなく、生音で確認できそうな感じの円を描くようにセッティングされたステージから溢れ出す朴訥でやさしい音に、心がやわらかくなった。耳や体に重心をおいて聴くよりも、心を開けっぴろげにしたほうが気持ちよくなれる、そんな気がした。

 ライブが進むにつれ、朗々と歌っていた磯辺のボーカルにも熱が加わってきた。伊藤が奏でるギターは曲に色を付けていき、かき鳴らす磯辺のギターと、体中からリズムが湧き出るような叩きっぷりの柏倉のドラムは、曲の温度をどんどん上昇させていく。全ての音が合体して大きな渦を作り出し、前半とは違った高ぶった音もまたよかった。

 ハスキング・ビーを好きだった人、磯部正文がコーナーでどんなライブをするのか観たかった人、今日のライブに来た理由はきっといろいろだっただろうけど、誰もが彼らのサウンドと同じように、静かに熱を帯びたに違いない。

Corner



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